【アナリスト水田雅展の銘柄診断】シンプロメンテは失望売り一巡、来期(16年2月期)の収益改善期待で反発局面

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 飲食店などに店舗設備・機器メンテナンスサービスを提供するシンプロメンテ<6086>(東マ)の株価は、第3四半期累計(3月~11月)業績を嫌気して1000円近辺でのモミ合いから1月16日の上場来安値873円まで調整した。ただしその後は下げ渋り感を強めている。失望売りがほぼ一巡して今期(15年2月期)の減額懸念を織り込んだ可能性があり、来期(16年2月期)の収益改善期待で反発局面だろう。

 大手飲食・小売チェーンを主要顧客として、店舗における内外装および各種設備・機器(厨房機器、給排水・衛生設備、空調・給排気・ダクト設備、電機設備、照明機器、ガス設備、看板、自動ドア・ガラス・鍵・シャッターなど)の不具合を解決するメンテナンスサービスを提供している。

 事業区分としては、ワンストップメンテナンスサービスとメンテナンスアウトソーシングサービスを展開している。ワンストップメンテナンスサービスでは、各種設備・機器の突発的なトラブル発生時に対応する緊急メンテナンスサービスを主力として、各種設備・機器の点検・整備・洗浄・清掃を定期的に行う予防メンテナンスサービスも提供している。メンテナンスアウトソーシングサービスは、当社のメンテナンス体制を厨房機器メーカーにOEM的に提供することで、メーカーのメンテナンス業務のサポートを行っている。

 全国の店舗から24時間365日、修理・メンテナンスの依頼を受け付け、依頼の種類・地域・内容などに応じて全国の協力業者(メンテキーパー)から適切な業者を選定・手配し、店舗の設備・機器等の不具合を解決するサービスが特徴だ。前期(14年2月期)末時点の顧客店舗数は前々期比8.4%増の2万8507店舗、メンテキーパー数は同5.1%増の4831社である。

 1月14日発表の今期(15年2月期)第3四半期累計(3月~11月)の業績(非連結)は、売上高が前年同期比20.7%増の33億23百万円、営業利益が同40.5%減の85百万円、経常利益が同39.3%減の85百万円、純利益が同38.1%減の50百万円だった。

 外注費や材料費など原価の高騰、長期的な受注増加を見据えた人員確保に伴う販管費の増加などで大幅減益だったが、緊急メンテナンスサービスでの大口新規顧客獲得、既存顧客との継続的な取引量拡大、予防メンテナンスサービスでのエアコンや冷凍・冷蔵機器のメンテナンス増加などで大幅増収だった。

 通期の業績(非連結)見通しは前回予想(4月11日公表)を据え置いて売上高が前期比14.3%増の42億円、営業利益が同19.1%増の2億20百万円、経常利益が同23.3%増の2億20百万円、純利益が同20.3%増の1億24百万円、配当予想が前期から記念配当5円を落として年間10円(期末一括)としている。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が79.1%、営業利益が38.6%、経常利益が38.6%、純利益が40.3%である。利益進捗率が低水準のため下振れに注意が必要だが、売上高の進捗率は順調だ。

 緊急メンテナンスサービスでのサービスエリア拡大、新規顧客開拓、既存顧客との取引量拡大などで飲食店向けを中心に依頼件数が増加基調であり、来期(16年2月期)は人件費など先行投資負担が一巡して収益改善が期待されるだろう。

 中期成長に向けた重点戦略として新規顧客開拓によるシェア拡大を目指している。ワンストップメンテナンスサービスでは外食業界以外の小売、理美容、教育、医療・介護、宿泊・娯楽などの業界にも新規顧客開拓を推進する。メンテナンスアウトソーシングサービスでは、サービスをOEM的に提供する企業の増加を目指すとともに、個人経営店舗向けの提供も視野に入れてシェア拡大を図る方針だ。

 外食業界や小売業界などでは、店舗の老朽化や人手不足の深刻化、店舗の衛生環境改善や従業員の労働環境改善に対する意識の高まりも背景として、メンテナンス業務のアウトソーシング化が一段と進展することが予想される。新規サービス開発なども寄与して中期的に収益拡大が期待されるだろう。

 株価の動きを見ると、1000円近辺でモミ合う展開だったが、第3四半期累計業績を嫌気して急落し、1月16日の上場来安値873円まで調整した。ただしその後は900円近辺に戻して下げ渋り感を強めている。失望売りがほぼ一巡したようだ。

 1月23日の終値889円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS71円87銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は1.1%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS454円80銭で算出)は2.0倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえてモミ合い下放れの形となったが、日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が10%程度まで拡大して売られ過ぎ感も強めている。失望売りがほぼ一巡して今期の減額懸念を織り込んだ可能性があり、来期の収益改善期待で反発局面だろう。

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