【編集長の視点】鴻池運輸は反落も1Q決算発表を前に業績期待を高め割安修正買いの再燃が有力

 鴻池運輸<9025>(東1)は、26円安の1185円と5営業日ぶりに反落して始まっている。きょう10日に日経平均株価が、107円安と3日ぶりに反落してスタートしていることから、今年6月24日につけた株式分割権利落ち後安値1008円からの底上げ途上にある同社株にも目先の利益を確定する売り物が先行している。ただ同社は、きょう10日に今3月期第1四半期(2016年4月~6月期、1Q)決算の発表を予定しており、これを先取りするとともに、今3月期業績が続伸し配当も連続増配が予定されていることを見直し下値には割安株買いが交錯している。

■食品関連では大型物流センターが竣工・稼働し鉄鋼関連の新規連結子会社もフル寄与

 同社の今3月期業績は、売り上げ2660億円(前期比5.3%増)、営業利益110億円(同7.2%増)、経常利益111億円(同3.6%増)、純利益68億円(同6.1%増)と続伸が予想されている。鉄鋼関連分野では、昨年子会社化した新規連結子会社の通期フル寄与や鋼材輸送業務の増加、設備老朽化対策工事の受注、食品関連分野や生活関連分野では、北関東流通センターなど開設・増築した大型物流センターの竣工・稼働による取扱量の増加、インバウンド関連では、関西国際空港の国際便増便に対応した航空貨物一貫輸送サービスの強化、海外関連分野ではベトナムでのトラック輸送業務の拡大やミャンマー新会社の設立などが続き、業務効率の向上などに取り組みコスト削減を推進することなどが要因となる。

 1Q業績は、前3月期には2ケタ増益で着地し、その後、前期第2四半期累計業績や前期通期業績が期初予想を上ぶれて着地したスタート地点になっていただけに、今期も、きょう10日発表予定の1Q決算に注目が集まっている。なお今期配当は、年間35円と前期実績の33円から増配が予想されているが、前期配当自体も前々期の年間45円に対して昨年3月末を基準日にして実施した株式分割(1対2)を勘案して実質増配となっており、2013年3月の新規株式公開以来の連続増配となる。同社の中期経営計画では、最終年度の2018年3月期には売り上げ3000億円、営業利益150億円とともに、配当性向も30%に引き上げることが目標となっており、株主への利益還元策への期待も高い。

■PERは9倍台、PBRは0.7倍、配当利回りは2.9%にとどまりリバウンド幅拡大

 株価は、ミャンマー新会社設立を手掛かりにつけた1523円高値のあと25日移動平均線水準での中段固めが続き、英国の欧州連合(EU)離脱ショックの波及で年初来安値1008円へ急落、底もみから下げ過ぎとして200円幅の底上げをした。PERは9倍台、PBRは0.7倍、配当利回りは2.94%となお割安であり、一段の底上げは期待十分となる。(本紙編集長・浅妻昭治)

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