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鉄人化計画は調整一巡して出直り、16年8月期増益予想で収益改善基調
- 2016/7/11 07:30
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
鉄人化計画<2404>(東2)はカラオケルーム運営事業への経営資源集中を進めている。16年8月期増益予想で収益改善基調である。そして新たな成長ステージに向けて新規出店の検討も開始している。株価は地合い悪化の影響を受ける場面があったが、調整一巡して出直り展開だろう。
■カラオケルーム運営事業が主力
首都圏中心に展開する「カラオケの鉄人」ブランドのカラオケルーム運営事業を主力としている。また「カラオケの鉄人モバイル(カラ鉄モバイル)」サイト運営やコンテンツ配信ASPサービスのCP事業、まんが喫茶(複合カフェ)運営事業、音響設備販売、海外事業(グアムのエンターテイメントレストラン運営)なども展開している。
15年8月期セグメント別売上構成比はカラオケルーム運営事業83.1%、フルサービス型珈琲ショップ運営事業(15年8月譲渡)7.7%、CP事業3.3%、その他6.0%だった。
■カラオケルーム運営事業に経営資源を集中して新規出店の検討開始
コア事業であるカラオケルーム運営事業への経営資源集中を進め、14年6月韓国カラオケ店舗事業の当社持分を譲渡、15年1月台湾でフルサービス型珈琲ショップを運営する連結子会社の解散を発表、15年4月広告代理店業務を展開する子会社パレードの解散を発表、15年7月子会社システムプランベネックスを吸収合併した。また15年8月、京都を中心に「からふね屋珈琲店」を展開するフルサービス型珈琲ショップ運営事業について、運営子会社(からふね屋珈琲)の全株式をジェイアール西日本フードサービスに譲渡した。
一方で15年12月、モバイル・ミュージック配信サービス企画・運営などを展開するレコチョクと共同出資で企画会社(T・Rプロジェクト)を設立した。映像と音楽を活用した新しい音楽体験サービスを提供する事業会社を設立し、17年8月期のサービス開始を目指すとしている。
不採算事業の整理や子会社売却による事業再編が進展し、財政状態が相当程度改善したため、新たな成長ステージに向けてカラオケルーム運営事業における新規出店の検討を開始している。
■カラオケルームは独自開発「鉄人システム」に特徴
カラオケルーム運営事業は、すべてのルームで複数の通信カラオケメーカーの機種が利用できる独自開発のカラオケ集中管理システム「鉄人システム」をベースとして、50万曲を超える豊富な楽曲配信、独自分析によるオリジナル楽曲の配信、顧客情報のデータベース化などを特徴としている。
出店戦略は20ルーム前後の中小型店舗で、設備投資負担が小さい居抜き物件への出店を基本としている。首都圏中心部の駅前立地などでは40ルーム以上の大型店も出店する。収益性と効率性を重視した厳選出店戦略を推進している。
■第2四半期(12~2月)と第3四半期(3~5月)が繁忙期の収益構造
収益構造に関してはカラオケルーム運営事業が季節要因の影響を受けやすく、忘年会・新年会シーズンの第2四半期(12月~2月)、および歓送迎会シーズンの第3四半期(3月~5月)が繁忙期となり、売上高・利益とも構成比が高いという特徴がある。
四半期別業績推移を見ると、14年8月期は売上高が第1四半期22億92百万円、第2四半期27億95百万円、第3四半期26億53百万円、第4四半期24億11百万円、営業利益が2億12百万円の赤字、2億86百万円の黒字、1億49百万円の黒字、82百万円の黒字、15年8月期は売上高が22億78百万円、27億25百万円、24億04百万円、24億34百万円、営業利益が1億01百万円の赤字、3億34百万円の黒字、1億36百万円の黒字、53百万円の黒字だった。
15年8月期はカラオケルーム運営事業の不採算店2店舗閉店などで減収だったが、厳選出店、不採算店閉店、店舗商圏・環境を意識したセグメント・マーケティングの推進、既存店舗オペレーションの見直し、閑散期における店舗原価削減施策の推進の効果などで営業損益が大幅に改善した。
15年8月期の売上総利益率は19.5%で同2.2ポイント上昇、販管費比率は15.2%で同0.9ポイント上昇した。特別利益にはからふね屋珈琲譲渡に伴う関係会社株式売却益を計上した。ROEは15.3%で同7.7ポイント上昇、自己資本比率は21.4%で同3.8ポイント上昇した。
15年8月期の配当性向は23.5%だった。配当についての基本方針は、中長期的な配当性向の目安として連結純利益の20%をメドに配当を行うとともに、当期および今後の業績や財政状況等を勘案して継続的に配当を行うとしている。
■16年8月期第2四半期累計は減収減益
今期(16年8月期)第2四半期累計(9~2月)の連結業績は、売上高が前年同期比16.1%減の41億97百万円、営業利益が同56.7%減の1億01百万円、経常利益が同48.0%減の1億40百万円、純利益が同75.5%減の43百万円だった。カラオケルーム運営事業の既存店売上高は94.7%だった。
子会社売却など事業再編の影響、二次会としてのカラオケ利用頻度の減少傾向、競争激化の影響などで減収減益だった。なお売上総利益は同15.2%減少したが、売上総利益率は19.7%で同0.3ポイント上昇した。販管費は同2.0%減少したが、販管費比率は17.2%で同2.4ポイント上昇した。
セグメント別(連結調整前)動向を見ると、カラオケルーム運営事業は売上高が同5.7%減の39億42百万円で営業利益が同1.6%減の4億62百万円、CP事業は売上高が同24.1%減の1億30百万円で営業利益が同30.4%減の77百万円、その他は売上高が同65.7%減の1億24百万円で営業利益が22百万円の赤字(前年同期は26百万円の黒字)だった。事業譲渡したフルサービス型珈琲ショップ運営事業の前年同期売上高は3億98百万円、営業利益は15百万円だった。
四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期18億79百万円、第2四半期23億18百万円、営業利益は第1四半期1億64百万円の赤字、第2四半期2億65百万円だった。
■16年8月期通期は増益予想
今期(16年8月期)通期の連結業績予想(10月15日公表)は、売上高が前期(15年8月期)比9.6%減の89億円、営業利益が同4.2%増の4億40百万円、経常利益が同13.1%増の5億円、純利益が同3.3%増の3億円としている。配当予想は前期比1円減配の年間10円(第2四半期末5円、期末5円)で、予想配当性向は20.7%となる。
フルサービス型珈琲ショップ運営事業から撤退したことも影響して減収だが、店舗環境に応じた効率的な販促活動、原価削減、人員配置などの施策で増益予想としている。通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が47.2%、営業利益が23.0%、経常利益が28.0%、純利益が14.3%である。利益進捗率が低水準のため通期予想の下振れに注意が必要となるが、歓送迎会シーズンとなる第3四半期での挽回を期待したい。
カラオケルーム運営事業は大手チェーンとの競合が激しいが、収益性の高い地域に厳選した出店戦略、顧客満足度向上に向けた店舗教育の強化、オリジナル楽曲の開発・提供加速、大手レーベルとのコラボレーション企画などの営業強化策、店舗オペレーションの効率化などの施策を推進している。不採算店舗閉鎖や不採算事業の整理進展なども寄与して収益改善が期待される。
■株主優待制度は8月末に実施
からふね屋珈琲の株式譲渡に伴って15年7月、株主優待制度の内容変更を発表した。変更後は毎年8月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して、①当社カラオケ店舗「会員カード」、②当社カラオケ店舗およびマンガ店舗で使用可能な「飲食ご優待券」の2商品を贈呈する。なお②は保有株数に応じて贈呈する。
■株価は調整一巡して出直り
株価の動きを見ると、地合い悪化の影響を受けて6月24日に385円まで調整する場面があったが、2月の年初来安値325円まで下押すことなく切り返しの動きを強めている。
7月8日の終値414円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS48円30銭で算出)は8~9倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は2.4%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS327円07銭で算出)は1.3倍近辺である。時価総額は約28億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線突破の動きを強めている。調整一巡して出直り展開だろう。
(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)