【編集長の視点】セラクは上場来安値も3Q高進捗業績を見直し期末配当権利取りを早期に意識して下げ渋り

 セラク<6199>(東マ)は、125円安の3130円と続落して始まり、今年7月19日につけた上場来安値3175円を下抜いている。きょう22日の東証マザーズ指標が、6営業日続落してスタートいることから同社株にも手仕舞い売りが続いている。

 ただ、同社株は、今年7月1日に新規株式公開(IPO)されたばかりで、IPO後の初決算として7月8日に発表した今8月期第3四半期(2015年9月~2016年5月期、3Q)業績が、IPO時予想の今8月期通期業績に対して高利益進捗率を示したことを見直し、また今期配当を9.3円と実質増配を予定し新興市場のIPO株としては異例の有配株となっていることから、8月末の権利取りが早期に意識され、この最安値水準で下げ渋りの動きもみせている。

■IoT分野の新規案件発掘も寄与し3Q利益進捗率は目安の75%を上回る

 同社がIPO後の初決算として発表した今期3Q業績は、売り上げ46億2200万円、営業利益4億400万円、経常利益4億400万円、純利益2億5600万円で着地した。四半期決算は初作成となるため前年同期比較はないが、利益進捗率は、8月通期予想業績に対して77%~82%と目安の75%を上回った。IT(情報技術)クラウド基盤の構築・運用保守などのITインフラ事業や、WEBサイト構築のWEBマーケティングコミュニケーション事業などの幅広いIT関連のオンサイト型サービスが、IT関連の大型投資やIT業界の人材不足を受けて好調に推移、ITインフラ事業では運用保守を24時間365日体制で請け負うアウトソーシングサービスで新規顧客を開拓し、WEBマーケティングコミニケーション事業でも高稼働率が継続し、このほかスマートソリューション事業では、スマートフォンアプリの開発からIoT(モノのインターネット化)分野への販売促進に主軸を移し新規案件の発掘に注力したことなどが寄与した。

 8月通期業績は、IPO時予想を据え置き売り上げ65億円(前期比21.7%増)、営業利益5億2300万円(同68.7%増)、経常利益5億2000万円(同61.9%増)、純利益3億1200万円(同46.8%増)と大幅続伸、連続過去最高更新を見込んでいる。配当は、9.3円を予定し、今年4月30日付けで実施した株式分割(1対100)前の前期配当680円に対して実質増配する。

■最高値から54%下げで値幅調整の一巡感を示唆し急騰特性再現も期待

 株価は、IPO初日は買い気配値を切り上げたまま推移し、2日目に公開価格1500円を倍以上上回る3900円で初値をつけ即ストップ高、その後も2日連続のストップ高を演じて上場来高値6840円をつける高人気となった。この反動でIPO初日につけた3850円を下抜け下値を探っているが、値幅的にきょう22日の最安値で最高値から54%下げと目先調整一巡感も示唆している。PERも29倍台と既上場の類似企業に比べて相対的に割り負けており、急騰特性再現期待を強め一段の底上げに進もう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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