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山田コンサルティンググループは年初来高値更新、高値フシ抜けで上げ足速める可能性
- 2016/10/19 08:13
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
山田コンサルティンググループ<4792>(JQ)は経営・財務・M&A・不動産関連のコンサルティング事業を主力としている。経営コンサルティング事業が牽引して17年3月期増収増益・連続増配予想である。株価は7月高値を突破して年初来高値を更新し、15年7月高値も突破した。高値フシ抜けで上げ足を速める可能性がありそうだ。
■各種コンサルティング事業を展開する純粋持株会社
各種コンサルティング事業を展開するグループの純粋持株会社である。
傘下の事業会社は、山田ビジネスコンサルティングが経営・財務・事業承継・M&A支援などの経営コンサルティング事業、山田FASがM&A・企業再編の財務アドバイザイリー業務や中堅・中小企業対応M&A関連業務などの資本・株式・株主に関するコンサルティング事業、山田不動産コンサルティングが不動産有効活用などの不動産コンサルティング事業、東京ファイナンシャルプランナーズがFP資格取得講座などのFP関連事業、キャピタルソリューションおよび投資事業有限責任組合が投資・ファンド事業(事業承継・再生関連のファンド)を展開している。
■中期的にROE20%以上を目指す
中期経営目標としてROE20%以上を掲げ、重点戦略としては大手金融機関・証券会社・地方金融機関・提携会計事務所との連携強化、中堅・中小企業対応M&A関連分野の拡大、中国現地法人およびシンガポール支店を拠点とした中国・アジア展開の強化などを推進している。投資・ファンド事業では、事業承継問題を抱えている優良な中堅・中小企業をターゲットとして、投資リスクを最小限に抑えながら投資案件を発掘している。
またコンサルティングニーズが「事業再生」だけでなく「事業成長」も顕在化しているため、こうしたニーズに対応すべく、経営コンサルティング事業では「事業再生コンサル」「事業成長コンサル」「事業承継コンサル」「M&Aコンサル」の4本柱とするビジネスモデルを推進している。そして事業再生や事業承継を切り口としてM&Aコンサルを拡大している。
■日本企業の海外展開支援を強化
16年4月には山田ビジネスコンサルティングが、シンガポールのリサーチファームであるSPIRE Research and Consulting(SPIRE)の株式80%を取得して子会社化した。
SPIRE社は2000年にシンガポールで創業し、現在はシンガポール・インドネシア・マレーシア・インド・中国・ベトナム・韓国に事務所を構え、主に日本・アメリカ・欧州・アジアの多国籍企業を顧客として、新興国地域への事業展開のための市場調査を主要サービスとしている。SPIRE社を子会社化することで、多様化する日本企業の海外進出・既存海外事業に関するコンサルティングニーズに一層充実した体制で対応する。
■案件によって四半期利益が変動しやすい収益構造、M&A関連は増加基調
四半期別業績推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期20億86百万円、第2四半期20億59百万円、第3四半期18億25百万円、第4四半期25億11百万円、営業利益が5億33百万円、4億28百万円、2億48百万円、8億円で、16年3月期は売上高が18億44百万円、22億25百万円、19億80百万円、30億81百万円、営業利益が1億80百万円、5億57百万円、3億03百万円、10億94百万円だった。
好採算案件や大型案件の有無で四半期利益が変動しやすい収益構造である。16年3月期は営業外の為替差損益が悪化(15年3月期は差益1億58百万円、16年3月期は差損1億34百万円)して経常減益・最終減益だったが、各事業が順調に推移して増収・営業増益だった。売上総利益は15年3月期比7.5%増加したが、売上総利益率は89.3%で同0.1ポイント低下した。販管費は同7.9%増加し、販管費比率は65.9%で同0.2ポイント上昇した。
ROEは15.4%で同2.4ポイント低下した。自己資本比率は84.2%で同2.3ポイント上昇した。配当は同15円増配の年間115円(第2四半期末55円、期末60円)で配当性向は42.2%だった。利益配分については、グループ全体の利益水準、財政状態および配当性向等を総合的に勘案しながら「適正かつ安定的な配当」を続けていくことを基本方針とし、具体的指標としては配当性向を50%に近づけるべく努めるとしている。
セグメント別(連結調整前)の動向を見ると、経営コンサルタント事業は売上高が同7.7%増の63億81百万円で営業利益が同9.5%増の13億68百万円、資本・株式・株主に関するコンサルティング事業は売上高が同14.9%増の13億36百万円で営業利益が同16.7%増の3億92百万円、不動産コンサルティング事業は売上高が同11.4%増の7億82百万円で営業利益が同11.5%増の2億38百万円、FP関連事業は売上高が同13.5%増の7億28百万円で営業利益が同30.7%増の96百万円、投資・ファンド事業は売上高が同76.6%減の45百万円で営業利益が同68.4%減の42百万円だった。
16年3月期末の提携数は330会計事務所(15年3月期末は275会計事務所)となった。投資ファンド事業は新規投資1件・73百万円を実行し、期末投資残高は82百万円となった。
なおM&A関連売上は、14年3月期が経営コンサルタント事業で17件・5億円、資本・株式・株主に関するコンサルティング事業で8件・1億67百万円、15年3月期が経営コンサルタント事業で28件・10億22百万円、資本・株式・株主に関するコンサルティング事業で15件・5億53百万円、16年3月期が経営コンサルタント事業で32件・13億08百万円、資本・株式・株主に関するコンサルティング事業で17件・6億48百万円だった。順調に増加している。
■17年3月期第1四半期は大幅増収増益
今期(17年3月期)第1四半期(4~6月)の連結業績は売上高が前年同期比42.8%増の26億34百万円、営業利益が同3.2倍の5億86百万円、経常利益が同56.6%増の3億92百万円、純利益が同73.0%増の2億63百万円だった。経営コンサルティング事業の大幅増収増益が牽引した。
売上総利益は同45.6%増加し、売上総利益率は88.3%で同2.2ポイント上昇した。また販管費は同23.8%増加したものの、販管費比率は66.1%で同10.2ポイント低下した。営業外では為替差損益が悪化(前期差益54百万円、今期差損1億75百万円)し、有価証券償還損14百万円を計上した。
セグメント別(連結調整前)の動向を見ると、経営コンサルタント事業は売上高が同49.3%増の18億94百万円で営業利益が同5.6倍の4億38百万円、資本・株式・株主に関するコンサルティング事業は売上高が同65.8%増の2億69百万円で営業利益が23百万円の赤字(前年同期は30百万円の赤字)、不動産コンサルティング事業は売上高が同18.8%減の2億04百万円で営業利益が同15.6%減の85百万円、FP関連事業は売上高が同20.1%減の1億58百万円で営業利益が同74.7%減の8百万円、投資・ファンド事業は売上高が1億23百万円(前年同期はなし)で営業利益が77百万円(同1百万円の赤字)だった。
■17年3月期通期も増収増益で連続増配予想
今期(17年3月期)通期の連結業績予想(4月27日公表)は、売上高が前期(16年3月期)比15.0%増の105億円、営業利益が同7.7%増の23億円、経常利益が同12.6%増の23億20百万円、純利益が同15.1%増の15億円としている。配当予想は同20円増配の年間135円(第2四半期末65円、期末70円)で予想配当性向は42.8%となる。
経営コンサルタント事業は事業再生が減少傾向だが、事業成長、事業承継、M&Aが拡大基調である。なお16年4月子会社化したSPIRE(スパイア)社については、営業利益がのれん償却額とほぼ同額になる見込みのため、営業利益に対する影響はないとしている。資本・株式・株主に関するコンサルティング事業はM&A関連を中心に事業規模が拡大する。不動産コンサルティング事業は人材確保に係るコストが増加するが、提携会計事務所からの案件受注が好調に推移して安定的な利益確保を目指す。FP関連事業は法人マーケットでの拡販で増収増益を目指す。投資・ファンド事業は投資株式(優先株式)の償還益計上で若干の営業利益を見込んでいる。
営業外での為替差損益が変動要因となるが、経営コンサルタント事業における事業成長・事業承継・M&A関連が牽引して好業績が期待される。
■株価は年初来高値更新、フシ抜けで上げ足速める可能性
株価の動きを見ると、4000円~4500円近辺でのボックス展開だったが、10月18日に4560円まで上伸し、7月高値4535円を突破して年初来高値を更新した。また15年7月高値4540円も突破した。
10月18日の終値4560円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS316円12銭で算出)は14~15倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間135円で算出)は3.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1844円73銭で算出)は2.5倍近辺である。時価総額は約227億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線が接近して再動意となり、サポートラインを確認した形だ。そして4500円近辺の高値フシを抜ける形となって上げ足を速める可能性がありそうだ。
(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)