【業績でみる株価】雨降って地固まるか、前年同月比超えを続けるマクドナルド
- 2016/7/7 09:43
- 業績でみる株価
■株価は高値圏
日本マクドナルドホールディングス<2702>(JQ・100株)の売上回復が著しい。2016年12月期の月次は6カ月を終えた。全店売上高、既存店売上高、客数、客単価の全部門が全ての月で上回る成績である。前々年と前年の2014年、2015年の24カ月は、全店売上が前年超えしたのはわずかに3回。客数に至っては、24連敗という悪夢のような成績だった。M&Aや事業売却でも行われない限り、「マックは本当に潰れるのか」と皆が思ったかもしれない。
「去年が悪かったから前年は超えやすい」と考えてしまいがち。暖冬や震災など、突発的な要因ならばそれは当てはまるだろう。マクドナルドは信用を失い、客が離れた。ちょっとメニューを変えただけでは、簡単には回復しない。ましてや口にいれる食べ物を扱っている。それが、100店舗以上の店舗閉鎖を行った中での回復である。
2016年12月期第1四半期は、前年同期比で売上高が27.7%アップ、営業益は黒字化した。2015年12月期本決算が営業利益マイナス234億4000万円、最終益マイナス349億5100万円という大借金からの立て直しである。
店舗の改装や新メニューの投入を、売上回復の理由にあげている。ホームページにあるニュースリリースには、新商品や期間限定の紹介がある。昨年と今年を見比べてみた。昨年の1~6月は、ハッピーセットの企画を除いて新メニューの紹介はざっと16件。今年は23件に増えていた。
件数だけではなく、印象に残るメニューも多かった。2月には「史上初」の、名前を募集したバーガー「北のいいとこ牛っとバーガー」が誕生。4月にはビッグマックを超える大きさのグランドビッグマックとギガビッグマックが登場した。また、DVDが選べるハッピーセットやAKB48の総選挙とのコラボなど、斬新な企画もこの半年に投下された。1500店舗にフリーwi-fiを導入していく発表もされた。とにかくガムシャラに取り組んでいる印象を持った。
ギガマックのような商品は、効率や確実性を求めていたら生まれてこないメニューだ。名前を考えるのに夢中になり、友達とギガマックの早食いをして楽しんだ、そんな若者もいただろう。やはり、客数が戻るには理由があったのである。
株価の方は、業績ほど大きな動きはみせていない。業績が悪化した2014年からの安値は2215円で高値は3070円とそれほどの値幅ではない。10年の期間でみれば、むしろ高値圏に位置している状態だ。個人保有の多いマック株。この業績でも信用売りが残り、株価は維持されてきた。みんな復活を待ち望んでいたのだろう。今年の7月は銀座1号店ができてから45年になる。45周年記念バーガーは、素直にお祝いして食べることができそうである。