【編集長の視点】チエルは株式分割の権利取りの再燃に下げ過ぎ訂正買いが加わって急反発

 チエル<3933>(JQS)は、104円高の2806円と4営業日ぶりに急反発して始まっている。同社は、今年9月30日を基準日に株式分割を予定しており、きょう29日から9月月替わり商いとなることから改めて株式分割の権利取りの買い物が再燃している。株価水準自体も、今年6月につけた上場来高値5840円から値幅で58%、日柄で4カ月目に入り、調整十分として下げ過ぎ訂正買いも加わっている。

■相次いで学習・授業支援プラットフォームを発売し最高業績が続く

 株式分割は、投資単位当たりの金額を引き下げて投資しやすい環境を整え、同社株式の流動性の向上と投資家層の拡大を図ることを目的にしており、1株を2株に分割する。

 一方、同社の今3月期業績は、売り上げ18億円(前期比4.2%増)、営業利益2億円(同7.7%増)、経常利益2億円(同7.6%増)、純利益1億3800万円(同16.3%増)と予想され、売り上げ、営業利益は前期の過去最高を連続更新するとともに、純利益も、2013年3月期の過去最高(1億4700万円)に肉薄する。小学校、中学校、高校、大学の学校教育にICT(情報通信技術)を導入する教育ITCの唯一の専業メーカーとして、この教育ICT事業での新展開が続き、今年7月には次世代語学学習支援プラットフォーム「Calabo Language」、8月1日には全国の大学を対象にオンライン授業支援ツールをオンリーワンで提供する授業支援プラットフォーム「Calabo Bridge ver.3.0」それぞれ発売したことなどが寄与する。

 なお、今年8月10日に発表した今3月期第1四半期(2016年4月~6月期、1Q)業績は、赤字着地となったが、同社の業績特性として売り上げ、営業利益が第2四半期(2016年7~9月期)、第4四半期(2017年1月~3月期)に偏重する傾向があるとして、3月通期業績は期初予想を据え置いた。文部科学省が導入を進めている「デジタル教科書」や、総務省が全国の小・中・高校に無線LANのWi-Fi環境の整備を進めることなどを追い風に業績の高成長期待が高い。

■1Q赤字業績を織り込み上値抵抗線の25日線を上抜きリバウンド幅拡大

 株価は、「デジタル教科書」人気や「Wi-Fi環境整備」などをテコに上場来高値5840円まで買い進まれ、今年3月のIPO時の公開価格810円に対して7.2倍、初値2151円に対して2.7倍の大化けとなった。同最高値からは全般相場の波乱とともに下値を探り、今期1Q業績の赤字着地で2450円安値まで調整したが、株式分割発表とともに3050円の戻り高値をつけ、これまで上値抵抗線となっていた25日移動平均線を上抜いた。株式分割の権利取りで一段の戻りを試そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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