【アナリスト水田雅展の銘柄診断】メディアスHDは下値固め完了感、6月期末一括で3%台の高配当利回りも評価して出直り

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 医療機器販売のメディアスホールディングス<3154>(JQS)の株価は、安値圏2400円~2500円近辺で推移している。ただし14年11月安値2380円、12月安値2376円を割り込む動きは見られず下値固め完了感を強めている。6月期末一括で3%台の高配当利回りも評価材料として出直り展開だろう。

 医療機器・医療材料の販売事業を主力として、介護・福祉機器の販売・レンタル事業も展開し、静岡県・神奈川県を地盤とする協和医科器械、およびオズの首都圏・愛知県エリアへの営業強化策に加えて、M&Aを積極活用して営業エリアと規模の拡大戦略を推進している。

 10年7月に栗原医療器械店(群馬県太田市)、12年7月にネットワーク(東京都新宿区)、13年7月に秋田医科器械店(秋田県秋田市)、14年7月にジオット(福島県郡山市)を完全子会社化し、14年10月には福井県内でトップシェアを誇る福井医療(福井県福井市)と資本業務提携した。

 商品戦略では医療機関への医療機器・医療材料の販売に加えて、手術室運営支援ソフトウェア、医療材料データベース、プライベートブランド商品などの販売も促進し、複合的サービスを強化している。

 手術室業務支援ソフトウェア「サージレーン」は、効率の良い病院手術室運営を提案して機器・備品売上の拡大に繋げるもので、前期(14年6月期)末時点の導入施設数は大病院を中心に8施設である。来期(16年6月期)には新たに3施設の導入を予定しているようだ。医療材料データベース・医療材料分析サービス「メッカル」は、医療材料価格の最適化を支援するツールで、前期末時点で84施設に導入している。

 また14年10月には子会社ケアフォースを設立した。医療・介護用移乗機器および電動ベッドなどの輸入・販売事業を展開し、来期から収益寄与する見込みだ。海外はインドにおける鴻池運輸<9025>との医療データベース合弁会社CARNA MEDICAL DATABASEで、医療物流プラットフォームの構築を推進している。

 今期(15年6月期)の連結業績見通し(8月11日公表)は、売上高が前期比6.6%増の1556億60百万円、営業利益が同12.5%減の14億円、経常利益が同11.8%減の18億円、純利益が同1.7%増の9億85百万円、配当予想が配当性向25~30%を基本方針として前期と同額の年間80円(期末一括)としている。

 第1四半期(7月~9月)は首都圏での営業強化に向けた人件費の増加などで営業赤字だったが、積極的な営業活動やSPD事業の拡大などで前年同期比3.9%増収だった。

 通期ベースでも、償還価格引き下げの影響、備品類における消費増税の反動影響、首都圏での営業強化に向けた人件費の増加などで営業減益見通しだが、消費増税の反動影響が小さい消耗品の販売は好調であり、営業強化の効果やジオットの新規連結などで増収見通しだ。

 また期初時点では保守的な会社見通しを公表する傾向があり、首都圏および愛知県エリアなどでの営業強化、新規取引先の獲得、SPD(病院医療材料管理業務)事業の拡大、大量購買による仕入価格低減、業務効率改善などの効果も寄与するため増額余地があり、中期的にも収益拡大が期待される。

 株価の動きを見ると、14年11月以降は安値圏2400円~2500円近辺で推移している。14年10月の公募増資による希薄化や第1四半期の営業赤字が嫌気されたようだ。ただし11月安値2380円、12月安値2376円を割り込む動きは見られず下値固め完了感を強めている。

 1月23日の終値2411円を指標面(予想EPSおよび実績BPSは増資後の発行済株式総数324万2256株で算出)で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS303円80銭で算出)は8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間80円で算出)は3.3%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS2253円06銭で算出)は1.1倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が抵抗線の形だが、6月期末一括で3%台の高配当利回りも評価材料であり、下値固めが完了して出直り展開だろう。

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