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アールシーコアは17年3月期2桁増収増益・連続増配予想で指標面の割安感を見直し
- 2016/7/5 07:34
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
アールシーコア<7837>(JQS)はログハウスのオリジナルブランド「BESS」を販売し、17年3月期2桁増収増益・連続増配予想である。株価は地合い悪化の影響を受ける場面があったが切り返しの動きを強めている。1桁台の予想PER、4%台後半の予想配当利回りといった指標面の割安感を見直して戻りを試す展開だろう。
■ログハウスのオリジナルブランド「BESS」を販売
自然材をふんだんに使った個性的な木の家であるログハウスのオリジナルブランド「BESS」の販売を、国内直販部門、連結子会社BESSパートナーズ(BP)社、および国内販社で展開している。FCを中心とした事業展開で高資本効率を実現している。
16年3月期末の契約販社数(BP社含む)は26社、営業拠点数は全国40拠点(直営2拠点、BP社2拠点、販社36拠点)となった。16年4月オープンの長野県(松本市)および京都府(久御山町)の2拠点、16年秋オープン予定の埼玉県(川口市)および大分県(大分市)の2拠点を合わせると44拠点となる。
国内直販部門では東京・代官山「BESSスクエア」と神奈川県「BESS藤沢展示場」の直営展示場2拠点、およびタイムシェア別荘施設「フェザント山中湖」も運営している。
■中期経営計画で17年3月期ROE18%目標
中期経営計画では、目標数値として17年3月期の契約棟数1600棟、売上高180億円、営業利益率8%、ROE18%を掲げている。
重点戦略として「BESS」ブランドの深耕、強みであるログハウスを主軸に据えたマーケティング・商品戦略、販社再編、商品の納期短縮・コスト削減・価格競争力向上、営業拠点と営業員の拡充、営業スキル向上と営業力強化に向けたBESS営業(ホームナビゲーター)資格制度導入、展示場50拠点展開などを推進している。またΩ戦略室で法人向け等の事業開発に着手している。
商品戦略強化では14年11月に新世代ログハウスとして新商品「G-LOG」を発売した。また16年6月には新商品としてLOG小屋「第三のトコロ IMAGO(イマーゴ)」を発表した。16年8月から予約販売を開始する。
■部材製造販売のカナダの連結子会社を売却してファブレス化
カントリーログハウスのキット部材を製造販売するカナダの連結子会社BFM社については、保有する全株式をカナダのBAYWEST社に譲渡(株式譲渡実行6月末予定)する。ファブレス化で経営資源をマーケティングや商品開発に集中させる方針だ。株式譲渡後も当面はBFM社からの取引を継続するとしている。
■契約(受注)高は回復傾向
15年3月期の四半期別業績推移を見ると、契約(受注)高は第1四半期15億25百万円(前年同期比31.9%減)、第2四半期30億47百万円(同26.2%減)、第3四半期24億42百万円(同38.6%増)、第4四半期34億75百万円(同2.0%減)で、売上高は第1四半期28億11百万円、第2四半期32億75百万円、第3四半期29億16百万円、第4四半期29億39百万円、営業利益は第1四半期1億14百万円、第2四半2億23百万円、第3四半期1億95百万円、第4四半期1億45百万円だった。
収益は直販部門とBP社の「BESS」売上、販社からのロイヤリティ収入および販社へのキット部材売上などである。物件引き渡し件数・時期などで四半期収益は変動しやすいが、契約(受注)高は回復傾向を強めている。15年3月期の売上総利益率は33.3%で14年3月期比0.9ポイント低下、販管費比率は27.6%で同0.8ポイント上昇、ROEは10.2%で同5.2ポイント低下、自己資本比率は42.7%で同2.8ポイント上昇した。配当性向は43.6%だった。
■16年3月期の利益は計画超で増益
前期(16年3月期)の連結業績は前々期(15年3月期)比3.2%増収、同11.1%営業増益、同8.8%経常増益、同21.0%最終増益だった。資材納期の長期化や契約(受注)の計画未達で売上高は計画を下回ったが、販管費の抑制などで利益は計画を上回り、減益予想から一転して増益での着地となった。
契約(受注)棟数は同10.7%増の1004棟、契約(受注)高は同13.2%増の118億76百万円、期末契約(受注)残高は同12.0%増の71億16百万円だった。全国BESS展示場への新規来場者数は2.9万件でほぼ前々期並みだったが、強化ポイントとしている再来場者数は同2.1%増加した。営業員の質・量の拡充については、販社を含むBESS事業全体の営業員数(成約稼働ベース=トレーニング実済み)が前期末比1名増加の141名となった。
売上総利益は同3.3%増加し、売上総利益率は33.3%で同横ばいだった。販管費は同1.7%増加したが、販管費比率は27.2%で同0.4ポイント低下した。純利益は法人税等の減少も寄与した。ROEは11.7%で同1.5ポイント上昇、自己資本比率は44.9%で同2.2ポイント上昇した。配当は同3円増配の年間45円(第2四半期末22円、期末23円)で配当性向は39.0%だった。
報告セグメント別(連結調整前)の動向を見ると、直販部門は契約(受注)高が同15.7%増の36億91百万円、売上高が同1.4%増の35億76百万円、営業利益が同15.2%減の2億41百万円だった。法人向け特需物件も寄与して増収だが、人件費増加で減益だった。展示場への新規来場者数は同15.2%増加し、新規採用による営業員の戦力化が進展して営業員1人当たり契約数も向上した。
販社部門は契約(受注)高が同12.8%増の66億円、売上高が同7.7%増の78億87百万円、営業利益が同8.8%増の15億41百万円と順調だった。契約(受注)棟数が順調に増加し、キット部材売上、ロイヤリティ収入が増加した。
BP社は契約(受注)高が同12.1%増の15億57百万円だが、前期の受注不振の影響で売上高が同17.3%減の14億13百万円、営業利益が同61.8%減の22百万円だった。ただし施工効率改善策で施工利益率は改善傾向のようだ。北米部門(売却予定のBFM社)は売上高が6億19百万円、営業利益が17百万円だった。
なお四半期別推移を見ると、契約(受注)高は第1四半期22億17百万円(前年同期比45.4%増)、第2四半期35億10百万円(同15.2%増)、第3四半期21億61百万円(同11.5%減)、第4四半期39億88百万円(同14.8%増)で、売上高は第1四半期28億59百万円、第2四半期34億93百万円、第3四半期28億95百万円、第4四半期30億71百万円、営業利益は第1四半期1億29百万円、第2四半期3億02百万円、第3四半期1億23百万円、第4四半期1億98百万円だった。
■17年3月期は2桁増益予想で収益改善期待
今期(17年3月期)の連結業績予想(5月13日公表)については、売上高が前期(16年3月期)比15.3%増の142億円、営業利益が同19.5%増の9億円、経常利益が同14.6%増の8億50百万円、純利益が同13.6%増の5億80百万円としている。配当予想は同2円増配の年間47円(第2四半期末23円、期末24円)で予想配当性向は36.1%となる。
契約(受注)が回復傾向を強めて増収・2桁増益予想である。契約(受注)棟数は同19.5%増の1200棟、契約(受注)高は同22.1%増の145億円、売上総利益率は同0.2ポイント低下の33.1%、販管費比率は同0.4ポイント低下の26.8%の計画としている。
■株主還元はDOEを重視、株主優待は3月末と9月末に実施
利益配分についての基本方針は、DOE(純資産配当率)を重視した長期的視点での安定的配当を実施するとしている。15年3月期のDOEは4.5%、16年3月期のDOEは4.4%で、17年3月期のDOEは4.6%となる見込みだ。
株主優待制度は毎年3月末・9月末時点で100株以上保有株主に対して実施している。優待内容は15年3月期から改訂し、保有株数に応じて「BESS指定工事請負契約にかかる優待割引」「フェザント山中湖タイムシェア・別荘オーナー制度・メンバー制度の優待割引」「フェザント山中湖宿泊利用割引・サービス利用割引」「BESSオリジナル外部用防腐スプレー販売割引」などの優待券を贈呈している。
■株価は指標面の割安感を見直して戻り試す
株価の動きを見ると、地合い悪化の影響を受ける場面があったが、4月の年初来安値935円を割り込むことなく切り返しの動きを強めている。
7月4日の終値1004円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS130円23銭で算出)は7~8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間47円で算出)は4.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1005円76銭で算出)は1.0倍近辺である。時価総額は約45億円である。
週足チャートで見ると戻りを押さえていた26週移動平均線突破の動きを強めている。1桁台の予想PER、4%台後半の予想配当利回りといった指標面の割安感を見直して戻りを試す展開だろう。
(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)