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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】サンコーテクノは利益確定売り一巡、中期成長力を評価して上値追い
- 2015/1/27 07:18
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
アンカー大手のサンコーテクノ<3435>(JQS)の株価は、1月5日の高値1830円から利益確定売りで一旦反落したが、1600円近辺で下げ渋り感を強めている。利益確定売りが概ね一巡したようだ。中期成長力を評価する流れに変化はなく上値追いの展開だろう。なお2月13日に第3四半期累計(4月~12月)の業績発表を予定している。
ファスニング事業(あと施工アンカー、アンカー打込み機など)、リニューアル事業(FRPシート、太陽光発電関連など)、センサー事業(電子基板関連試験機、アルコール測定器など)を展開している。あと施工アンカーはコンクリート用の特殊ネジ・釘類のことであり、あと施工アンカーおよびオールアンカーの最大手である。
あと施工アンカー、アンカー打込み機、FRPシートなどは震災復興関連、都市再開発関連、耐震補強関連、老朽化インフラ補修・更新関連、20年東京夏季五輪関連、リニア新幹線関連など建設工事の増加が追い風であり、中期的に事業環境は良好だ。
14年11月にはドコモ・システムズと業務提携した。ドコモ・システムズのクラウド型位置情報サービスと、当社の呼気アルコール測定システムを使った運行管理者支援サービスを融合させて、クラウド型アプリケーション・サービスを提供する。15年3月開始予定だ。
今期(15年3月期)の連結業績見通し(5月14日公表)は売上高が前期比4.6%増の180億円、営業利益が同0.4%増の15億20百万円、経常利益が同0.5%増の14億80百万円、純利益が同4.4%増の9億50百万円としている。
配当予想(11月14日に修正)は、前回予想の年間25円(期末一括)から年間12円50銭(期末一括)に修正した。ただし15年1月1日付の株式2分割に伴う修正であり、実質的に変更はない。なお前期との比較では記念配当分2円50銭(株式2分割遡及修正後)を落としている。
セグメント別計画(内部取引・全社費用等調整前)は、ファスニング事業の売上高が同5.1%増の137億57百万円、営業利益が同4.7%増の11億76百万円、リニューアル事業の売上高が同2.6%増の37億円、営業利益が同11.7%減の3億18百万円、センサー事業の売上高が同16.7%増の7億56百万円、営業利益が同17.4%増の27百万円としている。
第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比8.4%増収、25.9%営業増益、28.4%経常増益、42.5%最終増益だった。ファスニング事業およびリニューアル事業が好調だった。通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高46.9%、営業利益46.7%、経常利益46.6%、純利益46.6%だが、建設関連で第4四半期(1月~3月)の構成比が高くなる収益構造を考慮すれば高水準である。
ゼネコンの工事現場における人手不足の影響、リニューアル事業における工事原価の上昇、50周年記念イベントに伴う販管費の増加、給与水準引き上げに伴う人件費の増加、設備投資の増加などを考慮して利益横ばいの通期会社見通しだが、利益率の高い新商品比率の上昇も寄与して通期見通しは増額の可能性が高いだろう。
主力のファスニング事業は、都市圏を中心とする再開発・耐震化工事、社会インフラ維持・補修工事の増加などを追い風として、金属系・接着系あと施工アンカー、ドリルなどの施工関連ツール、引張確認試験機、電動油圧工具などの需要が拡大基調である。またリニューアル事業ではメガソーラー・ハウスメーカー向け太陽光発電関連工事・商材、センサー事業では電子基板関連が好調だ。
建設現場では人手不足の影響が深刻化しているため、現場作業の省力化・機械化に加えて、外国人や女性の活用など非熟練作業者の増加も予想される。こうした状況も背景として、現場での使いやすさを高めた施工ツール、あと基礎アンカー、アンカー打込み機、紫外線硬化FRPシートといった当社の主力製品の採用が一段と増加しそうだ。事業環境は良好であり、新製品の開発・拡販も寄与して中期的に収益拡大基調だろう。
なお11月14日に株主優待制度の導入を発表した。毎年3月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対してクオカード500円分を贈呈する。
株価の動き(15年1月1日付で株式2分割)を見ると、1月5日に付けた高値1830円から利益確定売りで一旦反落したが、1600円近辺で下げ渋り感を強めている。利益確定売りが概ね一巡したようだ。中期成長力を評価する流れに変化はないだろう。
1月26日の終値1600円を指標面(1株当たり数値は15年1月1日付株式2分割を考慮して算出)で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS116円73銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間12円50銭で算出)は0.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS999円93銭で算出)は1.6倍近辺である。
週足チャートで見ると13週移動平均線近辺で下げ渋る動きだ。サポートラインを確認した形であり、上昇トレンドに変化はないだろう。指標面に割高感はなく、中期成長力を評価して上値追いの展開だろう。