【編集長の視点】栄研化学は1Q2ケタ増益・高利益進捗率業績を手掛かりに中期経営計画を見直し3連騰
- 2016/7/29 10:01
- 編集長の視点
栄研化学<4549>(東1)は、31円高の2374円と3営業日続伸して始まり、今年2月1日につけた年初来高値2551円を視界に入れている。今年7月26日に発表した今3月期第1四半期(4~6月期、1Q)業績が、2ケタ増益と続伸して着地し、3月通期予想業績に対して高利益進捗率を示したことを手掛かりに、今期から推進している中期経営計画の実現可能性が高まったとして買い増勢となっている。とくに海外事業では、シスメックス<6869>(東1)との業務提携や米国で今年6月に大腸がんスクリーニングの新ガイドラインが発行されたことやアジア市場向けに結核検査装置の開拓を図ることなどで好展開すると期待を高めている。
■1Q利益は3月予想業績に対して39~42%と進捗し目安の25%を上回る
今期1Q業績は、前年同期比5.4%増収、22.8%営業増益、21.3%経常増益、25.5%純益増益と続伸し、3月通期予想業績対比の利益進捗率は、39~42%と目安の25%を上回った。海外向けの売り上げは、7億1500万円(同0.3%減)と伸び悩んだが、国内では主力製品の便潜血検査用試薬や迅速検査試薬の売り上げが大きく伸び、継続的な製造原価の低減や経費の効率的な使用を進めたことが要因となった。
ただ海外向け売り上げは、今年1月に業務提携したシスメックス向けに尿試験紙の供給がスタートしたほか、米国の大腸がんの新ガイドライン発行などが追い風となっており、今3月期通期では、47億6000万円(前期比36.0%増)と予想している。同社が、2019年3月期を最終年度に今期から推進している中期経営計画では、国内市場での自社製品のシェアアップとともに、グローバル展開の加速が柱となっており、海外売り上げ比率は、前期の10.8%から今期に14.1%、最終年度には81億2000万円の21.4%へ倍増を計画している。数値目標も最終年度に売り上げ378億8000万円、営業利益47億円と計画しており、業績高成長をサポートする。
今3月期通期業績は、期初予想を据え置き売り上げ338億3000万円(前期比5.2%増)、営業利益27億1000万円(同23.4%減)、経常利益27億1000万円(同24.1%減)、純利益18億2000万円(同25.1%減)と増収・減益転換を見込んでいる。研究開発費が34億円(同49.6%増)と一時的に増加し、設備投資も44億円(同24.6%増)、減価償却費も19億円(同32.8%増)と負担増となるためだが、1Q高利益進捗率から業績上ぶれ期待も高まってくる。
■25日線出没の中段固めから年初来高値を抜け昨年5月高値を目指す
株価は、シスメックスとの業務提携に前期第3四半期の好業績が続いて年初来高値2551円まで買い進まれ、今期の減益転換予想が市場コンセンサスを下回るとして年初来安値1846円と売られた。同安値から下げ過ぎ訂正に結核検査装置のアジア市場向け開拓報道が加わって2437円までリバウンドし、25日移動平均線を出没する中段固めを続けてきた。年初来高値奪回から昨年5月高値2735円を目指す上値チャレンジに弾みをつけよう。(本紙編集長・浅妻昭治)