- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- アドアーズは17年3月期大幅増益予想、アミューズメント施設既存店7月は5ヶ月連続プラス
アドアーズは17年3月期大幅増益予想、アミューズメント施設既存店7月は5ヶ月連続プラス
- 2016/8/24 07:51
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
アドアーズ<4712>(JQ)はアミューズメント施設運営の総合エンターテインメント事業を主力としている。17年3月期第1四半期は大幅増益だった。またアミューズメント施設7月既存店売上は5ヶ月連続で前年比プラスとなった。17年3月期は介護事業休止も寄与して大幅営業予想であり、オリーブスパとの業務提携効果も寄与して収益改善が期待される。なお8月1日付で単元株式数を1000株から100株に変更している。株価は戻り高値圏から一旦反落したが、自律調整が一巡して上値を試す展開だろう。
■Jトラストグループで総合エンターテインメント事業や不動産事業を展開
13年2月、親会社Jトラスト<8508>グループで戸建て住宅分譲や商業建築を展開するキーノート、アミューズメント施設向け景品製作・販売を展開するブレイクを子会社化し、アミューズメント施設運営の総合エンターテインメント事業、不動産事業、商業施設建築事業を展開している。
アミューズメント施設運営部門の16年3月期末店舗数はアドアーズ直営50店舗(うちコラボ店7店舗)、子会社ブレイク直営1店舗である。ゲームジャンル別売上構成比はメダルゲーム35.5%、クレーンゲーム28.6%、プリクラ2.4%、アーケードゲーム20.1%、その他(コンテンツ関連含む)13.4%だった。
なお14年9月に韓国JBアミューズメント(JBA)の第2位株主となった。韓国・済州新羅ホテルでカジノ事業を行うマジェスターを含むJBAグループと協力関係を構築し、アミューズメント事業におけるシナジー創出や事業拡大を目指す。
16年6月には香港特別行政区に当社の孫会社となるブレイク・アジア(布雷克有限公司)設立が完了した。日本ライセンス商品の販売を拡大し、総合エンターテインメント事業の業容拡大を目指す。
■介護事業は休止
14年11月に通所介護事業の日本介護福祉グループを連結子会社化して介護事業に参入したが、15年8月に同社株式の譲渡と介護事業の休止を発表した。競争激化などで通所介護事業の業績改善の兆しが見込めないため、同社の創業者である藤田英明氏に全株式を譲渡して介護事業を休止した。なお15年12月、藤田英明氏に対して損害補償請求訴訟を東京地方裁判所に提起している。
■オリーブスパと業務提携
16年3月、首都圏中心に全国34拠点(16年2月末現在、海外1店舗含む)でリラクゼーションサロン「OLIVE SPA」等を運営するオリーブスパ(オリスパ社)と、オリスパ社の店舗開発、出店時の内外装工事、店舗サブリース、オリスパ店舗チケットを活用した販促活動に関して業務提携した。
店舗リース事業による収益強化、子会社キーノートの商業施設建築事業の拡大、株主優待制度導入などオリスパ社のブランド力を活かした販促活動が可能になるとしている。
■16年3月期は減損損失計上で最終赤字
四半期別の業績推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期56億85百万円、第2四半期60億97百万円、第3四半期61億04百万円、第4四半期55億13百万円、営業利益が3億60百万円、3億52百万円、1億10百万円、1億58百万円の赤字、16年3月期は売上高が54億74百万円、56億84百万円、54億08百万円、58億30百万円、営業利益が11百万円、3億37百万円、1億36百万円、94百万円だった。15年3月期第4四半期の営業損益悪化は介護事業の連結化も影響した。
16年3月期はアミューズメント施設の店舗数減少および既存店減収、商業施設建築事業の大型施工案件受注時期ズレ込み、アミューズメント施設店舗関連資産の減損損失計上、介護事業休止に伴う減損損失計上、介護事業休止に伴う繰延税金資産取崩、その他法人税等調整額の計上で最終赤字だった。
売上総利益は同5.4%減少し、売上総利益率は14.2%で同0.2ポイント低下した。販管費は同3.5%減少したが、販管費比率は11.7%で同0.1ポイント上昇した。ROEはマイナス11.9%で同16.0ポイント低下、自己資本比率は46.1%で同1.6ポイント低下した。配当は同1円減配の年間1円(期末一括)だった。利益還元については将来必要となる設備投資や投資資金とのバランスを総合的に勘案したうえで、利益還元の充実を図っていくことを基本方針としている。
セグメント別に見ると、総合エンターテインメント事業は売上高が同2.3%減の147億89百万円、営業利益(連結調整前)が同19.7%減の6億93百万円だった。既存店売上は96.6%だった。不動産事業は売上高が同6.1%増の61億92百万円で営業利益が同19.1%増の4億93百万円だった。不動産アセット部門は都心エリアの一部保有不動産を売却した反動で減収だが、一戸建分譲部門は横浜支店開設も寄与して引渡件数が同26件増加の111件と順調だった。
商業施設建築事業は大型施工案件受注時期がズレ込み、売上高が同56.0%減の7億69百万円で営業利益が同93.2%減の8百万円だった。介護事業(15年3月期第4四半期から連結、15年8月事業休止)は売上高が6億08百万円、営業利益が1億10百万円の赤字、その他は売上高が36百万円、営業利益が10百万円の赤字だった。
■17年3月期第1四半期は大幅増益
8月10日発表した今期(17年3月期)第1四半期(4~6月)の連結業績は売上高が前年同期比2.5%増の56億11百万円、営業利益が同24倍の2億65百万円、経常利益が2億35百万円(前年同期は24百万円の赤字)、純利益が84百万円(同9億35百万円の赤字)だった。アミューズメント施設運営部門における既存店の好調、商業施設建築事業における大型案件、介護事業の休止などで営業損益が大幅に改善し、減損損失一巡も寄与して最終黒字化した。
売上総利益は同6.9%増加し、売上総利益率は15.0%で同0.6ポイント上昇した。販管費は同25.7%減少し、販管費比率は10.3%で同3.9ポイント低下した。特別損失では投資有価証券評価損1億10百万円を計上したが、減損損失10億36百万円が一巡した。
セグメント別に見ると、総合エンターテインメント事業は売上高が同2.7%減の34億84百万円で営業利益(連結調整前)が同52.6%増の3億04百万円だった。店舗数減少で減収だが、既存店売上が102.8%と好調に推移し、利益率の高いオリジナル景品の好調や円高による為替差益も寄与した。なお店舗展開は新規出店0店舗、退店3店舗で期末総店舗数は47店舗となった。
不動産事業は売上高が同3.8%増の12億96百万円で営業利益が同58.2%減の30百万円だった。一戸建分譲部門で施工人件費の高騰が影響した。商業施設建築事業は売上高が8億12百万円(前年同期は30百万円)で営業利益が39百万円(同18百万円の赤字)だった。大型施工案件が寄与した。その他は売上高が18百万円、営業利益が5百万円だった。なお休止した介護事業の前年同期の売上高は6億08百万円で営業利益が1億10百万円の赤字だった。
■17年3月期通期も大幅増益予想で収益改善基調
今期(17年3月期)通期の連結業績予想は、前回予想(5月10日公表)を据え置いて、売上高が前期(16年3月期)比1.8%減の220億円、営業利益が同38.2%増の8億円、経常利益が同37.9%増の7億円、純利益が3億円(前期は12億53百万円の赤字)としている。介護事業休止による費用減少で大幅営業・経常増益、減損損失一巡で最終黒字化予想である。配当予想は同1円増配の年間2円(期末一括)で予想配当性向は92.7%となる。
セグメント別計画は、総合エンターテインメント事業の売上高が同1.5%減の145億70百万円で営業利益(連結調整前)が同19.8%増の8億30百万円、不動産事業と商業施設建築事業の合計の売上高が同4.9%増の73億円で営業利益が同15.8%増の5億80百万円、その他(店舗サブリース)の売上高が1億30百万円、営業利益が20百万円としている。
総合エンターテインメント事業は、50周年記念イベントによる認知度向上、自社開発メダルゲーム機の導入、クレーンゲームジャンルにおけるマシン増台、コラボ店舗のドミナント出店、香港進出による販路拡大などに取り組む。不動産事業および商業施設建築事業は一戸建分譲部門の事業規模拡大、商業施設建築の大型案件受注に取り組む。一戸建分譲部門の引渡件数は同9件増加の120件の計画としている。
なお新規事業として店舗サブリース事業を開始する。業務提携したオリーブスパの店舗開発・出店準備に対して、当社の店舗開発ノウハウや情報網を活用し、内外装工事を含めた準備に加え、物件を店舗サブリースでオリーブスパに提供する。
■アミューズメント施設7月既存店売上は5ヶ月連続のプラス
アミューズメント施設の月次既存店売上高(前年比、速報値)を見ると、16年7月は105.2%で5ヶ月連続の前年比プラスだった。クレーンゲームジャンルがアドアーズ限定景品投入効果で119%と好調だった。なお7月は新規出店および退店とも0店舗で、7月末店舗数はアドアーズ直営47店舗、子会社ブレイク直営1店舗となった。
■中期経営計画で18年3月期ROE8%目標
15年5月策定の中期経営計画では、目標数値として18年3月期売上高330億円、営業利益17億円、経常利益14億円、純利益9億50百万円、ROE8%を掲げている。さらに20年3月期には売上高410億円、営業利益29億円、経常利益23億円、純利益14億円を目指すとしている。
中期戦略として、総合エンターテインメント事業では自社コンテンツ保有、VRやARなど新たな遊びの活用、20年に向けたインバウンド施策強化、不動産事業・商業建築事業では一戸建分譲部門における自社施工比率の向上と「KEY STYKE」ブランドの確立、新規事業の店舗サブリース事業ではオリーブスパ以外の新規事業会社を対象とする展開も検討する。グループ連携強化も奏功して中期的に収益拡大が期待される。
■株主優待制度を導入、毎年3月末に実施
株主優待制度は16年3月期末から実施した。毎年3月末日時点で株式2000株(2単元)以上保有株主を対象とする。優待内容は保有株数に応じて、業務提携先のオリーブスパが首都圏中心に運営するリラクゼーションサロン「OLIVE SPA」および「PANTHEON」の全店舗(16年2月末現在24店舗)で利用できるアロマオイルトリートメント120分ボディコース(2万円相当分)のサロンチケットを贈呈する。
■株価は自律調整一巡して上値試す
株価の動き(8月1日付で単元株式数を1000株から100株に変更)を見ると、7月の戻り高値136円から一旦反落したが、大きく下押すことなく110円~120円近辺で推移して自律調整一巡感を強めている。
8月23日の終値118円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS2円20銭で算出)は54倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間2円で算出)は1.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS69円08銭で算出)は1.7倍近辺である。時価総額は約164億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって下値を切り上げている。自律調整が一巡して上値を試す展開だろう。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)