- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- 電算システムは16年12月期第2四半期累計減益だが、通期は増収増益・連続増配予想
電算システムは16年12月期第2四半期累計減益だが、通期は増収増益・連続増配予想
- 2016/8/4 08:16
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
電算システム<3630>(東1)は情報サービス事業と収納代行サービス事業を展開し、クラウドサービスも強化している。16年12月期第2四半期累計は新たなサービス立ち上げ費用などで減益だったが、通期は収納代行サービスの伸長などで増収増益・連続増配予想である。株価は調整一巡して出直り展開だろう。
■情報サービス事業と収納代行サービス事業を展開
情報サービス事業(SI・ソフト開発、情報処理サービス、商品販売)、および収納代行サービス事業(コンビニ収納代行、郵便振替決済代行、ネットショッピング決済、電子マネー決済など)を展開し、クラウドサービスや電子マネー対応などを強化している。
15年12月期の売上高構成比は情報サービス事業52.2%(SI・ソフト開発31.3%、情報処理サービス15.7%、商品販売5.2%)、収納代行サービス47.8%、営業利益構成比(連結調整前)は情報サービス事業47.1%、収納代行サービス52.9%だった。
■IT企業として初めて収納代行サービスを開始
収納代行サービスは97年にIT企業として初めて、コンビニエンスストアを利用した料金支払(収納代行)サービスを開始した。現在は総合決済サービスプロバイダーとして全国7万以上のコンビニエンスストアおよび郵便局でサービスを提供し、年間取扱件数は1億45百万件に達している。
11年には国際送金サービス事業の米国ウエスタンユニオンの代理店となり、大手コンビニエンスストアのマルチメディア端末を利用したコンビニ・ウエスタンユニオン国際送金サービスを展開している。16年2月には当社、米国ウエスタンユニオン、サークルKサンクスの3社が、マルチメディア端末「Kステーション」が設置されている全国のサークルKとサンクス約6300店において、米国ウエスタンユニオンの世界各国の提携拠点に送金が可能な国際送金サービスを開始した。
16年3月には、フィリピン最大手の収納代行窓口企業シーアイエスバヤドセンター(CBCI)と収納代行サービス事業に関する合意覚書を締結した。日本で提供している収納窓口サービス(サービス名:ビズエージェントBiz@gent)を、フィリピン国内の小売業店舗で収納代行の取り扱いができるように専用ソフトウェアとして開発し、共同でフィリピンの市場開拓を推進する。当社にとって最初の海外展開となる。
■中期成長に向けてM&A・アライアンス戦略も推進
中期成長に向けてM&A・アライアンス戦略も推進している。13年10月NTTドコモ<9437>と業務提携した。14年9月全国約2000ヶ所のガソリンスタンド向けに勘定系システムや情報系システムを提供しているガーデンネットワークを子会社化した。当社と商圏が競合していないためシナジー効果が期待される。
15年8月には録画した動画やライブ中継を視聴者限定で安全に配信できるクラウド型サービス「Bizclasstream(ビズクラストリーム)」の提供を開始した。ストリーミング・ライブ映像配信サービス「classtream(クラストリーム)」で多くの実績を持つアイ・ピー・エル社と当社のサービス開発力を融合したクラウド型利用者限定動画配信サービスである。
■ソフト開発の案件別採算性が収益変動要因
四半期別業績推移を見ると、14年12月期は売上高が第1四半期70億45百万円、第2四半期61億07百万円、第3四半期62億53百万円、第4四半期70億89百万円、営業利益が5億32百万円、1億05百万円、2億12百万円、3億05百万円、15年12月期は売上高が69億77百万円、71億71百万円、70億16百万円、77億92百万円、営業利益が3億58百万円、1億07百万円、2億円、3億77百万円だった。
ソフト開発では案件別の規模や採算性が収益変動要因となる。15年12月期第2四半期はソフト開発の不採算案件発生が影響した。売上総利益率は16.1%で同1.2ポイント低下、販管費比率は12.5%で同0.4ポイント低下した。ROEは8.6%で同0.8ポイント低下、自己資本比率は26.2%で同1.5ポイント低下した。配当性向は33.9%だった。配当政策については資本効率を重視するとともに、配当性向30%超を目標としている。
■16年12月期第2四半期累計は新たなサービス立ち上げ費用などで減益
7月29日発表の今期(16年12月期)第2四半期累計(1~6月)連結業績は、売上高が前年同期比4.4%増の147億77百万円、営業利益が同12.0%減の4億09百万円、経常利益が同10.2%減の4億32百万円、そして純利益が同0.6%増の2億87百万円だった。収納代行サービスは順調だが、情報サービス事業で新たなギフト処理サービス立ち上げ費用がかさみ、全体として減益だった。
売上総利益は同1.2%増加したが、売上総利益率は15.5%で同0.5ポイント低下した。販管費は同4.7%増加したが、販管費比率は12.7%で同横ばいだった。営業外では為替差益が増加(前期1百万円、今期18百万円)した。特別利益には補助金収入1億12百万円を計上し、特別損失には固定資産圧縮損92百万円を計上した。
セグメント別に見ると、情報サービス事業は売上高が同0.3%減の73億62百万円、営業利益(連結調整前)が同33.5%減の1億06百万円だった。情報処理サービスでは各種ギフト処理サービス、地方公共団体向け処理、請求書代行など、SI・ソフト開発および商品販売ではクラウド関連サービス、オートオークション業務システム、ERPパッケージなどの案件が順調だった。一方で、情報処理サービスでは新たなギフト処理サービス立ち上げ費用がかさみ、SI・ソフト開発で前期に比べて利益率の高い案件が減少したことや開発保守案件で受注損失引当金を計上したことも影響して減益だった。
収納代行サービスは、売上高が同9.6%増の74億14百万円、営業利益が同19.4%増の3億06百万円だった。地方自治体を含む新規取引先の獲得が順調に推移した。スーパーマーケットやドラッグストア等のチェーン店舗向け収納窓口サービス導入店舗数も順調に増加した。
なお四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期72億20百万円、第2四半期75億57百万円、営業利益は1億99百万円、2億10百万円だった。
■16年12月期通期は増収増益・連続増配予想
今期(16年12月期)通期の連結業績予想は前回予想(1月29日公表)を据え置いて売上高が前期(15年12月期)比8.8%増の315億円、営業利益が同21.9%増の12億70百万円、経常利益が同19.2%増の12億78百万円、純利益が同22.7%増の8億10百万円としている。不採算案件一巡、ガーデンネットワークの通期連結、収納代行サービスの伸長などで増収増益予想である。配当予想は同1円増配の年間24円(第2四半期末12円、期末12円)で予想配当性向は29.0%となる。
情報処理サービスではBPO(情報処理アウトソーシング)業務の量的拡大、効率的かつ効果的な人員配置や作業効率化などに取り組む。SI・ソフト開発ではプライム事業の促進、コアパートナーとの連携や大手システムインテグレーターとの協業の強化などで、1件当たり取引規模の拡大に取り組む。クラウドサービスの拡販やアプリケーションの開発にも取り組む。商品販売では新バージョンの歯科医向けパッケージソフトウェアを拡販する。収納代行サービス事業では、非対面取引市場向け決済サービスの拡大、国内送金サービスの拡大、国際送金サービスの拡大に取り組む。
通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が46.9%、営業利益が32.2%、経常利益が33.8%、純利益が35.4%である。低水準の形だが第4四半期の構成比が高い収益構造のためネガティブ要因とはならない。通期ベースでは好業績が期待される。
■株主優待制度は毎年12月末に実施
株主優待制度は毎年12月31日時点の1単元(100株)以上所有株主に対して実施している。7月29日に15年12月期末の優待内容を発表し、岐阜・西濃地方を主とした特産品(3000円相当品7点の中から1点を選択)とした。
■株価は調整一巡して出直り
株価の動きを見ると、6月の直近安値1350円から切り返し、7月中旬以降は概ね1500円近辺で推移している。第2四半期累計減益に対するネガティブ反応も限定的だ。
8月3日の終値1490円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS83円50銭で算出)は17~18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間24円で算出)は1.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS812円42銭で算出)は1.8倍近辺である。時価総額は約150億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線突破の動きを強めている。調整一巡して出直り展開だろう。(日本板ビュ新聞アナリスト水田雅展)