エフティグループはボックスレンジから上放れ、好業績・割安感・自己株式取得を評価

 エフティグループ<2763>(JQ)は法人向け環境関連商品・情報通信機器販売を主力としている。M&Aも積極活用してストック型収益・業容拡大戦略を推進し、17年3月期増収増益・増配予想である。株価はボックスレンジから上放れの動きを強めている。好業績・指標面の割安感・自己株式取得を評価して14年の高値圏を目指す展開だろう。

■法人向けLED照明、ビジネスホン、OA機器などの販売が主力

 13年6月TOBで光通信<9435>の連結子会社となり、15年8月持株会社に移行して、社名をエフティコミュニケーションズからエフティグループに変更した。

 傘下の事業会社で、法人事業(中小企業・個人事業主向けLED照明等環境関連商品、ビジネスホン・OA機器・SOHOスモールサーバー等情報通信機器の販売、WEB制作サービスやインターネットサービスの提供)、コンシューマ事業(一般消費者向けインターネットサービスの提供、ドコモショップ運営)を展開している。16年3月期の事業別売上高構成比(連結調整前)は法人事業84%、コンシューマ事業16%である。

■M&A・アライアンスを積極活用してストック型収益と業容を拡大

 LED照明や空調などの環境商材を重点分野と位置付け、中期成長に向けた重点戦略として、定額保守サービスなどストック型収益の積み上げ、M&Aも活用した業容拡大、海外展開、プラットフォーム事業の強化を推進している。

 13年10月ネットワークセキュリティ機器製造のアレクソンを子会社化、13年11月ビジネスホン・OA機器販売のグロースブレイブジャパンを子会社化、13年12月ノンフロン新自然冷媒ガス販売・施工のニューテックを子会社化、スマホ・タブレット端末で個人間プラットフォーム事業・マルチ決済ソリューションを展開する子会社ViewPointを設立、14年9月インターネット事業を担当する子会社アイエフネットがWEBサイト制作外注先のアドマウントを子会社化、15年9月子会社エフティコミュニケーションズウエストおよびグロースブレイブジャパンがレカム<3323>広島支店の通信機器等販売事業を譲り受けた。

 15年12月西日本地区における個人向け太陽光発電設備販売の最大手アローズコーポレーションと資本業務提携、16年4月東日本地区における個人向け太陽光発電設備販売の最大手エージー・ジャパンと資本業務提携し、東日本および西日本地区の個人向け太陽光発電設備販売の最大手企業との提携が実現した。

 16年5月新電力サービス「ハルエネでんき」を運営するハルエネと販売取次に関する契約を締結した。法人向けに新電力サービスの取次販売を開始し、インターネットサービス「FT光」「ひかり速トク」と新電力サービス「ハルエネでんき」をラインナップに加えることで新たな顧客基盤構築に繋げる。

 16年8月にはレカム<3323>の中国現地法人であるレカムビジネスソリューションズ社(大連)への出資(出資比率4.0%)を発表した。同社が販売するLED照明の供給支援を行う。

 9月1日には、インターネット接続サービス契約取次等のコミュニケーション事業および携帯電話卸売等のモバイル・ソリューション事業を展開するトップマークスと共同で16年7月設立した合弁会社リアン(当社の持分法適用会社)が、インターネット接続サービスおよびLED照明等環境関連商品の販売事業を開始したと発表している。

 9月9日には、節水装置「JET」の開発元で代理店向け卸売販売を展開するエコテクソリューション社(東京都)の子会社化(出資比率57.9%)を発表した。節水装置「JET」を利用した節水コンサルティングノウハウの提供を受けてストックビジネスのさらなる強化を図る。

 9月16日には、LED照明のレンタル事業を展開するコーウェル社(東京都)との資本業務提携(出資比率2.54%)を発表した。コーウェル社の強みである店舗装飾用LED照明を商品ラインナップに加える。

■グループ再編も推進

 16年3月子会社FRONTIERが、グループの個人向け太陽光発電設備や蓄電池等を専門に扱う環境事業関連会社として、太陽光発電設備および蓄電池の販売を開始した。16年4月子会社アイエフネットのWEBサイト制作等の制作サービス部門を子会社TRUSTに移管、環境関連商品販売事業を新たに設立した子会社大和環境設備に移管した。アイエフネットは光コラボレーション「ひかり速トク」およびインターネットサービスプロバイダーの通信事業者と位置付けた。

 16年7月の法人事業組織変更で、事業会社をエフティコミュニケーションズ、エフティエコソリューション(大和環境設備が商号変更)、TRUST、エフティ北日本(エフティコミュニケーションズの北日本地区を分社)、エフティ東北(エフティコミュニケーションズの東北地区を分社)、エフティコミュニケーションズウエスト、エフティ東海(エフティコミュニケーションズウエストの東海地区を分社)、エフティ中四国(グロースブレイブジャパンが商号変更)、エフティ九州(エフティコミュニケーションズウエストの九州地区を分社)とした。そして分社による新設4社が8月営業開始した。

 また16年6月にはコンシューマ事業のドコモショップ半道橋店および高見店の店舗運営会社が連結子会社サンデックスから富士通パーソナルズに変更になった。ドコモショップ北上店・宮古千徳店・西根店の3店舗は引き続きサンデックスが運営する。

 海外は14年7月設立のタイ子会社をASEAN地域への事業展開拠点として、LED照明など環境商材の販売を推進している。15年9月にはフィリピン現地法人FTグループ・フィリピンを設立した。

■ストック型収益の積み上げで営業利益拡大基調

 四半期別の業績推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期82億33百万円、第2四半期88億68百万円、第3四半期87億73百万円、第4四半期89億30百万円、営業利益が9億28百万円、10億13百万円、10億77百万円、10億91百万円、16年3月期は売上高が80億85百万円、91億09百万円、99億73百万円、100億47百万円、営業利益が8億59百万円、13億01百万円、13億78百万円、13億35百万円だった。

 ストック型収益の積み上げで営業損益は拡大基調だ。なお16年3月期から、営業外収益に計上していた受取ロイヤリティーを取引形態ごとに、売上高に関連して獲得するものは売上高に含めて計上し、仕入高に関連して獲得するものは売上原価から控除する方法に変更した。

 16年3月期は法人事業の好調が牽引して過去最高益を更新した。差引売上総利益は15年3月期比0.9%減少し、差引売上総利益率は48.6%で同3.7ポイント低下した。販管費は同4.1%減少し、販管費比率は35.5%で同3.9ポイント低下した。営業外では持分法投資損益が悪化し、営業外費用では為替差損を計上した。ROEは26.2%で同3.2ポイント低下、自己資本比率は56.6%で同3.1ポイント上昇した。

 配当は第2四半期末30円と期末14円だった。15年10月1日付株式3分割の遡及修正後で年間72円(第2四半期末30円、期末14円×3=42円)となり、15年3月期の年間70円に対して実質的に2円増配だった。配当性向は28.5%だった。利益還元については健全な財務基盤確立に必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続的に実施することを基本方針としている。

 セグメント別(連結調整前)動向を見ると、法人事業は売上高が同7.1%増の316億74百万円、営業利益が同21.7%増の56億40百万円だった。商品別にはコピー機が1.5%増収、LED照明が30.8%増収、冷媒ガス等環境関連商品が19.0%増収、ビジネスホンが4.8%増収、サーバー・セキュリティUTMが49.6%増収、光コラボ(Bフレ)ISPが4.6%減収、WEBサイト制作が2.1%増収、法人携帯が37.0%減収、その他が39.1%減収だった。

 コンシューマ事業は売上高が同0.1%減の59億57百万円、営業利益が3億51百万円の赤字(前々期は3億52百万円の黒字)だった。フロー型収益である光回線の取次販売から、ストック型収益である当社グループサービス「ひかり速トク」に切り替えたため、一時的に減収減益となった。光コラボ獲得数はコンシューマ向け「ひかり速トク」が4万7400回線、法人向け「FT光」が4300回線、合計が5万1700回線だった。

■17年3月期第1四半期は2桁営業増益

 今期(17年3月期)第1四半期(4~6月)の連結業績は売上高が前年同期比13.9%増の92億08百万円、営業利益が同23.4%増の10億60百万円、経常利益が同20.8%増の10億42百万円、純利益が同7.6%増の6億円だった。

 法人事業が順調に推移し、コンシューマ事業の損益改善も寄与して2桁営業増益だった。差引売上総利益は同6.5%増加したが、差引売上総利益率は47.4%で同3.3ポイント低下した。販管費は同2.0%増加したが、販管費比率は35.9%で同4.2ポイント低下した。営業外では為替差損が増加(前期1百万円、今期23百万円)した。特別損失では固定資産除却損3百万円、店舗閉鎖損失7百万円を計上した。

 セグメント別(連結調整前)動向を見ると、法人事業は売上高が同5.7%増の74億12百万円、営業利益が同4.6%増の11億20百万円だった。商品別にはコピー機が減収だったが、主力のLED照明が同10.3%増収、UTM・サーバーが同45.2%増収と牽引し、ビジネスホン、法人向け光コラボ・ISPなども堅調だった。コンシューマ事業は売上高が同58.2%増の18億71百万円、営業利益が16百万円の赤字(前年同期は1億16百万円の赤字)だった。コンシューマ向け光コラボを中心にストック型収益積み上げが進展し、営業赤字が縮小した。ドコモショップは九州地区2店舗を運営移管して減収だった。

 なお光コラボ顧客数は法人向け「FT光」が16年3月末比573増の5501顧客、コンシューマ向け「ひかり速トク」が同1万1211増加の6万1436顧客、合計が同1万1784増加の6万6937顧客となった。

■17年3月期通期も増収増益・増配予想

 今期(17年3月期)通期の連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期(16年3月期)比7.5%増の400億円、営業利益が同6.7%増の52億円、経常利益が同7.5%増の52億円、そして純利益が同5.4%増の31億円としている。配当予想は年間28円(第2四半期末14円、期末14円)としている。15年10月1日付株式3分割の遡及修正後に換算すると年間84円で、前期(株式遡及修正後)の年間72円に対して実質的に12円増配となる。予想配当性向は31.0%となる。

 法人事業ではビジネスホンの買い替え需要取り込み、LED照明やセキュリティ商材の拡販、コンシューマ事業では光コラボ「ひかり速トク」の拡販を推進する。個人向け太陽光発電設備販売や新電力サービス取次販売にも注力する。通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は売上高が23.0%、営業利益が20.4%、経常利益が20.0%、純利益が19.4%と概ね順調な水準である。ストック型収益の積み上げや積極的な事業展開で増収増益基調に変化はないだろう。

■自己株式取得を実施

 8月10日発表した自己株式取得(取得株式総数の上限72万株、取得価額総額の上限6億円、取得期間16年8月12日~16年12月22日)については、8月31日時点の累計で取得株式総数13万4800株、取得総額1億1371万500円となった。

■株価はボックスレンジから上放れ

 株価の動きを見ると、9月2日に年初来高値879円まで上伸した。その後は利益確定売りが優勢になったが、14年後半から続いた600円~800円近辺のボックスレンジから上放れる動きだ。

 9月26日の終値837円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS90円48銭で算出)は9~10倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間28円で算出)は3.4%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS349円52銭で算出)は2.4倍近辺である。時価総額は約302億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が接近して切り返しのタイミングのようだ。長期ボックスレンジから上放れ、好業績・指標面の割安感・自己株式取得を評価して14年の高値圏を目指す展開だろう。
(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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