- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- トーソーは17年3月期大幅増益予想で収益改善基調
トーソーは17年3月期大幅増益予想で収益改善基調
- 2016/7/11 07:51
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
トーソー<5956>(東2)はカーテンレールやインテリアブラインドの大手で、室内装飾関連事業を主力に介護用品事業も展開している。17年3月期大幅増益予想で収益改善基調である。株価は地合い悪化も影響して年初来安値圏だが指標面に割安感があり、調整一巡して反発が期待される。なお7月29日に第1四半期の業績発表を予定している。
■カーテンレール・インテリアブラインドの大手
カーテンレールやインテリアブラインドの大手である。国内市場シェアはカーテンレールが約50%、ブラインドが約15%である。室内装飾関連事業を主力としてステッキなど介護用品事業も展開している。16年3月期の事業別売上高構成比は室内装飾関連事業98%、介護用品事業2%だった。
中期成長戦略では「窓辺の総合インテリアメーカー」として、高付加価値商品の拡販、インテリアトレンドに合わせた特長ある商品や省エネ・節電対応など新商品開発のスピードアップ、コスト競争力の強化、ホテルや商業施設など非住宅分野における需要の取り込み、大型物件の獲得や新興国の消費需要取り込みによる海外売上高の拡大、新規領域としての介護用品事業の拡大などの施策を強化している。
なお16年1月には、フランスの子会社トーソー・ヨーロッパを解散して清算すると発表した。欧州市場の販売戦略を見直して当社からの直接取引とする。
■住宅関連市場の影響受ける収益構造
四半期別業績推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期53億10百万円、第2四半期55億38百万円、第3四半期53億38百万円、第4四半期62億81百万円、営業利益が9百万円、2億25百万円、1億04百万円、4億67百万円、16年3月期は売上高が48億93百万円、54億73百万円、54億57百万円、62億89百万円で、営業利益が1億69百万円の赤字、2億21百万円、1億76百万円、3億66百万円だった。
新設住宅着工件数やリニューアルなど住宅関連市場の影響を受け、第4四半期の構成比が高い収益構造である。16年3月期は住宅関連市場が本格回復に至らず、円安に伴う輸入原材料価格上昇、15年9月の関東・東北豪雨(台風18号)による鬼怒川決壊に伴う協力工場の一部生産設備および資材(当社資産)の冠水被害なども影響して減収減益だった。
売上総利益は同1.5%減少したが、売上総利益率は41.1%で同横ばいだった。販管費は同0.6%増加し、販管費比率は38.4%で同0.9ポイント上昇した。特別利益では退職給付制度改定益を計上したが、投資有価証券売却益および事業譲渡益が一巡した。特別損失では減損損失および災害損失を計上したが、厚生年金基金解散損失引当繰入額が一巡した。
なおROEは2.8%で同0.4ポイント低下、自己資本比率は52.1%で同0.4ポイント低下した。配当性向は33.6%だった。利益還元については、効率的な業務運営による収益力の向上、財務体質の強化を図りながら、安定的な配当の継続を重視しつつ、業績および今後の設備投資計画、配当性向等を総合的に勘案した利益配分を行うとしている。
セグメント別動向を見ると、室内装飾関連事業は住宅市場の回復遅れや水害による販売機会喪失などで、売上高が同1.7%減の217億76百万円、営業利益が同26.2%減の5億85百万円だった。その他事業はステッキを中心とした介護関連用品の販売活動強化などで、売上高が同8.3%増の3億35百万円、営業利益が8百万円の黒字(前々期は6百万円の赤字)だった。
■17年3月期は大幅増益予想で収益改善基調
今期(17年3月期)の連結業績予想(5月11日公表)については、売上高が前期(16年3月期)比4.0%増の230億円で、営業利益が同51.5%増の9億円、経常利益が同50.5%増の8億80百万円、純利益が同76.1%増の5億50百万円としている。配当予想は前期と同額の年間10円(第2四半期末5円、期末5円)で予想配当性向は19.1%となる。
住宅関連市場は本格回復に至っていないが、新製品開発力や市場対応力の強化に取り組み、宿泊・医療・福祉施設といった非住宅領域への拡販を推進する。原価低減や総費用低減の徹底も寄与して大幅増益予想である。収益は改善基調だろう。
■株主優待制度は3月期末に実施
株主優待制度を実施して積極還元姿勢を示している。毎年3月31日現在で1単元(100株)以上保有株主に対して1000円相当の優待品、10単元(1000株)以上保有株主に対して3000円相当の優待品を贈呈する。優待品はギフトカタログに掲載された旬の食材や生活用品等の中から1点を選択する。また環境保全活動の一環として、インドネシア共和国における「植林活動への寄付」も設けている。
■株価は調整一巡して反発期待、指標面に割安感
株価の動きを見ると、地合い悪化も影響して7月6日に463円まで調整し、1月の年初来安値に並んだ。
7月8日の終値465円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS52円35銭で算出)は8~9倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は2.2%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1036円23銭で算出)は0.4倍近辺である。時価総額は約55億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線に続いて13週移動平均線も割り込んだが、460円近辺が下値支持線の形だ。指標面に割安感があり、調整一巡して反発が期待される。
(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)