- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- インフォメーションクリエーティブは指標面の割安感を見直し、16年9月期大幅増益予想
インフォメーションクリエーティブは指標面の割安感を見直し、16年9月期大幅増益予想
- 2016/7/13 07:40
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
インフォメーションクリエーティブ<4769>(JQS)はソフトウェア開発中心にソリューションサービスを提供している。需要が高水準で16年9月期は大幅増益予想である。株価は地合い悪化の影響を受ける場面があったが切り返しの動きを強めている。指標面の割安感も見直して戻りを試す展開が期待される。
■ソフトウェア開発中心にソリューションサービスを提供
ソフトウェア開発事業、システム運用事業、その他(パッケージ開発・販売)事業を展開し、顧客に常駐する型で情報サービス分野における総合的なソリューションサービスを提供している。
15年9月期の事業別売上高構成比はITソリューション事業が98.2%、ITサービス事業が1.8%だった。顧客別に見ると日立システムズや日立ソリューションズなど、日立製作所<6501>グループ向けが全体の約6割を占めて収益源となっている。
16年6月、ITサービス事業拡大の一環として子会社LOCOZAP(仮称)の設立を発表した。訪日外国人旅行客に向けて、魅力的な日本の文化、歴史、人々との交流を体験してもらうインターネットサービスを提供する。なお設立は16年8月予定である。
■アライアンス戦略も積極推進
15年5月には、CNプレイガイドを運営してチケッティングに関するソリューションサービスを提供するコミュニティ・ネットワークと、エンターテイメント市場に特化したチケッティングソリューションサービス事業領域において包括的業務提携した。
提携の第1フェーズとして、当社の「チケット for Windows」とコミュニティ・ネットワークの「CNシステム」をシステム連動させた新たなチケット販売・管理ASPサービス「チケットGATE」を提供する。座席登録、票券管理から発券・決済までチケット販売に関わるすべての業務を一本化して、全国のコンビニ約2万9000拠点を利用できる新チケッティングソリューションシステムだ。
提携の第2フェーズとしては、チケット販売額の適正化・収益の最大化をサポートするイールドマネジメントシステムなど、多様化するチケット販売方法に適応する次世代型チケッティングシステムの開発を推進する方針だ。
■第2四半期(1月~3月)の構成比が高い収益構造
15年9月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期15億97百万円、第2四半期18億22百万円、第3四半期15億89百万円、第4四半期17億86百万円、営業利益は72百万円、1億49百万円、7百万円、98百万円だった。
企業や官公庁の年度末にあたる第2四半期の構成比が高い収益構造である。売上総利益率は15.2%で同1.0ポイント低下、販管費比率は10.4%で同0.5ポイント低下、ROEは6.1%で同3.1ポイント上昇、自己資本比率は68.5%で同0.8ポイント上昇した。配当性向は31.4%だった。
事業別の売上高は、ITソリューション事業が同5.4%増の66億74百万円(ソフトウェア開発が同8.7%増の30億35百万円、システム運用が同2.8%増の36億39百万円)だった。ITサービス事業は同21.2%減の1億19百万円だった。日立グループ向けは売上高が40億08百万円、売上構成比が59.0%(14年9月期は売上高39億59百万円で売上構成比61.1%)だった。
■16年9月期第2四半期累計は大幅増益
今期(16年9月期)第2四半期累計(10月~3月)の非連結業績は、前年同期比5.6%増収、同33.6%営業増益、同21.5%経常増益、同48.0%最終増益だった。増収効果、業務効率化効果に加えて、第2四半期に予定していた研究開発等の費用発生が第3四半期および第4四半期に繰り越されたことも寄与した。
売上総利益は同14.8%増加し、売上総利益率は17.9%で同1.5ポイント上昇した。販管費は同2.5%増にとどまり、販管費比率は9.7%で同0.3ポイント低下した。営業外収益では保険解約返戻金が減少(前期17百万円計上、今期2百万円計上)した。特別損失では固定資産廃棄損が減少(前期27百万円計上、今期0百万円計上)し、前期計上の減損損失4百万円が一巡した。
■16年9月期通期も大幅増益予想
今期(16年9月期)通期の非連結業績予想(11月6日公表)は売上高が前期(15年9月期)比9.4%増の74億33百万円、営業利益が同30.7%増の4億26百万円、経常利益が同22.2%増の4億64百万円、純利益が同41.7%増の2億93百万円としている。配当予想は前期と同額の年間24円(期末一括)で予想配当性向は31.4%となる。
売上面ではマイナンバー関連も含めて、金融機関の大型案件や官公庁向けを中心にソフトウェア開発需要が拡大する見込みだ。利益面では増収効果に加えて、前期のシステム運用における待機工数増加やソフトウェア開発における作業超過といった、利益押し下げ要因の一巡も寄与する。大幅増益予想だ。
通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は、売上高48.6%、営業利益69.3%、経常利益66.4%、純利益67.9%である。第2四半期の構成比が高い収益構造で、研究開発等の費用発生が下期に繰り越されたことを考慮しても、概ね順調な水準だろう。通期ベースでも好業績が期待される。
■長期ビジョンで100億円企業、東証2部上場を目指す
13年11月策定の新中期経営計画(14年9月期~16年9月期)では、基本戦略としてソフトウェア開発・システム運用などのITソリューション事業の安定成長、自社パッケージ開発・販売のITサービス事業の成長加速、強固な人材・組織基盤の構築を推進している。
経営目標値は16年9月期売上高80億円(ITソリューション事業76億円、ITサービス事業4億円)、売上高経常利益率8.0%を掲げている。そして長期ビジョンでは100億円企業、東証2部上場を目指している。
■株価は割安感も見直して戻り試す
株価の動きを見ると、地合い悪化も影響して6月24日に780円まで調整する場面があったが、2月の年初来安値725円まで下押すことなく切り返しの動きを強めている。
7月12日の終値841円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想EPS76円55銭で算出)は11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間24円で算出)は2.9%近辺、前期実績PBR(前期実績BPS908円02銭で算出)は0.9倍近辺である。時価総額は約33億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線を素早く回復した。指標面の割安感も見直して戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)