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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】日本ライフラインは調整一巡、中期成長力を評価して14年11月高値試す
- 2015/1/20 07:19
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
医療機器輸入商社の日本ライフライン<7575>(JQS)の株価は、利益確定売りで反落して自律調整局面だったが、1月13日の直近安値1228円から切り返して調整一巡感を強めている。中期成長力を評価して14年11月高値1679円を試す展開だろう。なお1月30日に第3四半期累計(4月~12月)の業績発表を予定している。
心臓循環器領域を中心とする医療機器輸入商社で、心臓ペースメーカ、ICD(植込み型除細動器)、CRT-D(除細動機能付き両心室ペースメーカ)などのリズムディバイス部門、EPカテーテル、アブレーションカテーテル、心腔内除細動カテーテル、高周波心房中隔穿刺針などのEP/アブレーション部門、人工心臓弁、人工血管、ステントグラフトなどの外科関連部門、バルーンカテーテル、ガイドワイヤーなどのインターベンション部門、および血液浄化関連などのその他部門を展開している。
国内を網羅する販売代理店ネットワークを構築した商社機能に加えて、メーカー機能の強化に向けて、09年に人工血管などを製造するJUNKEN MEDICAL社、10年にガイドワイヤーなどを製造するSYNEXMED社(香港)を子会社化した。採算性の高い自社製品の売上構成比上昇に向けて生産体制を一段と強化する方針で、14年10月には新工場となる小山ファクトリー(栃木県小山市)が稼動した。
新商品に関しては、14年4月にバルーンカテーテルで初の自社製品となる「canPass」、7月に外科関連で国内オンリーワン製品(国内唯一の開胸手術用)となる自社製品「J-Graftオープンステントグラフト」、8月に心臓ペースメーカ新商品「REPLY200」の販売を開始した。
さらに今期(15年3月期)第4四半期(1月~3月)にMRI(磁気共鳴画像)検査対応の心臓ペースメーカ「KORA」およびICD関連の「INTENSIA」の上市、来期(16年3月期)はアブレーションのイリゲーション機能付き新製品の上市を目指し、15年春には子会社ハートブレーンがAED(自動体外式除細動器)の販売開始を予定している。一方では事業環境変化に対応して人工心肺関連製品の取り扱いを15年3月末に終了する。人工血管や弁膜症関連製品については引き続き注力するとしている。
また14年12月には、コリブリ・テクノロジーズ社(カナダ)の心腔内エコーシステムに関する日本国内における独占販売契約、およびカーディオフォーカス社(米国)のハートライト内視鏡アブレーションシステムに関する日本国内での独占販売契約を締結した。いずれも16年度の上市を目指して導入準備を進める。
今期(15年3月期)の連結業績見通し(10月24日に増額修正)は、売上高が前期比5.7%増の257億49百万円、営業利益が同43.6%増の17億51百万円、経常利益が同34.7%増の18億円、純利益が9億03百万円(前期は2億02百万円の赤字)で、配当予想(5月2日公表)は前期と同額の年間25円(期末一括)としている。
第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比2.9%増収、同12.3%営業減益、同10.7%経常減益、同3.9%最終減益だった。保険償還価格引き下げの影響や販管費の増加などで減益だったが、売上高、利益とも計画を上回った。7月発売の「J-Graftオープンステントグラフト」の販売数量伸長などで自社製品売上構成比が上昇し、売上総利益率は同1.4ポイント改善した。一部商品の導入計画変更に伴って予定していた薬事関連費用の支出が見込まれなくなったことも寄与した。
通期ベースでもEP/アブレーションおよび外科関連を中心に自社グループ製品の市場浸透が進み、自社製品売上構成比上昇によるプロダクトミックス改善効果などで大幅増益見通しだ。純利益については前期計上した特別損失の一巡や小山ファクトリー稼動に伴う助成金も寄与する。
1月19日に発表した売上高速報によると、第3四半期累計(4~12月)の合計売上高は前年同期比3.8%増の188億78百万円となった。四半期別にみると第1四半期(4~6月)が同1.8%増の59億86百万円、第2四半期(7~9月)が同3.9%増の62億76百万円、第3四半期(10~12月)が同5.6%増の66億15百万円である。輸入商品中心のリズムディバイスは大幅減収だが、自社製品中心のEP/アブレーションおよび外科関連が大幅増収だった。
通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が47.6%、営業利益が38.2%、経常利益が40.7%、純利益が31.7%とやや低水準だったが、第3四半期の売上が好調に推移しており、自社製品売上構成比上昇も寄与して通期ベースでも好業績が期待される。
中期目標数値として19年3月期売上高351億円、営業利益率10%以上を掲げ、メーカー機能と商社機能を併せ持つ強みを活かして各分野の商品ラインナップ充実で成長を目指すとしている。コアビジネスは輸入商品中心のリズムディバイスから、自社製品中心のEP/アブレーションおよび外科関連へシフトするようだ。自社製品売上構成比の上昇で高収益化が期待される。
株価の動きを見ると、急伸した14年11月高値1679円から利益確定売りで反落して自律調整の局面だったが、1月13日の直近安値1228円から切り返して調整一巡感を強めている。
1月19日の終値1285円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS83円68銭で算出)は15~16倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は2.0%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1354円09銭で算出)は0.9倍近辺である。
週足チャートで見ると、サポートラインの13週移動平均線が接近して調整一巡のタイミングだ。中期成長力を評価して14年11月高値1679円を試す展開だろう。