【話題】インバウンド消費は高額品から観光にシフトが鮮明

■6月の百貨店売上高は3.5%減少

 日本百貨店協会が20日発表した6月の全国百貨店売上高は、店舗数調整後(既存店ベース)で前年同月比3.5%減少となった。5月の同5.1%減少に比べて減少率は1.6ポイント改善したが4ヶ月連続の前年割れだった。国内購買客(シェア97.2%)が低調なことに加えて、訪日外国人(シェア2.8%)は購買客数が同14%増加(41ヶ月連続前年比プラス)したものの、購買単価が同30.2%下落し、売上高は同20.4%減少して3ヶ月連続の前年割れとなった。

 日本フランチャイズチェーン協会が20日発表した6月の全国コンビニエンスストア売上高が既存店ベースで前年同月比0.8%増加(2ヶ月ぶりの前年比プラス)したのと対照的であり、訪日外国人による高額品消費の落ち込みが鮮明だ。

■6月の訪日外国人数は23.9%増加

 日本政府観光局(JNTO)が20日発表した6月の訪日外国人数(推計値)は前年同月比23.9%増の198万5700人となり、6月として過去最高を更新した。中国からの訪日者数も4月から3ヶ月連続で50万人を超えた。また1~6月累計も前年同期比28.2%増の1171万3800人となり、初めて半年で1000万人を超え過去最高となった。訪日外国人数の増加基調に変化はない。

■4~6月期の訪日外国人1人当たり旅行支出は9.9%減少

 国土交通省観光庁が20日発表した訪日外国人消費動向調査(速報)では、4~6月期の訪日外国人消費額は9533億円で前年同期比7.2%増加したが、訪日外国人1人当たり旅行支出は15万9930円で同9.9%減少した。特に中国が21万9996円で同22.9%減少した。為替が円高方向に傾いたことなどで購買が高額品から消耗品に移行したようだ。また中国で個人輸入品に対する関税が強化されたことや、ネット通販の利用が増加していることも一因のようだ。

■航空・鉄道・ホテル・観光業界は客数増加で良好な事業環境が継続

 以上の結果から、訪日外国人数は増加基調であり、訪日外国人による消費総額も増加基調である。ただし中国からの旅行客による「爆買い」が影を潜め、インバウンド消費は時計・カメラ・家電などの高額品から、消耗品、あるいは観光地で日本の文化に触れることにシフトしていることが鮮明になった。

 したがって、都心立地で高額品消費の恩恵を受ける百貨店・家電量販店・免税店などにとっては戦略再構築が課題となるが、客数増加の恩恵を受ける航空・鉄道・ホテル・観光などの業界にとっては良好な事業環境が継続していると言えるだろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  2. ■2024年度上半期163件で過去最多更新  人手不足による倒産が急増している。帝国データバンクの…
  3. ■新たなモビリティ社会実現に向けた取り組み加速  トヨタ自動車<7203>(東証プライム)は10月…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る