ジャパンインベストメントアドバイザーは16年12月期大幅増収増益予想、事業領域拡大戦略で中期成長期待

 ジャパンインベストメントアドバイザー(JIA)<7172>(東マ)は、オペレーティング・リース中心に金融ソリューション事業を展開し、16年12月期大幅増収増益予想である。積極的な事業領域拡大戦略で中期成長期待も強い。株価は6月の直近安値から切り返している。調整一巡して4月の上場来高値を目指す展開だろう。なお8月4日に第2四半期累計業績発表を予定している。

■オペレーティング・リース主力に金融ソリューションを展開

 オペレーティング・リース事業を主力として、環境エネルギーファンド事業、M&Aアドバイザリー事業などの金融ソリューション事業を展開し、航空機を対象としたパーツアウト・コンバージョン事業などにも事業領域を広げている。

 15年12月期の製品・サービス別売上高構成比はオペレーティング・リース事業63%、環境エネルギー事業11%、パーツアウト・コンバージョン事業21%、メディア事業4%、その他事業1%である。

 オペレーティング・リース事業は、子会社JPリースプロダクツ&サービシイズ(JLPS)が第二種金融商品取引業登録業者として、航空機や海上輸送用コンテナを主対象に展開している。15年10月には船舶を対象とした日本型オペレーティング・リース第1号案件の組成を完了し、対象物件として航空機・船舶・海上輸送用コンテナのすべての領域をカバーすることになった。

 また米CAI社との合弁会社CAIJ社(コンテナ・オペレーティング・リース事業)を16年4月100%子会社化し、米CAI社およびCAIJ社とコンテナ案件の紹介・供給等を目的として業務提携した。

■知名度・信用力・資金調達力・営業力向上し、投資需要も高水準

 14年9月東証マザーズ上場によって知名度・信用力が向上し、資金調達力や営業力も向上した。オペレーティング・リース事業ではレッシー(賃借人)からの引き合いが途絶えることなく、潜在需要が豊富な状態が続いている。主要顧客(投資家)である中堅・中小企業の投資意欲は高水準で、販売面では全国の金融機関・会計事務所・コンサルティング会社等からの顧客紹介が増加基調である。また太陽光発電ファンドも為替リスクのない安定利回り商品として投資家ニーズが高く、短期間で完売する状況が続いている。

■中期成長に向けて事業領域を拡大

 中期成長に向けてM&Aも積極活用しながら事業領域を拡大している。

 環境関連事業では15年5月LEシステムと資本業務提携した。同社の電力備蓄用バナジウムレドックスフロー電池(VRFB)は太陽光発電の出力抑制に有効な蓄電システムとして期待されている。15年9月あすかグリーンインベストメント(AGI)と資本業務提携した。同社は中央アジアや南アジアで再生可能エネルギーや省エネルギー事業を展開している。15年10月汚泥削減システムのフジ・エコ・テクノス(FET社)に出資した。同社は汚泥に水撃圧を加えて生物処理層へ返送することができる新しい汚泥削減システム(水撃法)を開発して特許を取得している。

 15年11月ルクセンブルクに子会社JIAルクセンブルクを設立、JIAルクセンブルクがパーツアウト・ビジネス専門業者であるフランスVAG社と資本・業務提携し、航空機を対象としたパーツアウト・コンバージョン事業に参入した。パーツアウト事業は退役航空機を解体して各部品を在庫管理し、世界の整備会社・リース会社・航空会社等へ販売する事業、コンバージョン事業は機齢の経った旅客機を輸送機等に改造してリサイクルする事業である。

 プライベート・エクイティ(PE)投資事業や上場企業のIR支援事業などにも進出している。15年8月100%出資のPEファンドJPE第1号を設立してバリューアップ投資を開始した。第1号案件として日本マンパワーのグループ会社で人材派遣・紹介事業を展開するNMPスペシャリストの全株式を取得した。同社は日本マンパワーと包括的業務提携を締結し、3年後の上場を目指す。PEファンドは当面3億円を上限として当社100%出資で運営するが、将来的には投資家からの資金も受け入れる予定だ。

 15年9月日本証券新聞と日本証券新聞リサーチを子会社化して、新聞・出版・広告を中心としたメディア関連事業、およびIR(投資家向け広報)支援事業に進出した。またIR支援サービスの日本証券新聞リサーチと人材派遣・紹介事業のNMPスペシャリストが連携して、人材難に悩む企業に対して中小企業診断士や社外取締役などを紹介・マッチングする事業なども展開する。

 16年1月M&Aアドバイザリー事業の専門子会社ジャパンM&Aアドバイザー(JMA)を設立した。またIPOコンサルティング事業を開始すると発表した。第1弾としてIT技術を駆使した投資コンサルティング事業会社とコンサルティング契約を締結した。今後は特に金融とITの融合に寄与するフィンテック企業を中心にIPOコンサルティング事業の拡大を目指し、PE事業においてもITを駆使した新たな金融サービスを提供する企業・技術への投資活動を積極化させる。

■手数料収入が収益柱、四半期業績は販売計上時期で変動する特性

 オペレーティング・リース事業および環境エネルギーファンド事業の組成・出資金販売・管理などに伴う手数料収入が収益柱である。会計上の売上高認識基準は、顧客(投資家)から案件ごとに募集している出資金の販売が、すべて終了した時点において出資金に含まれる手数料を売上高として計上する。

 15年12月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期4億30百万円、第2四半期3億50百万円、第3四半期10億45百万円、第4四半期9億80百万円、営業利益は1億85百万円、94百万円、5億26百万円、3億50百万円だった。四半期業績は販売計上(完売)時期によって変動するが収益拡大基調である。

 15年12月期は出資金販売額がオペレーティング・リース事業で14年12月期比80.0%増、環境エネルギー事業が同87.8%増と大幅伸長した。組成は合計12件(航空機3件・233億16百万円、船舶1件・11億76百万円、コンテナ2件・92億63百万円、太陽光発電6件・36億52百万円)で、販売(完売)は合計18件(航空機8件・148億37百万円、船舶1件・3億36百万円、コンテナ3件・28億95百万円、太陽光発電6件・33億82百万円)だった。

 売上総利益率は66.3%で同20.3ポイント低下、販管費比率は25.1%で同10.5ポイント低下した。ROEは46.3%で同1.6ポイント上昇、自己資本比率は20.5%で同10.8ポイント上昇した。配当は無配を継続した。

■16年12月期第1四半期は大幅増収増益

 今期(16年12月期)第1四半期(1月~3月)連結業績は、売上高が前年同期比2.3倍の9億92百万円、営業利益が同83.9%増の3億40百万円、経常利益が同2.0倍の2億80百万円、純利益が同2.2倍の1億88百万円だった。

販売(完売)はコンテナ1件・17億44百万円、太陽光発電5件・29億80百万円の合計6件・47億24百万円で、出資金販売額はオペレーティング・リース事業が同56.8%減の17億44百万円、環境エネルギー事業が同2.9倍の29億80百万円だった。人件費増加などを増収効果で吸収して大幅増益だった。

 組成は合計12件(航空機6件・251億14百万円、船舶1件・25億07百万円、太陽光発電5件・34億30百万円)で、オペレーティング・リース事業の組成金額は同6.1倍、環境エネルギー事業は同3.4倍に増加した。第1四半期末商品在庫は航空機6件(募集総額109億86百万円)および船舶1件(募集総額10億26百万円)である。販売ネットワーク(ビジネスマッチング契約先)は税理士・会計事務所92事務所(15年12月期末比4増加)、銀行27行(同5増加)、証券会社7社(同変わらず)で合計126件(同9増加)となった。

 売上総利益率は67.8%で同2.2ポイント低下、販管費比率は33.4%で同6.5ポイント上昇した。業容拡大に伴って人員が大幅に増加し、第1四半期末の常勤役職員は単体ベースで前年同期比13名増加の32名、連結ベースで同41名増加の60名となった。資金調達枠(コミットメントライン融資枠・当座貸越契約等)は前年同期比44.5億円増加の91.8億円まで拡大した。

■16年12月期大幅増収増益予想

 今期(16年12月期)通期の連結業績予想(2月12日公表)は、売上高が前期(15年12月期)比85.7%増の52億10百万円、営業利益が同2.0倍の23億62百万円、経常利益が同76.1%増の22億32百万円、そして純利益が同75.5%増の13億41百万円としている。

 オペレーティング・リース事業および環境エネルギー事業とも需要が高水準であり、案件組成および出資金販売が大幅伸長する見込みだ。航空機対象パーツアウト・コンバージョン事業の収益も本格寄与して増収増益基調だろう。

 配当予想(2月17日公表)は年間10円(第2四半期末4円、期末6円)で予想配当性向は8.7%となる。利益配分については、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、株主への利益還元を重視し、安定した配当を継続していくことを基本方針としている。今後については東証1部への上場を目標として、連結配当性向は概ね20%以上を目指すとしている。

■純利益ベースで毎期50%以上の成長を目指す

 中長期成長戦略として、第1ステージは航空機・オペレーティング・リース事業での競争力の高い商品供給による規模の拡大、第2ステージは参入障壁が比較的高く物件価値が比較的安定しているコンテナ・オペレーティング・リース事業でのラインナップ充実、第3ステージはオペレーティング・リースの代替商品として、太陽光発電を中心とした環境エネルギーファンド事業の強化を推進してきた。

 今後の第4ステージでは主力のオペレーティング・リース事業に、環境エネルギー事業およびパーツアウト・コンバージョン事業を加えて、収益の3本柱の確立を推進する。さらにM&Aアドバイザリー事業、PE投資事業、不動産投資事業、事業承継アドバイザリー事業、ウェルス・マネジメント事業、中小企業に対する人材紹介事業、メディア関連・IR支援関連事業、IPOコンサルティング事業など、金融ソリューション事業を中心にM&Aも積極活用して事業領域拡大戦略を加速する。そして純利益ベースで毎期50%以上の成長を目指すとしている。中期的に収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は12月末に実施、15年12月期から導入

 株主優待制度については15年12月期から導入した。毎年12月末日時点で1単元(100株)以上保有株主に対して、保有株式数および継続保有期間に応じてクオカードおよび日本証券新聞デジタル版購読券を進呈する。優待内容の例としては、継続保有期間1年以上で1000株以上保有株主に対してクオカード5000円+日本証券新聞デジタル版6ヶ月購読券1万8000円などとしている。

■株価は調整一巡して4月高値を目指す

 株価の動きを見ると、地合い悪化が影響した6月24日の直近安値2370円から切り返し、その後は3000円~3500円近辺で推移している。

 7月26日の終値3145円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS114円99銭で算出)は27~28倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は0.3%近辺、実績連結PBR(16年12月期第1四半期実績の連結BPS192円91銭で算出)は16倍近辺である。時価総額は約383億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線突破の動きを強めている。調整一巡して4月の上場来高値4310円を目指す展開だろう。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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