【編集長の視点】エボラブルアジアは分割落ち後安値水準から急反発、民泊関連で好材料が続き業績期待を高める

 エボラブルアジア<6191>(東マ)は、37円高の1548円と5営業日ぶりに急反発して始まり、今年8月5日につけた株式分割の権利落ち後安値1500円に並ぶ安値水準から底上げをしている。

 同社は目下、前2016年9月期業績を集計中だが、業績上方修正された前期に次続く今2017年9月期業績も、今年7月22日に発表した国内高級ホテル・旅館予約サイトを運営するらくだ倶楽部(東京都港区)の100%子会社化による民宿サービス強化などの上乗せにより過去最高を更新するとの業績期待を高めて買い物が再燃している。また、インバウンド(外国人観光客)関連で、8月5日には国家戦略特区でこれまで6泊7日以上に限定していた民泊を2泊3日以上の短期滞在客向けに解禁する規制緩和を検討すると報道されたことや、きょう9日には小池百合子東京都知事が、カジノ解禁について積極姿勢を示したと伝えられたことも、追撃材料視されている。

■相次ぐ戦略的提携の寄与で上方修正した前期業績に続き今期も最高業績観測

 同社は、航空券をインターネット販売するOTA業界のトップだが、東京オリンピックなどの重要イベントを控えてますます顕著となる外国人観光客の宿泊施設不足に対応してAMBITION<3300>(東マ)やインベスターズクラウド<1435>(東マ)の不動産会社やグローバルwifi事業を展開するビジョン<9416>(JQS)などのIT企業との業務提携を進め、民泊サービスを強化・拡大してきた。今年7月もらくだ倶楽部の株式を100%取得して民宿関連サービスの強化を図ったほか、光通信<9435>(東1)と戦略的な業務提携を締結、中小企業の訪問販売やテレマーケティングで強みを持つ光通信から新規契約の見込みのある顧客の紹介を受けるなど成長戦略を積極推進している。

 一方、業績も好調に推移し、前2016年9月期業績は、今年5月に第2四半期(2015年10月~2016年3月期、2Q)累計業績を上方修正したのに続き7月19日に9月通期業績を上方修正した。オンライン旅行事業の直販で新規顧客獲得のための施策やリピーター増加のためのインターフェイスの改善などを進め、利用者が増加してサイトでの購入率が高まったことなどが要因で、売り上げを39億8700万円(前々期比44.8%増)、営業利益を6億1000万円(同95.5%増)、経常利益を5億6900万円(同86.6%増)、純利益を3億4100万円(同98.3%増)へそれぞれ引き上げ、前々期の過去最高を連続更新する。続く今2017年9月期業績の動向は、決算発表を待たなくてはならないが、今年8月3日には同社のビジネストラベルマネジメント事業のWeb出張予約システムで16社が新規オープンするなど成長戦略が相次ぐなどで続伸が有力となる。東洋経済会社四季報最新号では、今期純利益を4億5000万円と観測、連続過去最高更新としている。

■落ち後安値は理論価格を下回り急騰実績の再現期待を高め底上げに再発進

 株価は、今年3月に公開価格1800円で新規株式公開(IPO)され、2670円で初値をつけ即ストップ高したあとも、民泊関連サービスの提供や業務提携でストップ高を繰り返し、今年7月31日を基準日とする株式分割(1対3)や株主優待制度導入を歓迎して上場来高値6890円まで買い進まれるなど公開価格比3.8倍の大化けとなった。この株式分割の権利を5200円で落とし、落ち後安値1500円まで調整したものの、同安値は落ち後の理論価格を下回り下げ過ぎを示唆している。権利落ち前の急騰実績の再現期待を高め一段の底上げに拍車を掛けよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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