【編集長の視点】メタップスは続落もIPO以来初の月次単月黒字業績がサポートしてAI関連人気の再燃が有力

 メタップス<6172>(東マ)は、前日比変わらずの1150円で寄り付いたあと、12円安と下ぶれるなど続落している。今年6月24日につけた上場来安値901円から底上げし、目先の利益確定売りに押されている。ただ同社が、今年8月24日に発表したお金の流れを予測する人工知能「Laplace(ラプラス)」の研究開発プロジェクトの開始を見直しAI(人工知能)関連人気の再燃は有力で、今年5月の月次業績が、昨年8月の新規株式公開(IPO)以来、単月として初めて黒字となったこともサポートしそうだ。株価水準も、IPO時の公開価格3300円を大きく下回っているだけに、下げ過ぎ訂正期待を高めよう。

■5月の単月業績が黒字化し4Qの四半期業績も黒字転換

 「ラプラス」プロジェクトは、同社がこれまでAIを駆使して展開してきたアプリ分析ツール「Metaps Analytics」や決済プラットフォーム「SPIKE(スパイク)」などを通じて、これまでグループ全体で年間2400億円規模の取引金額を処理するとともに、月間2200万人以上のアクティブユーザーの行動データを蓄積しており、このデータをAIに学習させ決済、融資、投資、保険などの新しい金融サービスの創出を目指すもので、大学との共同研究や外部との金融機関との提携も、積極的に進める。

 同社は、同プロジェクトに先立って今年8月にディープラーニングを用いて小説を書くAIエンジンを開発してNASA(米航空宇宙局)と協業して宇宙小説アプリをリリースし、民泊対象物件の価格設定、収益予測を可能とする民泊物件データ検索サイト「SPIKEデータfor民泊」をオープンするなどAI関連事業が相次いでおり、「世界の頭脳へ」を掲げる同社の経営ビジョンが、いよいよ収益寄与段階に入る。

 一方、同社の月次業績も、今年5月に初めて単月として黒字化しており、今8月期第3四半期(2015年9月~2016年5月期)の営業利益は、3億9500万円の赤字(前年同期は2億5800万円の赤字)と水面下の推移が続いたが、今期第4四半期(2016年6月~8月期、4Q)営業利益は、黒字化を見込んでいる。つれて8月通期業績も、期初予想を据え置き売り上げ90億円(前期比2.18倍)と大幅続伸し、営業利益も黒字転換を予想している。

■「半値八掛け二割引き」以下の最安値から出直り一段の底上げにチャレンジ

 株価は、公開価格3300円を下回る3040円で初値をつけ、その後相次いだM&Aに反応してストップ高する場面もあったが、連続赤字となる業績推移が響いて上場来安値901円まで大きく調整、同最安値から月次業績の黒字化、相次ぐAIプロジェクトの進展などで底上げ、これまで上値抵抗線だった25日移動平均線を上抜き1247円の戻り高値をつけもみ合いを続けている。テクニカル的に大底打ちを示唆する「半値八掛け二割引き」以下の最安値からの大出直りであり、ここから今度は25日線をサポートラインに一段の底上げに弾みをつけよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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