【編集長の視点】セラクは続落も連続最高業績・増配期待に農業IoT関連の好実態見直しがオンして再騰余地

 セラク<6199>(東マ)は、200円安の3805円と続落して始まっている。同社株は、今年7月1日に新規株式公開(IPO)され、10月13日に前2016年3月期決算の発表を予定しているが、この決算発表を前に3連休控えの週末となっていることから、目先の利益を確定する売り物が先行している。ただ、業績は、前期、今2017年8月期も含めて過去最高業績を更新し、連続増配も有力と観測されていることを手掛かりに下値には直近IPO株買いが続いている。10月12日に開催される「次世代農業EXPO」には、同社が目下注力中の農業IoTサービス「みどりクラウド」を出展することも支援材料視されている。

■10月12日に「次世代農業EXPO」に出展し13日には8月期業績を発表予定

 同社の前2016年8月通期業績は、今年7月のIPO時に売り上げ65億円(前期比21.7%増)、営業利益5億2300万円(同68.7%増)、経常利益5億2000万円(同61.9%増)、純利益3億1200万円(同46.8%増)と連続過去最高更新が予想され、配当も、9.3円と今年4月30日付けで実施した株式分割(1対100)前の前期配当680円に対して実質増配が予定されていた。

 このIPO直後の7月8日に発表された前期第3四半期(2015年9月~2016年5月期、3Q)業績は、四半期決算が初作成となるため前年同期との比較はなかったが、利益進捗率は、通期予想に対して77~82%と目安の75%を上回り上ぶれ着地期待を高めている。同社は、ITインフラ事業、WEBマーケティングコミュニケーション事業、スマートソリューション事業のIT(情報技術)関連の3つの主要サービスを社内で自らIT人材を育成しながらワンストップで10年以上にわたって提供しており、ITインフラ事業では、IT人材不足が顕在化するなか高稼働率を維持、スマートソリューション事業では、スマホアプリ開発からIOT(モノのインターネット化)分野に販売促進活動の主軸を移し、新規案件の発掘に注力したことなどが要因となった。

 前期業績がどう着地するか、続く2017年8月期業績の動向がどうなるかは、10月13日の決算発表を待たなくてはならないが、農業IoTサービス「みどりクラウド」の積極展開などから続伸が有力で、東洋経済会社四季報最新号では、次期純利益を3億9000万円と連続最高更新、配当も10~12円の連続増配と観測している。なかでも「みどりクラウド」は、「次世代農業EXPO」に出展するとともに、共催されるシンポジウム「ICTが開く農業の未来~ICTの利活用で日本の農業を新たなステージへ~」へも同社がパネリストとしても参加、今臨時国会でTPP(環太平洋経済連携協定)承認案と関連法案の審議が続くなか、成長事業として業績期待を高めている。

■最高値から調整幅の半値戻し目前で相場格言通りに「半値戻しは全値戻し」の展開が有力

 株価は、IPO時に3日連続のストップ高を交えて上場来高値6840円まで買い進まれ、公開価格1500円に対して4.56倍と高人気化した。最高値後は、新興市場の人気離散が波及して下値を探り、8月29日に突っ込んだ上場来安値2357円からは、静岡県の「みどりクラウド」採用をキッカケに底上げ、最高値から最安値までの調整幅の3分の1戻しをクリア、半値戻し目前となって高値調整を続けている。好決算・増配発表とともにさらにリバウンド幅を拡大、相場格言通りに「半値戻しは全値戻し」と最高値奪回の期待を強めよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■内蔵インヒールで自然な足長効果、フォーマルからビジネスまで対応  青山商事<8219>(東証プラ…
  2. ■デュアル周波数対応で通信の安定性を確保  世界的なDX進展を背景に京セラ<6971>(東証プライ…
  3. ■リアルタイム文字起こしと自動要約で議事録作成を効率化  シャープ<6753>(東証プライム)は2…
2025年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

ピックアップ記事

  1. ■低PER・高配当利回り、不動産・銀行株が市場を牽引  3月の東京都区部消費者物価指数が前年比2.…
  2. ■新年度相場のサブテーマは「物価」?!  米国のトランプ大統領は、「壊し屋」と奉る以外にない。その…
  3. ■新年度相場の初動として注目される値上げ関連銘柄  4月予定の値上げは、原材料価格上昇や物流費増加…
  4. どう見るこの相場
    ■トランプ関税懸念も『総論弱気、各論強気』の市場展開  「トランプ・ディール(取引)」と「トランプ…
  5. ■名変更会社の局地戦相場の待ち伏せ買いも一考余地  今年4月1日以降、来年4月1日まで社名変更を予…
  6. ■あの銘柄が生まれ変わる!市場を揺るがす社名変更、次なる主役は?  「トランプ・トレード」が、「ト…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る