ファンデリーは中期成長力に対して評価不足、健康食宅配の会員数は増加基調

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 ファンデリー<3137>(東マ)は健康食宅配事業を主力として、ヘルスケア総合企業を目指している。17年3月期第1四半期は健康食宅配の会員数が順調に増加して増収増益だった。そして通期も増収増益予想である。一人暮らし高齢者や生活習慣病の増加も背景に中期成長期待は強い。株価はモミ合いだが中期成長力に対して評価不足だろう。煮詰まり感を強めて上放れが期待される。

■健康食宅配サービスのMFD事業が主力

 企業理念に「一食二医社会の実現」を掲げている。健康増進を図るためには、第一に「食事コントロール」があり、それでも困難なときに「医療」を行うことが望ましく、医療費削減に貢献するためにも「一食二医社会の実現」を目指すとしている。

 健康食宅配サービスのMFD(Medical Food Delivery)事業は、健康食(冷凍弁当)の通販カタログを医療機関や調剤薬局などを通じて配布し、顧客(個人)から電話・FAX・WEBを通じて注文を受けて宅配する。定期コースとして、当社の管理栄養士・栄養士が顧客の疾病、制限数値、嗜好に合わせてメニューを選び、定期的に届ける「栄養士おまかせ定期便」も提供している。

 健康食通販カタログは、医療機関・保健所・介護施設向けミールタイム(年4回発刊)、調剤薬局向けミールタイムファーマ(年2回発刊)、および介護食系ミールタイムケアを発刊し、毎号半分程度のメニューを変更して旬の食材を提供する。ミールタイム発行部数は13年春号40万部、14年春号50万部、15年春号75万部と増加基調である。また健康食通販サイトのミールタイムも運営している。

 健康食宅配サービスから派生した事業として、食品メーカーなどへの健康食通販カタログ誌面の広告枠販売、食品メーカーなどからの商品サンプリングや健康食レシピ作成の業務受託、健康食レシピサイト運営などのマーケティング事業も展開し、収益源の多様化を推進している。16年3月期事業別売上構成比はMFD事業92%、マーケティング事業8%だった。

■専門性の高い栄養士によるカウンセリングや宅配サービスに強み

 当社の健康食宅配サービスは従来の食事宅配サービスと一線を画し、食事コントロールを通じた血液検査結果の数値改善を目指している。そして栄養士によるカウンセリング宅配サービス、栄養士が電話対応する注文・相談・カウンセリングなども特徴としている。

 健康食通販カタログを配布する全国の医療機関、調剤薬局、介護施設などの紹介ネットワーク(約1万8000ヶ所)を通じた効率的な顧客獲得と、専門性の高い栄養士が食事制限が必要な方に対して「ヘルシー食」「ヘルシー食多め」「たんぱく質調整食」「ケア食」など多様な健康食を開発・提案できることが強みだ。担当栄養士に対する信頼感でリピート率も上昇している。15年11月には在宅医療を必要とする患者等の食事療法をサポートするため、医療機関に所属する管理栄養士が作る健康食レシピサイト「はちまるレシピ」を開設した。

 なお15年7月、KDDI<9433>を代表団体とした「セルフ健康チェックと食事コントロールによる生活習慣病予防事業」に参加し、経済産業省「平成28年度健康寿命延伸産業創出推進事業(地域におけるヘルスケアビジネス創出推進等事業)」の公募に採択候補として決定した。本実証はKDDIを代表団体、当社を参加団体としてコンソーシアムを構成し、神奈川県、沖縄県、東京都下の一部自治体の住民に対して、KDDIの「スマホdeドック」および当社の健康食宅配サービス「ミールタイム」を提供する。

 8月19日には味の素食品と共同開発の「ミールタイム肉シューマイ」を9月から発売すると発表した。通常の冷凍シューマイとの比較でたんぱく質を約57%カットした。8月22日には新ブランド「medical+mealtime」を立ち上げて認知症と骨粗鬆症に着目したメニューを発売すると発表した。9月からミールタイムで発売する。8月24日には栄養価を調整した「おから入りスイートポテト」と「りんごのミルクプリン」を9月から発売すると発表した。

■16年3月期売上高営業利益率16.6%の高収益構造

 収益構造の特徴として、栄養士はメニュー開発を行い、顧客獲得は全国の病院や調剤薬局などの紹介ネットワークを通じた効率的な顧客獲得を行っている。そして健康食(冷凍弁当)の製造および宅配は外部に委託している。食材価格変動は概ね外注先で吸収されるため収益変動要因とはなり難い。またカタログ制作費はカタログ誌面広告枠販売で賄うことが可能だ。このため16年3月期売上高営業利益率16.6%の高収益構造を達成している。

 16年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期6億58百万円、第2四半期6億48百万円、第3四半期8億98百万円、第4四半期8億11百万円、営業利益は1億05百万円、72百万円、1億74百万円、1億49百万円だった。なおMFD事業では、おせち料理などで12月の売上高が増加する季節要因の傾向があるとしている。

 16年3月期はMFD事業が好調に推移して計画超の増収増益だった。売上総利益は同16.8%増加し、売上総利益率は57.2%で同1.9ポイント上昇した。販管費はカタログ発行部数増加などで同18.0%増加し、販管費比率は40.5%で同1.7ポイント上昇した。ROEは26.1%で同6.1ポイント低下、自己資本比率は78.5%で同8.4ポイント上昇した。配当は無配を継続した。

 セグメント別に見ると、MFD事業は売上高が同16.0%増の27億72百万円、営業利益(連結調整前)が同38.7%増の5億98百万円だった。知名度上昇効果で新規会員数が大幅増加し、定期購入サービス「栄養士おまかせ定期便」の利用者も順調に拡大した。マーケティング事業は売上高が同12.6%減の2億42百万円、営業利益が同13.3%減の1億80百万円だった。

 なおMFD事業の主要指標の推移を見ると、会員数は15年3月期第4四半期末15万2771人、16年3月期第1四半期末15万6872人、第2四半期末16万994人、第3四半期末17万7025人、第4四半期末18万2905人、17年3月期第1四半期末18万8349人、そして定期コース会員数は同様に6079人、6252人、6185人、6772人、6938人、6974人と増加基調である。1件あたり購入単価は6900円前後、定期コースの売上構成比は50%強で推移している。

■17年3月期第1四半期は増収増益

 今期(17年3月期)第1四半期(4~6月)の非連結業績は、売上高が前年同期比18.0%増の7億77百万円、営業利益が同9.9%増の1億15百万円、経常利益が同29.9%増の1億21百万円、純利益が同25.9%増の77百万円だった。

 売上総利益は同16.1%増加したが、売上総利益率は56.6%で同1.0ポイント低下した。販管費はカタログ発行部数増加などで同18.5%増加し、販管費比率は41.7%で同0.1ポイント上昇した。営業外費用では株式公開費用11百万円が一巡した。

 セグメント別動向を見ると、MFD事業は売上高が同19.4%増の7億30百万円、営業利益(連結調整前)が同21.4%増の1億55百万円だった。定期購入サービス「栄養士おまかせ定期便」への移行を中心として積極的な販売に注力した。マーケティング事業は売上高が同0.1%増の47百万円、営業利益が同3.6%増の35百万円だった。紹介ネットワークを活用した業務受託において複数案件を獲得した。

 MFD事業の主要指標は、期末会員数が同3万1477人(20.1%)増加の18万8349人、定期コース会員数が同722人(11.6%)増加の6974人だった。1件あたり購入単価は6882円で同9円上昇した。チャネル別売上構成比は定期コース51.7%、TEL24.6%、PC15.8%、その他(スマホ、タブレット端末、FAX)7.9%で、定期コースが5割を超えている。

■17年3月期通期も増収増益予想

 今期(17年3月期)通期の非連結業績予想(5月10日公表)は売上高が前期(16年3月期)比15.0%増の34億66百万円、営業利益が同13.3%増の5億67百万円、経常利益が同11.4%増の5億57百万円、純利益が同8.8%増の3億40百万円としている。知名度向上効果、紹介ネットワークの新規開拓や深耕などにより、MFD事業が好調に推移して増収増益予想である。

 セグメント別の計画は、MFD事業の売上高が同14.2%増の31億66百万円で営業利益(連結調整前)が同12.8%増の6億75百万円、マーケティング事業の売上高が同23.7%増の3億円で営業利益が同26.9%増の2億28百万円としている。MFD事業の受注件数は同15.5%増の46万件、平均単価は同横ばいを想定している。

 配当については無配を継続する。当面は内部留保の充実に注力する方針だが、今後は事業規模や収益が安定成長段階に入ったと判断された時点で、経営成績・財政状態を勘案しながら、配当による株主への利益還元に努めるとしている。

 通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が22.4%、営業利益が20.4%、経常利益が21.8%、純利益が22.7%である。やや低水準の形だが、MFD事業は会員数が増加基調であり、おせち料理で第3四半期の売上構成比が高い傾向がある。さらにマーケティング事業は業務受託売上が下期偏重であることを考慮すれば、通期会社予想の達成は可能だろう。

■一人暮らし高齢者や生活習慣病の増加なども背景に中期成長期待

 中期成長戦略として、紹介ネットワーク拡大・深耕、定期コース顧客獲得、コラボレーションによる商品付加価値向上、マーケティング事業拡大を掲げ、健康に関するソリューションを提供するヘルスケア総合企業を目指している。

 紹介ネットワークに関しては、開拓余地の大きい全国10万ヶ所強の一般病院・診療所向けに拡大を推進するとともに、既存紹介ネットワークにおいても栄養士の交流会「輝く栄養士の会」運営などを通じて、当社の栄養士と医療機関・保健所・介護施設等の栄養士とのコミュニケーション向上を図る。管理栄養士・栄養士のコミュニティサイト「Foodish(フーディッシュ)」も運営している。

 定期コース顧客獲得では「栄養士おまかせ定期便」の拡充などの施策によってリピーターの獲得を推進する。リピーター獲得によって安定的な売上・利益の拡大に繋げる。コラボレーションによる商品付加価値向上では、食品メーカー・協会や病院栄養士とのコラボレーションを強化する。

 マーケティング事業拡大では、健康食レシピ情報サイトに食品メーカー等の商品を使用した健康食レシピを公開するなど、健康食レシピ情報サイトも活用して事業を拡大する。

 高齢者数の増加、特に一人暮らし高齢者の増加、さらに生活習慣病患者や食事制限対象者などの増加を背景に、健康食宅配市場は拡大基調が予想される。当面は売上高100億円の早期達成を目指しているようだ。従来の食事宅配サービスと一線を画した健康食メニュー開発力などを武器として、中期的に収益拡大基調だろう。

■株価は中期成長力に対して評価不足、煮詰まり感強めてモミ合い上放れ期待

 株価の動きを見ると、6月の直近安値700円から一旦反発したが、その後は戻り一服となって800円近辺でモミ合う展開だ。ただし中期成長力に対して評価不足だろう。

 8月26日の終値786円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS53円63銭で算出)は14~15倍近辺、実績PBR(前期実績のBPS230円84銭で算出)は3.4倍近辺である。時価総額は約50億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を挟んでモミ合う形だ。煮詰まり感を強めてモミ合い上放れが期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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