テクマトリックスは17年3月期2桁営業増益・連続増配予想で9月末の株主優待も注目点

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 テクマトリックス<3762>(東1)はシステム受託開発やセキュリティ関連製品販売などの情報サービス事業を展開し、ストック型ビジネスやクラウドサービスを強化している。17年3月期はサイバーセキュリティ関連の好調で2桁営業増益・連続増配予想である。9月末の株主優待も注目点となる。株価は7月の上場来高値から利益確定売りで反落したが、自律調整が一巡して切り返しの動きを強めている。9月7日には前日比124円(6.19%)高の2130円まで上伸した。上値を試す展開だろう。

■システム受託開発やセキュリティ関連製品販売などを展開

 ネットワーク・セキュリティ関連のハードウェアを販売する情報基盤事業、および医療・CRM・EC・金融を重点分野としてシステム受託開発やクラウドサービスを提供するアプリケーション・サービス事業を展開している。

 16年3月期のセグメント別売上高構成比は情報基盤事業66%、アプリケーション・サービス事業34%、営業利益構成比は情報基盤事業82%、アプリケーション・サービス事業18%だった。

■ストック型ビジネスやクラウドサービスを拡大

 中期成長に向けた重点戦略として、ストック型ビジネスの保守・運用・監視サービス関連の戦略的拡大、クラウド関連事業の戦略的・加速度的推進、ネットワーク・セキュリティ関連商材およびサービスの充実などを推進している。

 クラウドサービスではコンタクトセンター向けCRMシステム「Fast Cloud」や医療情報クラウドサービス「NOBORI」など独自クラウドサービスを開発している。16年4月には医療情報クラウドサービス「NOBORI」をプラットフォームとした新たな医療クラウドサービス「NOBORI-PAL」を提供開始した。サービス拡充を進めて初年度延べ80施設での利用を目指すとしている。

■M&A・アライアンスを積極活用

 M&A・アライアンスを積極活用するとともに、グループ再編も推進している。14年3月クロス・ヘッドを完全子会社化、14年7月日本事務器(NJC)と医療情報クラウドサービス「NOBORI」に関する販売代理店契約締結、14年10月クロス・ヘッドが仮想化技術の米Pica8(ピカエイト)社に出資、ソフトバンクテレコムなどと3社共同でクラウド型医療情報サービス「地域健康・医療情報プラットフォームサービス(HeLIP)」提供開始した。14年12月クロス・ヘッドがエヌ・シー・エル・コミュニケーションを完全子会社化、15年4月合併した。

 15年5月中国の北京ヘルスバンク・テクノロジー有限公司と合弁契約を締結、15年8月北京ヘルステック医療情報技術有限公司(当社出資比率40%)を設立した。当社子会社の合同会社医知悟が開発した遠隔医療ソフトウェアのライセンスを供与して遠隔医療事業を展開する。15年6月にはクロス・ヘッドがクライアント仮想化ソフトウェア「OVD」を開発するカナダのInuvika(イヌビカ)社に出資した。

 16年4月モール型ECサイトに出店するネットショップの受注処理・在庫管理業務を効率化するSaaS業務支援システム「楽楽バックオフィス」と、ジャックス・ペイメント・ソリューションズの後払い決済サービス「アトディーネ」の連携を開始した。またコンタクトセンター向けCRM製品「Fastシリーズ」について日本ユニシスと販売代理店契約を締結した。

 16年6月ネットショップの商品データを一元管理できる新サービス「楽楽アイテムマネージャー」の販売開始(7月下旬)を発表した。また米Tanium社との販売代理店契約締結、同社のネットワーク端末脅威対策プラットフォーム製品の販売開始を発表した。16年7月Yellowfin Japanとの販売代理店契約締結、同社のBI(ビジネス・インテリジェンス)ツール「Yellowfin」の販売開始を発表した。

■第4四半期の構成比が高く、ストック型収益の積み上げも推進

 医療分野ではオンプレミス型(ユーザーがハードウェア、ソフトウェア、データを自分自身で保有・管理)システム提供から、クラウド型(ユーザーがインターネット経由で利用)サービス提供へビジネスモデル変更を推進しているため、14年3月期から医療情報クラウドサービスの売上と利益をサービス期間に応じて按分計上する方法に変更した。このため今後複数年に亘って売上と利益にマイナス影響となるが他事業の成長でカバーする。

 四半期別業績推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期39億49百万円、第2四半期46億55百万円、第3四半期43億75百万円、第4四半期54億38百万円、営業利益が63百万円、2億87百万円、1億92百万円、5億88百万円、16年3月期は売上高が48億48百万円、52億90百万円、49億41百万円、58億41百万円、営業利益が1億04百万円、4億12百万円、2億58百万円、6億07百万円だった。

 情報システム関連で第4四半期の構成比が高い収益構造である。16年3月期は情報基盤事業、アプリケーション・サービス事業とも好調に推移し、クラウドビジネスの伸長、医療分野の収益改善も寄与して大幅増益だった。売上総利益は15年3月期比8.5%増加したが、売上総利益率は32.8%で同1.5ポイント低下した。販管費は同5.6%増加したが、販管費比率は26.2%で同2.0ポイント低下した。

 特別損失で投資有価証券評価損や事務所移転費用などを計上したが、減損損失が減少した。ROEは16.0%で同6.6ポイント上昇、自己資本比率は25.1%で同20.2ポイント低下した。配当は同5円増配の年間20円(期末一括)で配当性向は24.2%だった。利益配分については株主への利益還元と内部留保充実のバランスを総合的に勘案して決定し、期末業績における連結配当性向20%以上を基本方針としている。

 セグメント別に見ると、情報基盤事業は売上高が同15.0%増の138億52百万円、営業利益が同9.9%増の11億31百万円だった。アプリケーション・サービス事業は売上高が同10.9%増の70億68百万円、営業利益が同2.5倍の2億50百万円だった。

 なお受注高は情報基盤事業が同16.8%増の151億57百万円、アプリケーション・サービス事業が同6.7%増の80億14百万円、合計が同13.1%増の231億71百万円だった。受注残高は情報基盤事業が同28.6%増の58億63百万円、アプリケーション・サービス事業が同21.9%増の52億73百万円、合計が同25.3%増の111億36百万円だった。

 またストック比率(単体ベース)は、情報基盤事業が同2.5ポイント低下して37.7%、アプリケーション・サービス事業が同2.1ポイント上昇して43.9%となった。医療情報クラウドサービス「NOBORI」の16年3月期末導入施設数は約450施設(15年3月期末は約300施設)となった。

■17年3月期第1四半期は2桁営業増益

 今期(17年3月期)第1四半期(4~6月)の連結業績は売上高が前年同期比0.8%増の48億85百万円、経常利益が同18.2%増の1億23百万円、経常利益が同23.8%増の1億32百万円、純利益が同3.1倍の77百万円だった。売上総利益は同7.6%増加し、売上総利益率は32.1%で同2.0ポイント上昇した。販管費は同6.7%増加し、販管費比率は29.6%で同1.7ポイント上昇した。

 セグメント別に見ると、情報基盤事業は売上高が同0.1%減の32億99百万円、営業利益が同42.2%増の1億87百万円だった。負荷分散装置の販売がやや頭打ちだったが、次世代ファイアウォールなどセキュリティ関連が順調だった。ネットワーク端末脅威対策プラットフォームは大型案件を受注した。

 アプリケーション・サービス事業は、売上高が同2.6%増の15億86百万円、営業利益が64百万円の赤字(前年同期は27百万円の赤字)だった。インターネットサービスは既存顧客を中心に受託開発案件の受注が順調だった。医療分野は会計処理方法変更に伴う経過処理で売上高が減少傾向だったが、契約施設数の増加に伴って売上高が増加傾向に転じている。

■17年3月期通期も2桁増益で連続増配予想

 今期(17年3月期)通期連結業績予想(5月9日公表)は売上高が前期(16年3月期)比6.6%増の223億円、営業利益が同19.4%増の16億50百万円、経常利益が同16.1%増の16億50百万円、純利益が同24.2%増の10億30百万円としている。需要が堅調であり、人件費の増加などを吸収して2桁増益予想である。配当予想は同5円増配の年間25円(期末一括)としている。予想配当性向は24.4%となる。

 セグメント別売上高の計画は情報基盤事業が同9.0%増の151億円、アプリケーション・サービス事業が同1.9%増の72億円としている。情報基盤事業では、サイバー攻撃を防御することができる次世代ネットワーク・セキュリティ関連商材・サービスの拡充を目指す。アプリケーション・サービス事業では、CRM分野・医療分野・インターネットサービス分野におけるクラウドサービス(SaaS)を加速度的に推進する。

 通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が21.9%、営業利益が7.5%、経常利益が8.0%、純利益が7.5%である。低水準の形だが、第4四半期の構成比が高い収益構造のためネガティブ要因とはならない。通期ベースでも好業績が期待される。

■中期的に年率売上高成長率10%目指す

 15年5月策定の中期経営計画「TMX3.0」では、経営目標数値として18年3月期売上高251億円(情報基盤事業170億円、アプリケーション・サービス事業81億円)、営業利益23億50百万円(情報基盤事業16億円、アプリケーション・サービス事業7億50百万円)を掲げている。

 さらに中期的には年率売上高成長率10%、M&Aや海外展開を含めて事業規模250億円~300億円、ストック売上(クラウド、保守、運用・監視サービス等)比率50%超を目指し、売上高営業利益率10%へ挑戦する。

 従来のIT産業の労働集約的な請負型ビジネスから脱却し、自らITサービスを創造し、ITサービスを提供する「次世代のITサービスクリエーター」そして「次世代のITサービスプラバイダー」への変貌を継続する。重点事業戦略は、クラウド関連事業の戦略的・加速度的推進、セキュリティ&セイフティの追求として、コストダウンによる高収益化やパートナーとのアライアンス強化も推進する。

 なお株主還元については連結配当性向20%以上を基本方針として、利益水準を踏まえた配当額の引き上げを重視し、株主優待制度の充実も推進する。

■株主優待制度は9月末に実施

 株主優待制度については、毎年9月30日現在の500株以上保有株主を対象として実施している。15年9月末の優待内容は、500株以上~1000株未満保有株主に対して1000円相当の商品または寄付から1点、1000株以上保有株主に対して3000円相当の商品または寄付1点を選択する内容だった。

■株価は自律調整一巡して上値試す

 株価の動きを見ると、7月の上場来高値2520円から利益確定売りで一旦反落したが、直近安値圏1900円近辺から切り返しの動きを強めている。9月7日には前日比124円(6.19%)高の2130円まで上伸した。

 9月7日の終値2128円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS118円59銭で算出)は17~18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は1.2%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS455円08銭で算出)は4.7倍近辺である。なお時価総額は約263億円である。

 週足チャートで見ると一旦割り込んだ13週移動平均線と26週移動平均線を素早く回復する動きだ。9月末の株主優待も注目点であり、自律調整が一巡して上値を試す展開だろう。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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