ビューティガレージは15年6月の上場来高値も射程圏、17年4月期大幅増益予想

 ビューティガレージ<3180>(東マ)は美容サロン向け美容商材ネット通販の最大手で、17年4月期大幅増収増益予想である。円高は輸入仕入価格低下で売上総利益にプラス要因となる。株価は6月21日の年初来高値から一旦反落したが、自律調整が一巡して上値を試す展開だろう。15年6月の上場来高値も射程圏だ。

■美容サロン向け美容商材ネット通販の最大手

 理美容室、エステサロン、ネイルサロン、リラクゼーションサロンなど全国の美容サロン向けに、業務用理美容・エステ機器(スタイリングチェア、シャンプーユニット、パーマ機器、エステスチーマーなど)や、業務用化粧品・消耗品(ヘアケア製品、エステティック化粧品、マッサージオイル、ネイル商材など)を販売するプロ向け美容商材の物販事業を主力としている。

 販売チャネルは、16年4月末時点の登録会員口座27万超、取扱商材約65万点で、日本最大級のプロ向け美容商材ネット通販サイト「BEAUTY GARAGE Online Shop」でのオンライン販売(=EC)を主力として、カタログ通販、および全国9拠点のショールームでの販売を展開している。ショールームは中古品の買い取り・メンテナンス拠点としても機能している。

 IT(ネット通販)とリアル(ショールームでの販売)を融合連携させたBtoBビジネスモデルで、美容サロン向け美容商材ネット通販の最大手である。中間流通を省いたダイレクト販売と大量一括購入による国内最安値保証、自社開発の「WEB&リアル店舗連動型」基幹POSシステム、自社物流センターを保有して業界をリードする利便性の高い配送サービス、中古・格安PB商品と開業支援ソリューションで新規開業者を集める仕組み、物販とソリューションのワンストップサービスでリピート利用に繋げる仕組みなどを強みとしている。

 グループ子会社は、タフデザインプロダクトがサロン店舗設計・施工事業、サロンキャリアが美容師などの求人マッチングサイト運営、アイラッシュガレージがアイラッシュ(まつ毛エクステ)商材卸売および開業・経営支援事業を展開している。

 なお6月15日に監査等委員会設置会社への移行を発表している。7月27日開催予定の第14期定時株主総会に付議する。

■サロンコンシェルジュNO.1企業を目指す

 中期経営計画では高い収益性と継続的な成長を可能とするビジネスモデルを確立し、開業と繁盛を総合支援するサロンコンシェルジュNO.1企業を目指している。そして17年4月期売上高100億円、経常利益7億円、一段の認知度・信用力向上に向けた早期の東証1部上場を目標に掲げている。

 成長に向けた重点戦略としては、美容業界のBtoB電子商取引市場における圧倒的NO.1地位を確立するIT戦略、SPA方式活用によって売れる商品を開発するメーカー戦略、リピート商材拡充によりフロー&ストック型収益構造に転換する専門商社戦略、開業支援・経営ソリューション充実によって総合受注を促進するワンストップソリューション戦略を掲げている。

 物販事業では、リピート商材である化粧品・消耗品の販売を拡大するとともに、機器分野ではPB商品、化粧品分野ではNB商品の品揃えを強化する。また物流コスト低減に向けて中国・広州に「HUB倉庫」を新設運用開始した。中国から日本に輸送する商品を保管料の安い中国の「HUB倉庫」に一旦集めて検品などを行う。そして保管料の削減、効率的な輸送、不良品の早期発見に繋げる。

■サイト利便性向上や品揃え拡充を強化

 15年6月にはプロ向け美容業界の商材仕入用として業界初となるスマホ用バーコード発注アプリ「BGスマート発注」を導入した。商品に記載されたバーコードやQRコードをスマホで読み取るだけで、商品をカートに入れて発注できるバーコードリーダ機能などを搭載した。美容サロンにおける消耗品などの発注業務を簡素化して担当者の発注業務負担を軽減でき、当社への発注増加に繋げる。

 15年7月にはソニー<6758>が15年2月発表した肌解析システム「BeautyExplorer」の取り扱い開始、15年11月にはヤーマン<6630>がサロン専売第一弾としてOEM製造する業務用トリートメント機器を、ビューティガレージブランドのエステサロン向け商品「Quattro Burst Cavi(クワトロバーストキャビ)」として販売開始した。

 また15年11月には総合印刷会社の帆風と共同で、サロンの印刷用途に特化した印刷通販サイト「サロンプリント」を開始した。

■マーケットプレイス型販売や歯科業界向けなど周辺領域への展開を加速

 16年1月にはマーケットプレイス型販売として、当社のプロ向け美容商材ネット通販サイト「BEAUTY GARAGE Online Shop」を同業他社(他の美容商材卸業者)に対して開放し、テナントとしての出店を可能にした。

 16年3月にはノーリツ鋼機<7744>の子会社で歯科業界カタログ通販大手のフィード社と業務提携した。同社のPB商品として販売する歯科・医療機関向け機器・材料等を当社が製造(OEM)受託する。

 なお海外展開については、海外販売代理店方式=海外ディストリビュータ経由での輸出販売(複数の国のディストリビュータと交渉中)、越境EC代行方式=海外向け購入代行サービス導入(現在のECサイト上に海外ユーザー向け購入発送代行サービスを16年半ば頃導入予定)、自社での越境EC方式=自社ECサイトの多言語版構築(17年以降に自社サイトをグローバル対応へアップデートし、海外からの注文を直接受注・発送できる体制を構築)の3方向で準備を進める方針だ。

■美容サロン新規開業が集中する第4四半期(2月~4月)の構成比が高い

 15年4月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期16億70百万円、第2四半期18億44百万円、第3四半期16億99百万円、第4四半期20億62百万円、営業利益は第1四半期51百万円、第2四半期1億25百万円、第3四半期79百万円、第4四半期1億21百万円だった。

 季節要因として、美容サロンの新規開業が集中して美容機器の需要が高まる第4四半期(2月~4月)の構成比が高い収益構造である。

■EC比率が上昇基調でアクティブユーザー数も増加基調

 16年4月期の物販事業の販売チャネル別売上高構成比は、EC64%(15年4月期58%)、電話・FAX18%(同21%)、ショールームへの来店15%(同18%)、その他3%(同2%)で、EC比率が上昇基調である。EC売上高は15年4月期比27.2%増収で、特にモバイル経由が同98.6%増収と大幅に増加している。15年6月導入したスマホ用バーコード発注アプリ「BGスマート発注」による月間売上高は16年4月に1400万円を突破した。

 16年4月期末のEC登録会員口座数は15年4月期末比3万8307口座増加の27万7777口座、このうち過去1年に購入履歴のあるアクティブユーザー数は同7134口座増加の8万4760口座、アクティブユーザー比率は同1.9ポイント低下の30.5%となった。

 また16年4月期の物販事業の商品別売上高構成比は、PB機器46%(15年4月期50%)、PB化粧品11%(同10%)、NB機器17%(同17%)、NB化粧品22%(同19%)、中古品4%(同4%)だった。PB・NB別で見るとPB比率57%(同60%)、NB比率39%(同36%)で、機器・化粧品別で見ると機器比率64%(67%)、化粧品比率33%(同29%)となった。一部PB機器の電気用品安全法に基づく再試験という一時的要因でPB機器比率が低下したが、安定収益源で四半期別売上高の平準化にも繋がる化粧品の比率が着実に上昇している。

■16年4月期は2桁増収・営業増益で増配

 前期(16年4月期)連結業績は売上高が前々期(15年4月期)比15.4%増の83億98百万円、営業利益が同17.4%増の4億41百万円、経常利益が同7.2%増の4億19百万円、純利益が同7.1%増の2億66百万円だった。配当は同80銭増配の年間5円60銭(期末一括)で配当性向は12.5%だった。ROEは16.4%で同1.6ポイント低下、自己資本比率は51.2%で同0.7ポイント低下した。

 一部PB機器の電気用品安全法に基づく再試験という一時的費用が発生したが、コラボレーションも活用した品揃え強化、カタログ通販誌発刊、スマホ用バーコード発注アプリ「BGスマート発注」導入、金沢・広島ショールーム拡大移転などの施策の効果でアクティブユーザー数が順調に増加して2桁増収・営業増益だった。売上総利益は同10.8%増加したが、売上総利益率は32.3%で同1.4ポイント低下した。販管費は同9.6%増加したが、販管費比率は27.1%で同1.4ポイント低下した。営業外では為替差損益が悪化(前々期は差益10百万円、前期は差損25百万円)した。

 セグメント別に見ると、物販事業は売上高が同15.0%増の64億84百万円で営業利益(連結調整前)が同10.7%増の4億84百万円、店舗設計事業は売上高が同18.6%増の16億20百万円で営業利益が同17.9%増の98百万円、その他周辺ソリューション事業は売上高が同9.1%増の2億94百万円で営業利益が同43.9%増の55百万円だった。

 なお物販事業の売上総利益率は、円安進行に伴う輸入仕入価格上昇で15年4月期第1四半期37.9%から第2四半期37.0%、第3四半期36.7%、第4四半期36.1%、16年4月期第1四半期35.0%と低下傾向だったが、その後は第2四半期35.3%、第3四半期35.0%と下げ止まり、第4四半期には円高傾向も寄与して35.7%に上昇している。

 四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期19億94百万円、第2四半期21億32百万円、第3四半期18億56百万円、第4四半期24億16百万円で、営業利益は第1四半期67百万円、第2四半期1億09百万円、第3四半期33百万円、第4四半期2億32百万円だった。季節要因で第4四半期の構成比が高くなる収益構造だが、特に16年4月期第4四半期は四半期ベースで過去最高の売上高となった。

■17年4月期大幅増収増益予想

 今期(17年4月期)連結業績予想(6月9日公表)は売上高が前期(16年4月期)比15.6%増の97億05百万円、営業利益が同20.6%増の5億32百万円、経常利益が同24.1%増の5億20百万円、純利益が同31.0%増の3億49百万円としている。配当予想については実施する予定だが、金額は未定としている。

 認知度・信用力の向上、サイトの利便性向上、美容業界イベントへの積極出展、PB新商品の投入、福岡ショールームの拡大移転、カタログ通販誌「BG STYLE」発刊などの施策に加えて、スマホ用バーコード発注アプリ「BGスマート発注」の本格化、さらに歯科業界向け当社商品販売開始などの効果も期待される。

 四半期ベースで見ると季節要因のため第1四半期は前四半期(16年4月期第4四半期)との比較で低水準となるが、通期ベースでの増収増益基調に変化はなく、足元の円高傾向もプラス要因となって上振れ余地があるだろう。

■16年4月期末から株主優待制度を導入

 16年4月期末から株主優待制度を導入した。対象株主については、初回は16年4月30日現在で1単元(100株)以上を継続して3ヶ月以上保有する株主を対象とし、その後は毎年4月30日現在で1単元(100株)以上を継続して1年以上保有する株主を対象とする。優待内容は該当株主1名につき、希望小売価格3000円相当分の当社オリジナルブランド商品を贈呈する。

■株価は自律調整一巡して上値試す、15年6月の上場来高値も射程圏

 株価の動きを見ると、17年4月期大幅増益予想を好感して6月21日の年初来高値1414円まで急伸した。その後は利益確定売りで一旦反落したが、自律調整の範囲だろう。

 7月6日の終値1292円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS58円52銭で算出)は22倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS292円24銭で算出)は4.4倍近辺である。時価総額は約77億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形であり、自律調整が一巡して上値を試す展開だろう。15年6月の上場来高値1470円も射程圏だ。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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