- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- キムラユニティーは底値圏から反発期待、17年3月期第1四半期2桁営業増益で通期も増益予想
キムラユニティーは底値圏から反発期待、17年3月期第1四半期2桁営業増益で通期も増益予想
- 2016/8/9 07:30
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
キムラユニティー<9368>(東1)はトヨタ自動車向け部品包装が主力の総合物流サービス企業である。物流請負のNLS事業が成長し、北米や中国の収益拡大も進展している。17年3月期第1四半期は2桁営業増益となり、通期も増収増益予想である。株価は年初来安値圏だが1000円近辺が下値支持線の形だ。指標面の割安感も見直して底値圏からの反発展開が期待される。
■トヨタ向けが主力の総合物流サービス企業
トヨタ自動車<7203>の補修部品・KD部品の包装・物流、および一般物流請負を主力とする総合物流サービス企業である。自動車販売・リース・整備などの自動車サービス事業、物流分野における情報サービス事業、派遣・アウトソーシングなどの人材サービス事業、太陽光発電による売電事業なども展開している。
16年3月期のセグメント別売上構成比(連結調整前)は、物流サービス事業が65%、自動車サービス事業が31%、情報サービス事業+人材サービス事業+その他が3%だった。
主力の物流サービス事業では、ネット通販市場の拡大も追い風として物流請負のNLS(ニューロジスティクスサービス)が拡大基調である。NLSの売上高(海外現地子会社分含む)は16年3月期に15年3月期比10.1%増の92億42百万円まで拡大した。
自動車サービス事業では13年12月、軽自動車販売専門店を運営するスーパージャンボを子会社化した。15年12月にはスーパージャンボが、自動車小売・買取FCチェーン「カーセブン」を運営するカーセブンディベロップメントとFC契約を締結して中古車買取専門店「カーセブン国道1号中川店」を出店した。
■海外事業は収益改善基調
海外はトヨタ自動車の海外生産拡大に合わせて、米国、メキシコ、ブラジル、中国、タイに拠点展開している。海外事業は物流量増加に伴って収益改善基調である。
米国子会社は13年7月カナダの大手自動車部品メーカーMAGNAグループのDRIVE社から倉庫内物流請負を新規受注、14年7月新倉庫が稼働した。中国では自動車保有台数の増加に伴い、自動車アフターマーケットにおける補修部品需要の拡大基調が予想される。
■営業損益改善基調
四半期別の業績推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期107億47百万円、第2四半期110億47百万円、第3四半期115億81百万円、第4四半期123億93百万円、営業利益が1億88百万円、3億81百万円、4億43百万円、5億08百万円、16年3月期は売上高が114億77百万円、118億29百万円、125億17百万円、121億98百万円、営業利益が2億86百万円、5億16百万円、5億94百万円、5億53百万円だった。
16年3月期は、自動車サービス事業においてメンテナンス契約の車検費用を発生時に費用処理したことが一時的な売上原価増加要因となったが、物流サービス事業における国内格納器具製品事業の受注拡大、国内新規事業所開設を含めた拡販、北米子会社の物流業務拡大、円安による海外子会社売上の円換算額増加、自動車サービス事業におけるリース契約台数・メンテナンス契約台数の増加などで過去最高の売上高となり、新規事業所での生産準備費用一巡も寄与して大幅営業増益だった。
売上総利益は同7.3%増加し、売上総利益率は16.1%で同0.4ポイント上昇した。販管費は同1.6%増加したが、販管費比率は12.0%で同0.4ポイント低下した。営業外では為替差損益が悪化(15年3月期は差益2億37百万円、16年3月期は差損1億72百万円)した。ROEは4.0%で同0.2ポイント低下、自己資本比率は48.6%で同1.9ポイント低下した。配当性向は32.0%だった。
セグメント別(連結調整前)に見ると、物流サービス事業は売上高が同4.8%増の316億35百万円(包装が同0.6%増の264億99百万円、格納器具製品が同33.6%増の51億36百万円)で、営業利益が同31.3%増の22億65百万円だった。国内格納器具製品事業の拡販、NLS分野における北米子会社の物流業務拡大、円安による円換算増加、国内外における収益改善活動の成果、新規事業所生産準備コスト一巡などが寄与した。
自動車サービス事業は売上高が同5.1%増の150億78百万円、営業利益が同14.1%減の5億67百万円だった。リース契約台数・メンテナンス契約台数の増加などで車両リースが同2.2%増収、車両整備が同16.3%増収、自動車販売が同2.2%増収と順調だったが、メンテナンス契約の車検費用について発生時に費用処理したことが一時的な売上原価増加要因となった。
情報サービス事業は、売上高が同5.4%増の11億62百万円、営業利益が同26.9%増の1億20百万円だった。人材サービス事業は売上高が同18.3%減の4億51百万円、営業利益が同56.2%減の14百万円だった。その他は売上高が同0.5%増の47百万円、営業利益が同0.1%減の14百万円だった。
■17年3月期第1四半期は2桁営業増益
7月29日発表した今期(17年3月期)第1四半期(4~6月)の連結業績は売上高が前年同期比0.7%増の115億55百万円、営業利益が同15.4%増の3億30百万円、経常利益が同23.3%減の2億68百万円、純利益が同2.5%減の1億24百万円だった。経常利益は外貨建て資産に係る為替差損益の悪化で減益だが、北米子会社における物流業務の増収、自動車サービス事業の増収、生産性改善などで2桁営業増益だった。
売上総利益は同1.4%増加し、売上総利益率は15.5%で同0.1ポイント上昇した。販管費は同1.3%減少し、販管費比率は12.7%で同0.2ポイント低下した。営業外では持分法投資利益が増加(前期22百万円、今期63百万円)したが、外貨建て資産に係る為替差損益が悪化(前期は差益21百万円、今期は差損1億53百万円)した。なお繰延税金資産取崩額の減少で純利益は増益だった。
セグメント別(連結調整前)に見ると、物流サービス事業は売上高が同0.1%増の77億13百万円で営業利益が同1.6%減の4億73百万円だった。北米子会社における物流業務の増収が寄与したが、円高による為替換算の影響などで減益だった。自動車サービス事業は売上高が同3.2%増の36億42百万円で営業利益が同90.8%増の1億29百万円だった。リースおよびメンテナンス契約台数が順調に増加した。情報サービス事業は売上高が同17.2%減の1億63百万円で営業利益が同36.3%減の8百万円、人材サービス事業は売上高が同28.3%減の96百万円で営業利益が5百万円の赤字(前年同期は6百万円の黒字)、その他は売上高が同0.5%減の14百万円、営業利益が同1.4%減の6百万円だった。
■17年3月期増収増益予想
今期(17年3月期)通期の連結業績予想については、前回予想(4月27日公表)を据え置いて、売上高が前期(16年3月期)比4.1%増の500億円、営業利益が同7.7%増の21億円、経常利益が同24.0%増の24億円、そして純利益が同32.5%増の13億50百万円としている。配当予想は前期と同額で、年間27円(第2四半期末13円、期末14円)としている。予想配当性向は24.1%となる。
物流サービス事業では北米子会社のNLS分野拡販、自動車サービス事業ではリース契約台数・メンテナンス契約台数の増加やスーパージャンボでの自動車販売の拡販を見込んでいる。利益面では前期のメンテナンス契約における車検費用発生時処理の影響が一巡することも寄与する。
セグメント別(連結調整前)の計画は、物流サービス事業の売上高が同3.2%増の326億50百万円(包装が同5.4%増の279億20百万円、格納器具製品が同7.9%減の47億30百万円)で、営業利益が同0.6%増の22億80百万円としている。北米子会社におけるNLS分野を中心とした増収効果を見込むが、人件費上昇などで営業利益の伸びは小幅にとどまる見込みとしている。
自動車サービス事業は売上高が同5.3%増の158億75百万円、営業利益が同53.3%増の8億70百万円としている。リース契約台数・メンテナンス契約台数の増加やスーパージャンボでの自動車販売の拡販に加えて、前期のメンテナンス契約における車検費用発生時処理の影響が一巡することも寄与する。
情報サービス事業は売上高が同11.9%増の13億円で営業利益が同0.4%減の1億20百万円、人材サービス事業は売上高が同32.9%増の6億円で営業利益が同30.3%減の10百万円、その他は売上高が同5.8%増の50百万円で営業利益が同37.2%増の20百万円としている。
通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が23.1%、営業利益が15.7%、経常利益が11.2%、純利益が9.2%と低水準の形だが、期初時点で下期偏重の計画であり、通期ベースで増収増益基調に変化はないだろう。
■中期的に収益拡大基調
15年5月策定の「中期経営計画2017」では、目標値として18年3月期の売上高520億円、営業利益25億円、経常利益27億円、純利益16億円、EPS132円56銭、ROE6.0%を掲げている。利益還元については業績や設備投資計画を踏まえつつ、連結配当性向30%以上を目標としている。
セグメント別(連結調整前)目標は、物流サービス事業の売上高が337億円で営業利益が25億50百万円、自動車サービス事業の売上高が168億15百万円で営業利益が9億円、情報サービス事業の売上高が14億円で営業利益が1億20百万円、人材サービス事業の売上高が7億円で営業利益が50百万円、その他サービス事業の売上高が45百万円で営業利益が15百万円としている。
また中期重点強化事業の目標値としては、深トヨタグループ事業の売上高を15年3月期比9.2%増の194億30百万円に、NLS(ニューロジスティクスサービス)事業の売上高を同29.2%増の108億50百万円に、海外事業の売上高を同29.8%増の80億円に、BtoB(CMS=カーマネジメントサービス)事業の管理台数を同90.7%増の4万台に、BtoC(車両販売)事業の車両販売台数を同70.5%増の4500台に拡大する方針だ。
■株主優待は3月末と9月末の年2回実施
株主優待制度は毎年3月31日現在および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して、保有株数に応じて「お米券」を贈呈している。さらに500株以上を継続2年以上保有している株主に対しては、保有株数に応じて長期優待が上乗せされる。たとえば1000株以上を2年以上保有している場合は「基本優待お米券5kg+長期優待お米券2kg=合計お米券7kg」を贈呈する。
■株価は指標面の割安感も見直して反発期待
株価の動きを見ると水準を切り下げる展開で、8月4日と8日には6月の年初来安値994円に接近する場面があった。ただし終値では1000円台を維持して下値固め完了感も強めてきた。
8月8日の終値1007円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS111円86銭で算出)は9倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間27円で算出)は2.7%近辺、そして前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2056円75銭で算出)は0.5倍近辺である。時価総額は約122億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形だが、1000円近辺が下値支持線の形だ。指標面の割安感も見直して底値圏からの反発展開が期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)