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ソフトクリエイトHDは戻り歩調で7月高値試す、17年3月期増益予想で自己株式取得も評価
- 2016/10/14 08:01
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ソフトクリエイトホールディングス<3371>(東1)はECサイト構築ソフトや不正接続防止製品を主力としてソリューション事業を強化している。17年3月期はネット通販・広告市場の拡大も背景として増益予想である。株価は調整一巡して戻り歩調だ。自己株式取得も評価して7月高値を試す展開だろう。
■ECサイト構築ソフトと不正接続防止製品で首位
ECソリューション事業(ECサイト構築パッケージソフト「ecbeing」の販売・保守から、ECサイト構築・運用支援、データセンターでのホスティングサービス提供、ECプロモーション提供までの総合サービス)を主力として、SI事業(自社グループ開発ソフトの販売、基幹系システムの受託開発)および物品販売事業(法人向けIT機器販売など)も展開している。16年3月期セグメント別売上構成比はECソリューション事業48%、システムインテグレーション事業21%、物品販売事業31%だった。
顧客のEC事業立ち上げ時の戦略コンサルティングから、ECサイト構築パッケージソフト「ecbeing」の販売・カスタマイズ・保守、ECサイト構築・運用支援、さらにリスティング広告・SEO対策などのプロモーションサービスまで、総合的なサービスを提供していることが強みだ。ECサイト構築実績は中堅・大手企業向け中心に国内断トツ首位の800社以上に達している。そしてECサイト構築実績の積み上げに伴う運用支援・保守などストック型収益が拡大基調である。
15年11月には、社内ネットワークへの不正接続を検知するセキュリティ製品「L2Blocker」が、富士キメラ総研「富士マーケティング・レポート・情報漏洩対策需要に湧く不正接続防止ツール市場」において、不正接続防止ツール市場における累計導入社数で第1位を獲得したと発表している。
16年8月には子会社ソフトクリエイトが、クラウドスタイルのトータルマネジメントサービス「PRIME GATE」の提供を開始すると発表した。サーバレスで標的型攻撃の対策を実現する。10月5日には子会社ソフトクリエイトが、クラウドインテグレーションサービス「SKYSEA on Azure」のサービス提供開始を発表した。IT機器やソフトウェア資産を一元管理し、情報漏えい対策も同時に実現する。
■中期成長戦略でeビジネス総合デベロッパー目指す
中期成長戦略としては、ECシステム提供企業にとどまらず、eビジネス総合デベロッパーへの発展を目指してソリューション事業を強化している。またインターネット広告や運用支援などデジタルマーケティング市場にも積極展開してビジネス領域を拡大している。
アライアンス戦略では13年5月日本ユニシス<8056>と資本・業務提携、13年9月東芝テック<6588>と業務提携している。
16年8月には、子会社ソフトクリエイトの不正アクセス端末検知・遮断システム「L2Blocker」とトレンドマイクロのネットワーク型脅威対策製品「DDI」が連携した機能を提供開始すると発表した。16年9月には「L2Blocker」がハンモック(東京都)のIT資産管理ソフトウェア「AssetView」と連携し、連携機能を強化した。
■第4四半期の構成比が高い収益構造
四半期別の業績推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期27億22百万円、第2四半期30億89百万円、第3四半期28億17百万円、第4四半期33億11百万円、営業利益が2億81百万円、3億86百万円、3億51百万円、4億48百万円、16年3月期は売上高が28億円、30億03百万円、28億42百万円、36億32百万円、営業利益が2億94百万円、3億25百万円、2億97百万円、5億45百万円だった。システム構築関連で第4四半期の構成比が高い収益構造だ。
16年3月期は販管費増加で15年3月期比営業減益だったが、ECサイト構築パッケージソフト「ecbeing」を活用したECソリューション事業、セキュリティビジネス、独自サービス「SCクラウド」など主力事業が概ね順調に推移している。
売上総利益は同3.0%増加し、売上総利益率は30.8%で同0.1ポイント上昇した。販管費は同5.3%増加し、販管費比率は18.9%で同0.5ポイント上昇した。ROEは14.9%で同0.5ポイント低下、自己資本比率は同横ばいの65.5%だった。また配当は前々期と同額の年間20円(第2四半期末10円、期末10円)で配当性向は26.3%だった。
セグメント別に見ると、ECソリューション事業は売上高が同2.9%増の58億38百万円で経常利益(連結調整前)が同18.9%増の13億51百万円、システムインテグレーション事業は売上高が同2.6%増の26億20百万円で経常利益が同23.2%減の7億33百万円、物品販売事業は売上高が同2.9%増の38億18百万円で経常利益が同16.3%増の79百万円だった。
■17年3月期第1四半期は増収減益
今期(17年3月期)第1四半期(4~6月)の連結業績は売上高が前年同期比9.2%増の30億57百万円、営業利益が同13.4%減の2億55百万円、経常利益が同19.5%減の2億75百万円、純利益が同35.8%減の1億78百万円だった。ECソリューション事業が順調に拡大して増収だが、積極的な人材投資の影響で減益だった。
売上総利益は同3.2%増加したが、売上総利益率は29.8%で同1.7ポイント低下した。販管費は同11.5%増加し、販管費比率は21.5%で同0.5ポイント上昇した。営業外では為替差損益が悪化(前期差益7百万円、今期差損14百万円)した。特別利益では前期計上の投資有価証券売却益1億43百万円が一巡し、特別損失では前期計上の特別退職金31百万円や和解金45百万円が一巡した。
セグメント別に見ると、ECソリューション事業は売上高が同5.7%増の13億84百万円で営業利益(連結調整前)が同14.2%減の2億60百万円、システムインテグレーション事業は売上高が同17.5%増の7億20百万円で営業利益が同8.5%減の1億82百万円、物品販売事業は売上高が同8.7%増の9億53百万円で営業利益が同50.0%増の9百万円だった。
■17年3月期通期は増収増益予想
今期(17年3月期)通期の連結業績予想(5月9日公表)については、売上高が前期(16年3月期)比6.7%増の131億円、営業利益が同4.0%増の15億20百万円、経常利益が同1.6%増の15億80百万円、純利益が同0.4%増の10億22百万円としている。配当予想は前期と同額の年間20円(第2四半期末10円、期末10円)で予想配当性向は26.5%となる。
ECソリューション事業では、EC市場およびインターネット広告市場の拡大を背景として、ネット通販サイト構築需要やインターネット広告需要が拡大し、ECサイト構築パッケージソフト「ecbeing」の販売・カスタマイズ・保守が好調に推移する。またシステムインテグレーション事業では、企業のセキュリティ対策・IT投資意欲の高まりやクラウドサービス市場の拡大を背景として、不正接続PC検知・排除システム「L2Blocker」が好調に推移する。
コスト面では製品機能充実のための費用、知名度向上のための広告宣伝費、新卒社員の積極採用に伴う採用費や人件費が増加するが、増収効果で吸収する。通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は売上高23.3%、営業利益16.8%、経常利益17.4%、純利益17.4%と低水準の形だが、第4四半期の構成比が高い収益構造のためネガティブ要因とはならない。通期ベースでは好業績が期待される。またECサイト累計構築数は増加基調のためストック型収益も拡大基調だ。国内断トツ首位のECサイト構築実績を武器として中期的にも収益拡大基調だろう。
■株主優待制度は3月末と9月末の年2回実施、長期保有優待制度を拡充
株主優待制度は毎年3月31日および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。優待内容は保有株数に応じてオリジナルQUOカードを贈呈(3000株以上保有株主に対してQUOカード3000円分など、詳細は会社ホームページを参照)する。
なお2年超の継続保有株主に対しては長期保有優待制度も実施している。そして7月8日には長期保有優待制度の拡充を発表した。17年6月開催の定時株主総会からお土産を取りやめることに伴い、新たな還元策として現行の長期保有優待制度を拡充(変更後の詳細は会社ホームページを参照)する。17年3月末から新制度を適用する。
■自己株式取得を実施
9月1日発表の自己株式取得(取得株式総数の上限10万株、取得価額総額の上限1億30百万円、取得期間16年9月1日~16年10月31日)については、9月30日時点累計で取得株式総数5万5900株、取得価額総額5701万5900円となった。
■株価は戻り歩調で7月高値目指す
株価の動きを見ると調整一巡して戻り歩調だ。8月5日の直近安値904円から切り返し、10月6日には1128円まで上伸した。
10月13日の終値1115円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS75円57銭で算出)は14~15倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は1.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS517円10銭で算出)は2.2倍近辺である。時価総額は約154億円である。
日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって戻り歩調だ。自己株式取得も評価して7月高値を試す展開だろう。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)