トレジャー・ファクトリーは売られ過ぎ感、連結決算移行の17年2月期は実質営業増益で増配予想

 トレジャー・ファクトリー<3093>(東1)はリユースショップを展開し、新規出店、新業態開発、買い取り強化を積極推進している。17年2月期はタイ子会社設立に伴って連結決算に移行する。第1四半期は人件費など先行投資負担で実質営業減益だったが、通期は新規出店や売上総利益率改善などで実質営業増益、増配予想である。株価は売られ過ぎ感を強めて反発が期待される。

■リユースショップを首都圏中心にチェーン展開

 総合リユース業態「トレジャー・ファクトリー」や服飾専門リユース業態「トレファクスタイル」などのリユースショップを、首都圏直営店中心にチェーン展開している。

 16年2月期末時点の店舗数は8都府県に、直営総合業態「トレジャー・ファクトリー」54店舗、直営服飾業態「トレファクスタイル」27店舗、古着アウトレット業態「ユーズレット」2店舗、スポーツ・アウトドア業態「トレファクスポーツ」2店舗、事業譲り受けた「ブランドコレクト」業態2店舗、およびFC総合業態「トレジャー・ファクトリー」4店舗の合計91店舗である。

 成長戦略として、既存店強化(店舗移転・リニューアル、出張・宅配など一般買い取り強化による売上総利益率改善)、多店舗展開(複数業態組み合わせて年間12店舗前後の新規出店、全国大都市圏への展開)、新業態開発・出店、海外事業を推進している。

 関西地域でのドミナント出店は15年11月総合リユース業態・松原店(大阪府松原市)をオープンし、16年2月期末の関西圏店舗数は合計7店舗となった。16年5月には中部エリア1号店の総合業態・徳重店(名古屋市)をオープン、16年7月には九州エリア1号店の総合業態・福岡春日店(福岡県春日市)をオープンした。

 海外は16年3月タイに合弁で現地法人(出資比率は当社約49%、現地コンサルティング会社3社合計51%)を設立し、16年7月海外1号店としてタイ・バンコクに総合業態クンビット39店をオープンした。

■新業態や新規事業も推進

 新業態では、13年11月古着アウトレット専門業態「ユーズレット」1号店の久喜市・久喜店、14年9月スポーツ・アウトドア用品専門業態「トレファクスポーツ」1号店の横浜市・青葉台店をオープンした。16年1月には新しいコンセプトの店づくりとして服飾業態「トレファクスタイル」で最大の調布市・調布国領店をオープンした。

 14年10月ファーストザウェーブ社のブランドコレクト事業(ウェブサイト、フルフィルメントセンター1拠点、ブランドコレクト原宿店)を譲り受け、15年1月原宿2号店をオープンした。15年8月には「ブランドコレクト」がサイバーエージェント<4751>の運営する国内最大級のユーズドショッププラットフォーム「Ameba古着屋」に出店した。ハイブランド・高価格帯のブランド古着に特化したファッションカテゴリーを強化する。

 なお新規事業として10年10月からブランドバッグ&ファッションのオンラインレンタルサービス「Cariru」を運営している。

■アライアンスを活用して出張買い取りサービス強化

 不動産関連業界や引越会社とのアライアンスを活用して出張買い取りサービスを強化している。15年2月ハウスコム<3275>、8月ミニミニ(東京都)、16年3月ハウスドゥ<3457>、16年5月には大和リビング(東京都)と業務提携した。全国への規模拡大に向けて提携引越会社300社体制構築を目指している。

 また15年6月大規模マンション管理組合を対象とした新サービス「リユースコンシェルジュ for mansion」を開始、15年9月引越と不用品買い取りの一括対応サービス「トレファク引越」がオフィス移転に対応し、対象エリアも関東・関西・九州エリアに東海エリアを加えた。16年4月には、スポーツ・アウトドア用品専門の買い取りサイトにおけるネット事前査定買い取りサービス、総合リユースショップの買い取りサイトにおける家電・家具・小物雑貨などのネット事前査定買い取りサービスを開始した。

 なお7月8日、業務提携違反として16年3月キタザワ引越センターに対して提起した訴訟に関して、和解が成立したと発表している。和解内容は、キタザワ引越センターは当社に対し、本件契約違反を謝罪するとともに、本件契約の競業避止義務条項の順守を誓約するなどとしている。

■第1四半期と第3四半期の売上総利益率が高い季節要因

 四半期別推移を見ると、15年2月期は売上高が第1四半期25億82百万円、第2四半期23億36百万円、第3四半期28億85百万円、第4四半期28億79百万円、営業利益が3億51百万円、77百万円、3億43百万円、1億84百万円で、既存店の売上総利益率は66.8%、65.9%、66.5%、63.4%だった。16年2月期は売上高が30億11百万円、27億08百万円、32億75百万円、32億22百万円、営業利益が3億95百万円、37百万円、4億10百万円、2億44百万円で、既存店の売上総利益率は66.0%、64.2%、65.6%、63.2%だった。

 第1四半期と第3四半期は、引越シーズンなどで利益率の高い家電製品や家具の構成比が高まるため、売上総利益率が高くなるという季節要因があるようだ。また低下傾向だった既存店の売上総利益率は16年2月期第4四半期に前年同期並みに改善した。

 16年2月期(非連結決算)は新規出店(9店舗)や既存店の好調(既存店売上高は15年2月期比5.2%増、既存店1件当たり販売単価は3364円で同175円上昇)で2桁増収増益だった。人件費や賃借料の増加、移転リニューアル3店舗の一時費用発生を増収効果で吸収した。差引売上総利益は同13.0%増加し、差引売上総利益率は64.6%で同0.8ポイント低下した。販管費は同13.0%増加したが、販管費比率は55.8%で同0.6ポイント低下した。

 特別利益にはフルフィルメントセンター移転に伴う受取補償金を計上した。ROEは25.2%で同4.2ポイント上昇、自己資本比率は61.3%で同2.8ポイント上昇した。配当は年間13円で、15年6月1日付株式2分割を考慮して15年2月期の18円を9円に換算すると実質的に4円増配だった。配当性向は18.0%だった。配当性向は25%を当面の目標としている。

 なお直営事業商品別売上高は主力の衣料13.2%増、服飾雑貨14.3%増、電化製品16.1%増となり、生活雑貨13.0%増、家具12.8%増、ホビー用品17.3%増と全カテゴリーが好調だった。商品仕入高は16.7%増加し、経路別構成比は一般買い取りが76.8%で同2.5ポイント上昇した。既存店買い取りは9.1%増加した。

 既存店の売上総利益率は65.3%で同1.2ポイント低下した。出張買い取り配送の外部委託を本格化したため配送費用(仕入副費として売上原価に算入)が増加した。ただし配送の外部委託によって出張買い取りを安定的にこなす体制が整ったため、家電や家具の買い取り・販売増加に繋がっている。

■17年2月期(連結決算へ移行)第1四半期は実質増収・営業減益

 7月13日発表の今期(17年2月期)第1四半期(3~5月)の連結業績は売上高が32億09百万円、営業利益が3億71百万円、経常利益が3億77百万円、純利益が2億46百万円だった。16年3月タイ子会社設立に伴って連結決算に移行したため単純比較はできないが、前期(16年2月期)非連結決算との比較で見ると6.6%増収、6.1%営業減益、6.0%経常減益、6.0%最終増益だった。人件費などの先行投資負担で営業減益だが、計画は上回ったようだ。

 既存店売上高は同1.0%減少したが、新規出店が寄与して増収だった。差引売上総利益は同8.3%増加し、差引売上総利益率は66.9%で同1.0ポイント上昇した。既存店の売上総利益率は66.5%で同0.5ポイント上昇した。値引き販売が減少した。販管費は同11.8%増加し、販管費比率は55.3%で同2.6ポイント上昇した。仕入体制強化のための人員増に伴って人件費が増加し、賃借料や広告宣伝費も増加した。

 直営事業商品別売上高は主力の衣料8.6%増、服飾雑貨6.5%増、そして生活雑貨11.1%増、家具5.2%増、ホビー用品6.8%増と好調だったが、電化製品は0.7%減だった。既存店の1件あたり販売単価は3338円で同23円上昇した。商品仕入高は12.2%増加し、経路別構成比は一般買い取りが76.3%で同1.5ポイント低下した。既存店買い取りは2.0%増加した。

■17年2月期(連結決算に移行)は実質営業増益で増配予想

 今期(17年2月期)の連結業績予想(連結決算移行に伴って7月13日公表)は、売上高が133億03百万円、営業利益が11億27百万円、経常利益が11億57百万円、純利益が7億13百万円としている。連結対象となるタイ子会社の業績予想を織り込んだ。

 前期(16年2月期)非連結決算との比較では8.9%増収、3.7%営業増益、3.8%経常増益、11.3%最終増益となる。配当予想は同3円増配の年間16円(第2四半期末8円、期末8円)で予想配当性向は24.9%となる。

 月次売上(直営店の店舗売上、前年比速報値ベース)を見ると、16年6月は全店105.0%、既存店98.9%だった。既存店売上はAV家電やブランド品が低調で2ヶ月連続の前年割れだった。新規出店は1店舗で合計店舗数は93店舗となった。

 通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が24.1%、営業利益が32.9%、経常利益が32.6%、純利益が34.5%である。第1四半期と第3四半期の売上総利益率が高くなるという季節要因を考慮しても順調な水準だろう。

■中期成長シナリオに変化なし

 リユース市場は拡大基調であり、中期成長に向けて複数業態で国内主要都市への新規出店を加速させる方針だ。首都圏や関西圏を中心に100店舗体制構築を当面の目標としている。

 中期経営目標としては、2桁増収ペース継続と売上高経常利益率10%の実現を当面の目標としている。知名度上昇、国内主要都市への出店加速、新業態開発、大口仕入や出張買い取りの強化、ネット事業の強化、海外リユース事業の展開などで中期成長シナリオに変化はないだろう。

■株主優待制度は毎年2月末に実施

 株主優待制度は毎年2月28日時点の1単元(100株)以上保有株主に対して「トレジャーチケット」を贈呈している。「トレジャーチケット」の内容は「トレジャー・ファクトリーオリジナルクオカード1000円分」、プレゼント抽選券「トレジャーロト」、および当社の店舗および宅配買い取りサービスで利用できる「買い取り金額アップクーポン」をセットにしている。

■株価は売られ過ぎ感強めて反発期待

 株価の動きを見ると7月25日に921円まで調整し、地合い悪化も影響した6月の年初来安値880円に接近した。ただし売られ過ぎ感を強めている。

 7月26日の終値932円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS64円38銭で算出)は14~15倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は1.7%近辺、前期実績PBR(前期実績の非連結BPS310円81銭で算出)は3.0倍近辺である。時価総額は約104億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえてモミ合い下放れの形となったが、売られ過ぎ感を強めて反発が期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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