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ジオネクストは16年12月期第1四半期営業黒字化、通期も営業黒字化目指す
- 2016/6/29 08:50
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ジオネクスト<3777>(JQS)は収益柱を再生可能エネルギー事業にシフトして16年12月期営業黒字化を目指している。16年12月期営業利益および営業活動によるキャッシュ・フローがいずれもマイナスに留まった場合には、上場廃止基準に抵触して上場廃止となるが、第1四半期は営業黒字化した。さらに調剤薬局事業を売却するなど不採算事業の見直しも推進している。株価は引き続き上場廃止回避に向けた動きに敏感な展開となりそうだ。
■再生可能エネルギー事業に収益柱をシフト
14年4月ターボリナックスHDから現ジオネクストに商号変更した持株会社である。従来のIT関連事業(ターボリナックスのITソリューション)、環境事業(東環のビルメンテナンスサービス)、新規事業の再生可能エネルギー事業(エリアエナジーの太陽光発電所開発・運営・O&Mサービス、日本地熱発電の地熱・温泉バイナリー発電開発)、ヘルスケア事業(仙真堂の調剤薬局・サプリメント事業)を展開しているが、収益改善に向けた基本戦略として14年開始した再生可能エネルギー事業に収益柱をシフトしている。
16年5月には連結子会社で調剤薬局事業を行う仙真堂の株式をGrand Gate Holdingsに譲渡すると発表した。調剤薬局事業は収益の伸びが当初計画に満たず営業損失を計上している状況であり、仙真堂の株式を譲渡して当社の負担を軽減することが当社グループの企業価値向上に資するとの結論に達した。株式譲渡に併せて、当社が仙真堂に対して保有する金銭債権2億24百万円をGrand Gate Holdingsに譲渡する。これによって仙真堂は連結子会社から除外されるが、今後は当社が仙真堂に対して店舗の賃貸借契約を締結するほか、当社が仙真堂の調剤薬局の店舗運営支援に関するアドバイザリー契約を締結する。
■15年12月期は赤字
前期(15年12月期)は営業利益が1億47百万円の赤字(前々期1億75百万円の赤字)、経常利益が2億09百万円の赤字(同2億46百万円の赤字)、純利益が8億11百万円の赤字(同2億74百万円の赤字)だった。
太陽光発電開発案件譲渡に伴う太陽光パネル売買契約や他の譲渡案件の成約がズレ込んだため売上高、各利益とも期初計画を下回り、営業赤字が残った。また減損損失3億17百万円などの特別損失を計上したため純利益は赤字が拡大した。
■16年12月期第1四半期は営業黒字化
今期(16年12月期)第1四半期(1月~3月)の連結業績は、売上高が前年同期比4.5倍の2億18百万円、営業利益が38百万円の黒字(前年同期は73百万円の赤字)、経常利益が38百万円の黒字(同89百万円の赤字)、純利益が33百万円の黒字(同91百万円の赤字)だった。
再生エネルギー事業で、前期末に売電を開始した三笠市弥生町太陽光発電所の売電収入、開発案件の譲渡、太陽光パネル関連の収益獲得が寄与した。
■16年12月期営業黒字化目指す
今期(16年12月期)の連結業績予想(2月12日公表)については、売上高が前期(15年12月期)比22.5%増の9億76百万円、営業利益が44百万円の黒字(前期は1億47百万円の赤字)、経常利益が9百万円の赤字(同2億09百万円の赤字)、純利益が13百万円の赤字(同8億11百万円の赤字)としている。
なお特別利益には、連結子会社ターボリナックスが保有する関連会社の北京拓林思への出資持分全てを北京拓林思の親会社である北京万里に譲渡した関係会社株式売却益約16百万円、持分法適用関連会社だった遺伝子治療研究所について保有する全株式を譲渡した関係会社株式売却益約19百万円を計上する。
また仙真堂の株式譲渡および金銭債権譲渡に伴い、第2四半期に子会社株式売却益1億78百万円、債権譲渡損失2億24百万円を計上する見込みだ。
5月27日には連結子会社エリアエナジーが、埼玉県入間郡越生町の太陽光発電所に係る権利等をエコライフエンジニアリングに譲渡したと発表している。譲渡金額は25百万円である。本件譲渡による売上および利益は第2四半期に計上する。
5月31日には連結子会社エリアエナジーが、千葉県千葉市緑区、山梨県韮崎市藤井町、および静岡県牧之原市の太陽光発電所に係る権利等をアポロに譲渡したと発表している。譲渡金額は約25百万円である。本件譲渡による売上および利益は第2四半期に計上する。
■継続企業の前提に疑義注記、16年12月期営業赤字なら上場廃止
なお営業損失の発生および営業キャッシュ・フローのマイナスが10期継続して発生している。このため継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような状況が存在している。また15年12月期末において、11年4月1日以降開始する事業年度について、4期連続で営業利益および営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなったため、上場廃止にかかる猶予期間に入る見込みだ。
そして16年12月期に、営業利益および営業活動によるキャッシュ・フローがいずれもマイナスに留まった場合には、JASDAQ市場の上場廃止基準に抵触して当社株式は上場廃止となる。
■経営陣交代で戦略見直しの可能性
3月29日開催の第22期定時株主総会において経営陣(代表取締役および取締役)が交代したため、上場廃止を回避すべく、16年12月期営業利益および営業活動によるキャッシュ・フロー黒字化に向けて、事業戦略が見直される可能性があるだろう。
■株価は上場廃止回避に向けた動きに敏感
株価の動きを見ると、4月下旬~5月上旬に動意づき、5月12日に101円まで上伸する場面があったが、その後は地合い悪化も影響して6月24日に51円まで調整する場面があった。
6月28日の終値は59円、時価総額は約24億円である。週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形になったが、引き続き上場廃止回避に向けた動きに敏感な展開となりそうだ。
(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)