- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- ファンデリーは健康食宅配事業の好調で17年3月期増収増益予想
ファンデリーは健康食宅配事業の好調で17年3月期増収増益予想
- 2016/7/14 08:46
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ファンデリー<3137>(東マ)は健康食宅配事業を主力として、ヘルスケア総合企業を目指している。健康食宅配が好調に推移して17年3月期増収増益予想である。一人暮らし高齢者や生活習慣病の増加も背景に中期成長期待が高まる。株価は地合い悪化も影響したが、調整一巡して出直り展開だろう。
■健康食宅配サービスのMFD事業が主力
01年開始した栄養士による健康食宅配サービス「カウンセリングデリバリー」を主力としている。企業理念には「一食二医社会の実現」を掲げている。健康増進を図るためには第一に「食事コントロール」があり、それでも困難なときに「医療」を行うことが望ましく、医療費削減に貢献するためにも「一食二医社会の実現」を目指すとしている。
健康食宅配サービスのMFD(Medical Food Delivery)事業は、健康食(冷凍弁当)の通販カタログを医療機関や調剤薬局などを通じて配布し、顧客(個人)から電話・FAX・WEBを通じて注文を受けて宅配する。定期コースとして、当社の管理栄養士・栄養士が顧客の疾病、制限数値、嗜好に合わせてメニューを選び、定期的に届ける「栄養士おまかせ定期便」も提供している。
健康食通販カタログは、医療機関・保健所・介護施設向けミールタイム(年4回発刊)、調剤薬局向けミールタイムファーマ(年2回発刊)、および介護食系ミールタイムケアを発刊し、毎号半分程度のメニューを変更して旬の食材を提供する。ミールタイム発行部数は13年春号40万部、14年春号50万部、15年春号75万部と増加基調である。また健康食通販サイトのミールタイムも運営している。
健康食宅配サービスから派生した事業として、健康食通販カタログ誌面の広告枠販売、商品サンプリングや健康食レシピ作成の業務受託、健康食レシピサイト運営などのマーケティング事業も展開し、収益源の多様化を推進している。16年3月期の事業別売上高構成比はMFD事業92%、マーケティング事業8%である。
■専門性の高い栄養士によるカウンセリングや宅配サービスに強み
当社の健康食宅配サービスは従来の食事宅配サービスと一線を画し、食事コントロールを通じた血液検査結果の数値改善を目指している。このため栄養士が開発した健康食メニュー、栄養士によるカウンセリング宅配サービス、栄養士が電話対応する注文・相談・カウンセリングを特徴としている。15年7月1日現在、従業員50名のうち女性40名全員が栄養士である。
健康食通販カタログを配布する病院や調剤薬局などの紹介ネットワークを通じた効率的な顧客獲得と、専門性の高い栄養士によって、食事制限が必要な方に対して「ヘルシー食」「ヘルシー食多め」「たんぱく質調整食」「ケア食」など多様な健康食を提案できることが強みだ。担当栄養士に対する信頼感でリピート率も上昇している。15年11月には在宅医療を必要とする患者等の食事療法をサポートするため、医療機関に所属する管理栄養士が作る健康食レシピサイト「はちまるレシピ」を開設した。
16年3月期末時点のMFD事業会員数は15年3月期末比3万134人増加の18万2905人、定期コース会員数は同859人増加の6938人だった。いずれも増加基調である。1件あたり購入単価は6900円前後、定期コースの売上構成比は5割強で推移している。
■16年3月期は計画超の増収増益
16年3月期はMFD事業が好調に推移して計画超の増収増益だった。売上総利益は16.8%増加し、売上総利益率は57.2%で同1.9ポイント上昇した。販管費はカタログ発行部数増加などで同18.0%増加し、販管費比率は40.5%で同1.7ポイント上昇した。ROEは26.1%で同6.1ポイント低下、自己資本比率は78.5%で同8.4ポイント上昇した。配当は無配を継続した。
セグメント別に見ると、MFD事業は売上高が同16.0%増の27億72百万円、営業利益(連結調整前)が同38.7%増の5億98百万円だった。知名度上昇効果で新規会員数が大幅増加し、定期購入サービス「栄養士おまかせ定期便」の利用者も順調に拡大した。マーケティング事業は売上高が同12.6%減の2億42百万円、営業利益が同13.3%減の1億80百万円だった。
なおMFD事業の主要指標の推移を見ると、会員数は15年3月期第4四半期末15万2771人、16年3月期第1四半期末15万6872人、第2四半期末16万994人、第3四半期末17万7025人、第4四半期末18万2905人、定期コース会員数は15年3月期第4四半期末6079人、16年3月期第1四半期末6252人、第2四半期末6185人、第3四半期末6772人、第4四半期末6938人と増加基調である。1件あたり購入単価は6900円前後で推移している。
四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期6億58百万円、第2四半期6億48百万円、第3四半期8億98百万円、第4四半期8億11百万円、営業利益は第1四半期1億05百万円、第2四半期72百万円、第3四半期1億74百万円、第4四半期1億49百万円だった。
■17年3月期も増収増益予想
今期(17年3月期)の非連結業績予想(5月10日公表)については、売上高が前期(16年3月期)比15.0%増の34億66百万円、営業利益が同13.3%増の5億67百万円、経常利益が同11.4%増の5億57百万円、そして純利益が同8.8%増の3億40百万円としている。知名度向上効果、紹介ネットワークの新規開拓や深耕などにより、MFD事業が好調に推移して増収増益予想だ。販管費は同15.5%増の14億11百万円の計画としている。
セグメント別の計画は、MFD事業の売上高が同14.2%増の31億66百万円で営業利益(連結調整前)が同12.8%増の6億75百万円、マーケティング事業の売上高が同23.7%増の3億円で営業利益が同26.9%増の2億28百万円としている。MFD事業の受注件数は同15.5%増の46万件、平均単価は同横ばいを想定している。
配当については無配を継続する。当面は内部留保の充実に注力する方針だが、今後は事業規模や収益が安定成長段階に入ったと判断された時点で、経営成績・財政状態を勘案しながら、配当による株主への利益還元に努めるとしている。
■一人暮らし高齢者や生活習慣病の増加なども背景に中期成長期待
中期成長戦略として紹介ネットワーク拡大・深耕、定期コース顧客獲得、コラボレーションによる商品付加価値向上、マーケティング事業拡大を掲げ、ヘルスケア総合企業を目指している。
紹介ネットワークに関しては、開拓余地の大きい全国10万箇所強の一般病院・診療所向けに拡大を推進するとともに、既存紹介ネットワークにおいても栄養士の交流会「輝く栄養士の会」運営などを通じて、当社の栄養士と医療機関・保健所・介護施設等の栄養士とのコミュニケーション向上を図る。管理栄養士・栄養士のコミュニティサイト「Foodish(フーディッシュ)」も運営している。
定期コース顧客獲得では「栄養士おまかせ定期便」の拡充などの施策によってリピーターの獲得を推進する。リピーター獲得によって安定的な売上・利益の拡大に繋げる。コラボレーションによる商品付加価値向上では、食品メーカー・協会や病院栄養士とのコラボレーションを強化する。
マーケティング事業拡大では、健康食レシピ情報サイトに食品メーカー等の商品を使用した健康食レシピを公開するなど、健康食レシピ情報サイトも活用して事業を拡大する。
高齢者数の増加、特に一人暮らし高齢者の増加、さらに生活習慣病患者や食事制限対象者の増加を背景に、健康食宅配市場は拡大基調が予想される。中期的に収益拡大基調だろう。
■株価は調整一巡して出直り
株価の動きを見ると、地合い悪化も影響して6月24日に700円まで調整する場面があったが、2月の年初来安値588円まで下押すことなく、その後は切り返しの動きを強めている。
7月13日の終値805円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS53円63銭で算出)は15倍近辺、実績PBR(前期実績のBPS230円84銭で算出)は3.5倍近辺である。時価総額は約51億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線突破の動きを強めている。調整一巡して出直り展開だろう。
(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)