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協立情報通信は安値圏モミ合いから上放れの動き、17年2月期増益予想で指標面に割安感
- 2016/9/20 08:13
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
協立情報通信<3670>(JQ)は法人向けソリューション事業とモバイル事業を展開している。17年2月期は法人向けソリューション事業が堅調に推移して増益予想である。株価は安値圏モミ合いから上放れの動きを強めている。指標面の割安感は強く、下値固めが完了して出直り展開だろう。
■法人向けソリューション事業とモバイル事業を展開
法人向けソリューション事業(情報通信システムソリューション、会計情報ソリューション、情報活用教育ソリューション、情報活用レンタルソリューション)と、モバイル事業(法人向けモバイルソリューション、ドコモショップ6店舗運営)を展開している。16年2月期セグメント別売上高構成比はソリューション事業33%、モバイル事業67%、そして営業利益構成比はソリューション事業94%、モバイル事業6%だった。
企業のICT(情報通信技術)化実現に向けて、NEC<6701>、オービックビジネスコンサルタント<4733>、NTTドコモ<9437>、サイボウズ<4776>、日本マイクロソフトなどパートナー企業の製品・サービスを融合し、情報通信システムの構築から導入・保守・運用・教育までを提供するソリューション企業である。
ソリューション事業は、情報通信システムソリューションでNECのPBX(構内交換機)、会計情報ソリューションでオービックビジネスコンサルタントの「奉行シリーズ」をベースとして、中堅・中小企業向け中心に情報インフラ、情報コンテンツおよび情報活用支援(プラクティカルユース)の3分野を統合した経営情報ソリューションを、ワンストップサービスで提供している。
さらに常設デモスペースの体感型フューチャーラボ「情報創造コミュニティー」において、製品活用体験セミナー、フェア、イベント、システム導入相談会、教育サービスなどを提供していることも特徴だ。
モバイル事はNTTドコモの一次代理店であるティーガイア<3738>の代理店として、ドコモショップ6店舗(東京都内2店舗、埼玉県内4店舗)を運営し、個人向けモバイル端末などの店頭販売、および法人向けモバイルソリューションを展開している。
16年1月にはティーガイアからの再卸を受けて、自社ブランドによる法人向け光アクセスサービス「KCC光powered by TG光」を開始した。通信機器販売・設置・工事・保守から光回線までワンストップでの提供が可能になる。
■第1四半期の構成比がやや高い収益構造
四半期別推移を見ると、15年2月期は売上高が第1四半期15億47百万円、第2四半期14億43百万円、第3四半期13億66百万円、第4四半期14億10百万円、営業利益が1億02百万円、88百万円、24百万円、52百万円、16年2月期は売上高が17億01百万円、14億30百万円、15億19百万円、15億30百万円、営業利益が1億37百万円、64百万円、75百万円、60百万円だった。法人向けソリューションは企業のICT投資関連のため、3月期決算企業の年度末にあたる第1四半期の構成比が高くなる傾向がある。
16年2月期(非連結)は特別利益一巡で最終減益だが、ソリューション事業が牽引して2桁営業増益だった。売上総利益は15年2月期比7.9%増加し、売上総利益率は30.6%で同0.2ポイント上昇した。販管費は同4.7%増加したが、販管費比率は25.2%で0.6ポイント低下した。特別利益では移転補償金が一巡した。ROEは17.4%で同4.9ポイント低下、自己資本比率は49.1%で同6.9ポイント上昇した。
配当は同5円減配の年間50円(期末一括)で配当性向は30.6%だった。利益還元については継続的かつ安定的な配当を年1回(期末)行うことを基本方針としている。配当水準については、配当性向30~40%程度を目途として業績に連動させ、適正な配当を行うとともに、万一業績が悪化したとしても一定の水準を維持していきたいとしている。
ソリューション事業は売上高が同20.4%増の20億33百万円、営業利益が同94.2%増の3億19百万円だった。情報創造コミュニティーの移転・改装に伴って減価償却費や消耗品費が増加したが、PBX(構内交換機)リプレース需要の取り込みや大型案件の計上が寄与した。受注高は同28.0%増の10億60百万円、期末受注残高は同22.9%減の1億92百万円だった。情報創造コミュニティー来場社数は減少したが、新規来場社比率は上昇した。
モバイル事業は売上高が同1.7%増の41億48百万円だったが、営業利益が同81.9%減の18百万円だった。第2四半期に来店客数と販売台数が減少し、手数料収入の減少、端末仕入原価の上昇、減価償却費・広告費・人件費の増加、三郷インター店改装関連費用の発生などで営業損益が悪化した。
■17年2月期第1四半期は前年同期が高水準だった反動で減収減益
今期(17年2月期)第1四半期(3~5月)非連結業績は、売上高が前年同期比4.1%減の16億32百万円、営業利益が同33.4%減の91百万円、経常利益が同34.1%減の91百万円、純利益が同35.9%減の55百万円だった。前年同期が高水準だった反動で減収減益だった。売上総利益は同7.4%減少し、売上総利益率は29.8%で同1.1ポイント低下した。販管費は同1.8%増加し、販管費比率は24.2%で同1.4ポイント上昇した。
セグメント別に見ると、ソリューション事業は売上高が同0.5%増の5億52百万円で営業利益が同22.7%減の80百万円だった。PBXリプレース需要は堅調だったが、基幹システムバージョンアップ案件が減少し、外注費が増加した。モバイル事業は売上高が同6.2%減の10億79百万円で営業利益が同67.5%減の10百万円だった。総務省「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」に沿って実質0円販売を終了したことに伴う来店客数減少傾向が続き、法人部門では移動体通信事業者による法人向け施策が振るわず、販売台数減少(7.0%減少)に伴ってインセンティブが減額した。
■17年2月期増収増益予想
今期(17年2月期)通期の非連結業績予想(4月12日公表)は、売上高が前期(16年2月期)比5.8%増の65億40百万円、営業利益が同8.9%増の3億68百万円、経常利益が同7.2%増の3億70百万円、純利益が同13.7%増の2億22百万円としている。配当予想は前期と同額の年間50円(期末一括)で予想配当性向は26.9%となる。
ソリューション事業が堅調に推移して増収増益予想である。セグメント別の計画は、ソリューション事業の売上高が同15.1%増の23億40百万円で営業利益が同3.4%増の3億30百万円、モバイル事業の売上高が同1.3%増の42億円で営業利益が同2.0倍の38百万円としている。モバイル事業は店舗移転に伴う減価償却費や店舗改装関連費用といった一時的要因も一巡して収益改善が期待される。
ソリューション事業は前期が高水準だった反動、モバイル事業は実質0円販売終了の影響などで全体として保守的な計画としているが、通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は売上高25.0%、営業利益24.8%、経常利益24.6%、純利益24.8%と概ね順調な水準である。第1四半期は減収減益だったが、通期ベースでは好業績が期待される。
■ソリューションへのシフトやストック型モデルの強化で高収益化目指す
企業のICT投資需要は「クラウド」「モバイル」「セキュリティ」をキーワードとして高水準に推移することが予想されるため、中期的に物販からソリューションへのシフト、モバイル事業の利益率改善など、ストック型収益モデルの強化によって高収益化を目指す方針だ。
中期基本方針として、情報創造コミュニティーの活性化(教育サービスメニューの開発、顧客創造力の増強、定期的なパートナー交流)、パートナー企業との共同開発の積極化、ソリューションサービスのモバイル化とインフラ・コンテンツ・教育・生産価値情報・セキュリティをキーワードとしたサービス展開を掲げている。
■株主優待制度は毎年2月末に実施
株主優待制度は毎年2月末に実施している。優待内容は500株以上~1000株未満保有株主に対して島根県仁多郡産コシヒカリ「仁多米」2kg(1500円相当)、1000株以上保有株主に対して同5kg(3700円相当)を贈呈する。
■株価は安値圏モミ合いから上放れの動き
株価の動きを見ると、安値圏1600円近辺でモミ合う展開だが、9月16日には1644円まで上伸してモミ合い上放れの動きを強めている。
9月16日の終値1644円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS185円56銭で算出)は8~9倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間50円で算出)は3.1%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS994円39銭で算出)は1.7倍近辺である。時価総額は約20億円である。
週足チャートで見ると戻りを押さえていた13週移動平均線と26週移動平均線を突破した。指標面の割安感は強く、下値固めが完了して出直り展開だろう。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)