ビューティガレージは17年4月期第1四半期大幅増収増益、通期据え置きだが増額余地

 ビューティガレージ<3180>(東1)は美容サロン向け美容商材ネット通販の最大手である。9月7日発表した17年4月期第1四半期連結業績は大幅増収増益だった。通期も大幅増収増益予想である。第4四半期の構成比が高いことを考慮すれば通期予想に増額余地がありそうだ。8月26日には海外顧客向け購入代行ソリューションサービス導入開始を発表している。また7月に東証1部へ市場変更して一段の認知度・信用力向上効果も期待される。株価は7月の年初来高値圏から反落したが、好業績を評価して上値を試す展開だろう。

■美容サロン向け美容商材ネット通販の最大手

 理美容室、エステサロン、ネイルサロン、リラクゼーションサロンなど全国の美容サロン向けに、業務用理美容・エステ機器(スタイリングチェア、シャンプーユニット、パーマ機器、エステスチーマーなど)や、業務用化粧品・消耗品(ヘアケア製品、エステティック化粧品、マッサージオイル、ネイル商材など)を販売するプロ向け美容商材の物販事業を主力としている。

 販売チャネルは、16年7月時点の登録会員口座28万超、取扱美容商材90万点超で、日本最大級のプロ向け美容商材ネット通販サイト「BEAUTY GARAGE Online Shop」でのオンライン販売(=EC)を主力として、カタログ通販、および全国9拠点のショールームでの販売を展開している。ショールームは中古品の買い取り・メンテナンス拠点としても機能している。

 IT(ネット通販)とリアル(ショールームでの販売)を融合連携させたBtoBビジネスモデルで、美容サロン向け美容商材ネット通販の最大手である。中間流通を省いたダイレクト販売と大量一括購入による国内最安値保証、自社開発の「WEB&リアル店舗連動型」基幹POSシステム、自社物流センターを保有して利便性を高めた配送サービス、中古・格安PB商品と開業支援ソリューションで新規開業者を集める仕組み、物販とソリューションのワンストップサービスでリピート利用に繋げる仕組みなどを強みとしている。

 グループ子会社は、タフデザインプロダクトがサロン店舗設計・施工事業、サロンキャリアが美容師などの求人マッチングサイト運営、アイラッシュガレージがアイラッシュ(まつ毛エクステ)商材卸売および開業・経営支援事業を展開している。

■サロンコンシェルジュNO.1企業を目指す

 中期経営計画では高い収益性と継続的な成長を可能とするビジネスモデルを確立し、開業と繁盛を総合支援するサロンコンシェルジュNO.1企業を目指している。

 目標値には17年4月期売上高100億円、経常利益7億円を掲げ、重点戦略としては、美容業界のBtoB電子商取引市場における圧倒的NO.1地位を確立するIT戦略、SPA方式活用によって売れる商品を開発するメーカー戦略、リピート商材拡充によりフロー&ストック型収益構造に転換する専門商社戦略、開業支援・経営ソリューション充実によって総合受注を促進するワンストップソリューション戦略を推進している。

 物販事業では、リピート商材である化粧品・消耗品の販売を拡大するとともに、機器分野ではPB商品、化粧品分野ではNB商品の品揃えを強化する。また物流コスト低減に向けて中国・広州に「HUB倉庫」を新設運用開始した。中国から日本に輸送する商品を保管料の安い中国の「HUB倉庫」に一旦集めて検品を行い、保管料の削減、効率的な輸送、不良品の早期発見に繋げる。

■サイト利便性向上、品揃え拡充、周辺領域への展開を強化

 15年6月プロ向け美容業界の商材仕入用として業界初となるスマホ用バーコード発注アプリ「BGスマート発注」を導入した。バーコードリーダ機能を搭載し、美容サロンにおける消耗品などの発注業務を簡素化して担当者の発注業務負担を軽減でき、当社への発注増加に繋げる。

 15年7月ソニー<6758>の肌解析システム「BeautyExplorer」の取り扱い開始、15年11月ヤーマン<6630>の業務用トリートメント機器をビューティガレージブランドのエステサロン向け商品「Quattro Burst Cavi」として販売開始、15年11月総合印刷会社の帆風と共同でサロンの印刷用途に特化した印刷通販サイト「サロンプリント」を開始した。

 16年1月マーケットプレイス型販売として、当社のプロ向け美容商材ネット通販サイト「BEAUTY GARAGE Online Shop」を他の美容商材卸業者に開放し、テナントとしての出店を可能にした。

 16年3月ノーリツ鋼機<7744>の子会社で歯科業界カタログ通販大手のフィード社と業務提携した。同社のPB商品として販売する歯科・医療機関向け機器・材料等を当社が製造(OEM)受託する。

 なお海外展開については、海外販売代理店方式=海外ディストリビュータ経由での輸出販売(複数の国のディストリビュータと交渉中)、越境EC代行方式=海外顧客向け購入代行ソリューションサービス導入(現在のECサイト上に海外ユーザー向け購入発送代行サービスを16年半ば頃導入予定)、自社での越境EC方式=自社ECサイトの多言語版構築(17年以降に自社サイトをグローバル対応へアップデートし、海外からの注文を直接受注・発送できる体制を構築)の3方向で準備を進める方針だ。

 そして8月26日、海外顧客向け購入代行ソリューションサービス導入開始を発表した。商品説明ページは従来どおり日本語のみの表示だが、海外IPからのアクセスがあった場合に、ユーザーのブラウザ設定言語に合わせた英語・中国語・韓国語の購入代行サービス会社の決済手続バナーが表示され、購入代行サービス機能にて購入手続きが可能となる。現行のプロ向け美容商材ネット通販サイト「BEAUTY GARAGE Online Shop」をそのまま活用できるため、コストを抑えながらも海外在住サロンの利便性向上を実現できる。

■美容サロン新規開業が集中する第4四半期(2~4月)の構成比が高い

 四半期別業績推移を見ると、15年4月期は売上高が第1四半期16億70百万円、第2四半期18億44百万円、第3四半期16億99百万円、第4四半期20億62百万円、営業利益が51百万円、1億25百万円、79百万円、1億21百万円、16年4月期は売上高が19億94百万円、21億32百万円、18億56百万円、24億16百万円、営業利益が67百万円、1億09百万円、33百万円、2億32百万円だった。

 季節要因として、美容サロンの新規開業が集中して美容機器の需要が高まる第4四半期(2~4月)の構成比が高い収益構造である。また16年4月期第4四半期は四半期ベースで過去最高の売上高となった。

■EC比率上昇基調でアクティブユーザー数も増加基調

 16年4月期は15年4月期比2桁増収・営業増益だった。一部PB機器の電気用品安全法に基づく再試験という一時的費用が発生したが、コラボレーションも活用した品揃え強化、カタログ通販誌発刊、スマホ用バーコード発注アプリ「BGスマート発注」導入、金沢・広島ショールーム拡大移転などの施策の効果でアクティブユーザー数が順調に増加した。

 売上総利益は同10.8%増加したが、売上総利益率は32.3%で同1.4ポイント低下した。また販管費は同9.6%増加したが、販管費比率は27.1%で同1.4ポイント低下した。営業外では為替差損益が悪化した。ROEは16.4%で同1.6ポイント低下、自己資本比率は51.2%で同0.7ポイント低下した。配当は80銭増配の年間5円60銭(期末一括)で配当性向は12.5%だった。

 セグメント別に見ると、物販事業は売上高が同15.0%増の64億84百万円で営業利益(連結調整前)が同10.7%増の4億84百万円、店舗設計事業は売上高が同18.6%増の16億20百万円で営業利益が同17.9%増の98百万円、その他周辺ソリューション事業は売上高が同9.1%増の2億94百万円で営業利益が同43.9%増の55百万円だった。

 物販事業の売上総利益率は、円安進行に伴う輸入仕入価格上昇で15年4月期第1四半期37.9%から第2四半期37.0%、第3四半期36.7%、第4四半期36.1%、16年4月期第1四半期35.0%と低下傾向だったが、その後は第2四半期35.3%、第3四半期35.0%と下げ止まり、第4四半期には円高傾向も寄与して35.7%に上昇している。

 16年4月期の物販事業の販売チャネル別売上高構成比は、EC64%(15年4月期58%)、電話・FAX18%(同21%)、ショールームへの来店15%(同18%)、その他3%(同2%)で、EC比率が上昇基調である。EC売上高は15年4月期比27.2%増収で、特にモバイル経由が同98.6%増収と大幅に増加している。15年6月導入したスマホ用バーコード発注アプリ「BGスマート発注」による月間売上高は16年4月に1400万円を突破した。

 16年4月期末のEC登録会員口座数は15年4月期末比3万8307口座増加の27万7777口座、このうち過去1年に購入履歴のあるアクティブユーザー数は同7134口座増加の8万4760口座、アクティブユーザー比率は同1.9ポイント低下の30.5%となった。

 また16年4月期の物販事業の商品別売上高構成比は、PB機器46%(15年4月期50%)、PB化粧品11%(同10%)、NB機器17%(同17%)、NB化粧品22%(同19%)、中古品4%(同4%)だった。PB・NB別で見るとPB比率57%(同60%)、NB比率39%(同36%)で、機器・化粧品別で見ると機器比率64%(67%)、化粧品比率33%(同29%)となった。一部PB機器の電気用品安全法に基づく再試験という一時的要因でPB機器比率が低下したが、安定収益源で四半期別売上高の平準化にも繋がる化粧品の比率が着実に上昇している。

■17年4月期第1四半期は大幅増収増益

 9月7日発表した今期(17年4月期)第1四半期(5~7月)の連結業績は売上高が前年同期比16.9%増の23億31百万円、営業利益が同70.0%増の1億13百万円、経常利益が同29.5%増の86百万円、純利益が同33.9%増の54百万円だった。

 物販事業におけるリピート顧客の増加などで2桁増収となり、物販事業の売上総利益率も改善し、美容業界最大のイベント「Beauty World Japan2016」への出展、通販カタログ誌3種の発刊、福岡支店ショールームのリニューアル移転などの経費増加を吸収して2桁営業増益だった。

 売上総利益は同17.1%増加し、売上総利益率は32.6%で同0.1ポイント上昇した。このうち物販事業の売上総利益率は37.1%で同2.1ポイント上昇した。円高も寄与した。販管費は同11.0%増加したが、販管費比率は27.7%で同1.5ポイント低下した。営業外では為替差損(為替予約に対する評価損)10百万円、市場変更費用16百万円を計上した。

 セグメント別に見ると、物販事業は売上高が同13.3%増の17億76百万円で営業利益(連結調整前)が同48.6%増の1億27百万円、店舗設計事業は売上高が同37.8%増の4億86百万円で営業利益が同19.0%増の19百万円、その他周辺ソリューション事業は集客支援サービスや講習会・アカデミーサービスなどが伸び悩み、売上高が同6.6%減の68百万円で営業利益が同9.0%減の16百万円だった。

 なお物販事業における16年7月末のEC登録会員口座数は同15.0%増加の28万7265口座、このうち過去1年間に1回以上購入履歴のあるアクティブユーザー数は同6.9%増加の8万5776口座となった。また過去1年間で6回以上購入したロイヤルユーザー数は同24.0%増の1万6633口座となり、リピート顧客の増加が顕著になった。モバイル経由売上高は同42.5%増と大幅伸長した。化粧品・材料の売上高は21.6%増加、PB機器の売上高は15.7%増加した。

■17年4月期通期も大幅増収増益予想で増額余地

 今期(17年4月期)通期の連結業績予想は前回予想(6月9日公表)を据え置いて、売上高が前期(16年4月期)比15.6%増の97億05百万円、営業利益が同20.6%増の5億32百万円、経常利益が同24.1%増の5億20百万円、純利益が同31.0%増の3億49百万円としている。配当予想については実施する予定だが、金額は未定としている。

 認知度・信用力の向上、サイトの利便性向上、美容業界イベントへの積極出展、PB新商品の投入、福岡ショールームの拡大移転、カタログ通販誌「BG STYLE」発刊などの施策に加えて、スマホ用バーコード発注アプリ「BGスマート発注」の本格化、さらに歯科業界向け当社商品販売開始などの効果も期待される。

 通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が24.0%、営業利益が21.2%、経常利益が16.5%、純利益が15.5%である。やや低水準の形だが四半期ベースの季節要因として、美容サロンの新規開業が集中して美容機器の需要が高まる第4四半期(2~4月)の構成比が高い収益構造であるためネガティブ要因とはならない。通期ベースでの増収増益基調に変化はなく、円高メリットや東証1部への市場変更による認知度・信用力向上効果もプラス要因となって通期予想に増額余地がありそうだ。

■株主優待制度は16年4月期末から導入

 株主優待制度は16年4月期末から導入した。対象株主については、初回は16年4月30日現在で1単元(100株)以上を継続して3ヶ月以上保有する株主を対象とし、その後は毎年4月30日現在で1単元(100株)以上を継続して1年以上保有する株主を対象とする。優待内容は該当株主1名につき、希望小売価格3000円相当分の当社オリジナルブランド商品を贈呈する。

■株価は好業績を評価して上値試す

 株価の動きを見ると、7月の年初来高値1460円から反落したが、9月1日の直近安値1030円から切り返しの動きを強めている。自律調整が一巡したようだ。

 9月7日の終値1163円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS58円52銭で算出)は19~20倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS292円24銭で算出)は4.0倍近辺である。時価総額は約70億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線を割り込んだが、26週移動平均線近辺から切り返してサポートラインを確認した形だ。好業績を評価して上値を試す展開だろう。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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