平山は下値固め完了して基調転換の動き、17年6月期大幅増益予想で収益改善

 平山<7781>(JQ)は国内製造業向けアウトソーシング事業(製造請負)を主力として、技術者派遣事業や現場改善コンサルティングサービスなども展開している。17年6月期は採用体制を強化して大幅増益予想である。収益改善基調が期待される。株価は下値固めが完了して基調転換の動きを強めている。戻りを試す展開だろう。なお11月14日に第1四半期業績発表を予定している。

■国内製造業向けアウトソーシング事業(製造請負)が主力

 国内製造業向けのアウトソーシング事業(製造請負)を主力として、連結子会社トップエンジニアリングの技術者派遣事業、その他事業(現場改善コンサルティングサービス、教育サービス、有料職業紹介など)も展開している。16年6月期売上高構成比はアウトソーシング事業85%、技術者派遣事業9%、その他5%だった。

 主力のアウトソーシング事業では、当社に所属する現場改善コンサルタントと連携したサービスを提供し、顧客企業の製造現場における生産性向上、コスト削減、さらに「ものづくり力」強化に繋げていることが強みだ。11年には製造請負事業者改善推進協議会が運営している製造請負優良適正事業者認定制度を第1号で取得(14年4月更新)した。

 請負現場「ものづくり力」高度化のために、中核になる生産管理者の育成を強化するとともに、製造企業OBシニア層の技術を再開発して、製造現場の改善をワンストップで提案できる体制を構築することに経営資源を最優先で投資している。

 また従来の派遣・請負会社のイメージを脱却し、社内で育成した人材を社会に還元する「教育会社」を目指している。社員に対しては、キャリアカウンセリングやメンタル支援などの従業員支援制度(EAP=Employee Assistance Program)をベースとして、資格・技能取得支援制度によるキャリアアップ制度を運用し、有期雇用から無期雇用へと転換するステップを用意している。

 15年7月には当社独自の求人サイト「ものっぷ」を開設している。簡単な仕事検索、PDFやEXCELによる履歴書のダウンロードなど、今までにない仕事の探し方を実現した。ものづくりでキャリアアップを目指す方を応援するサイトとして、求職者の仕事探しをサポートしている。

 16年6月には外国人技能実習生の受入拡大に伴うサポート体制の充実をリリースした。入職Ⅰ~3ヶ月以内の実習生に対面カウンセリングを実施するなど、実習生が安心して働ける環境づくりを強化し、帰国後の就職支援を視野に入れて海外事業も積極展開する。

■テルモ向けを主力に大手優良企業グループと強固な取引関係を構築

 主要取引先は、テルモ<4543>向けを主力として、LIXILグループ、TOPPANグループ、TOTOグループ、トヨタグループ、リコーグループ、三菱グループなどがある。多種多様な業種・工程での実績を持ち、業界を超えた製造技術・ノウハウを蓄積していることも強みだ。そして大手優良企業グループと強固な取引関係を構築している。

 アウトソーシング事業の16年6月期分野別売上構成比は、医療機器・医薬品が49%、オフィス用品が14%、食品が12%、住宅設備が8%、建設機械が7%、自動車部品が7%、その他が3%だった。

 海外はベトナムとタイに現地法人(非連結子会社)で、日本国内のエンジニア不足に対応した外国人技術者の採用、東南アジア諸国の日系企業との取引拡大を推進している。16年2月には平山タイの子会社JOB SUPPLY HUMAN RESOURCE(JSHR)が、JOB SUPPLY(JS)社から人材派遣事業(約1700名)を譲り受けた。

■長期的目標は売上高営業利益率8%

 経営目標としてはグループ売上高200億円の早期達成を目指し、売上高営業利益率を中期的に5%、長期的に8%に向上させる方針だ。重点戦略としては、コンサルティング機能の強化や外国人技能者の積極的活用により、現場改善力・収益力を高めて差別化や顧客の囲い込みを推進する。

 そして国内製造業向けアウトソーシング事業における既存取引先の事業所拡大・安定化、既存製造派遣取引先のインソーシング(製造請負)化、自社管理業務および既存インソーシング契約取引先業務の改善、新規取引先の開拓(インソーシング案件獲得)、ハイエンド派遣・設計エンジニア派遣の拡大などを推進する。

 海外展開については、タイ、ベトナム、インドネシアでのコンサルティング事業の拡大、インドネシア、フィリピンへの拠点展開などを推進し、東南アジアでの人材ビジネス企業、コンサルティング企業、教育関連企業へのM&Aも検討する。なおJS社から人材派遣事業(約1700名)を譲り受けたタイのJSHR社については、中期的に4000名体制を目指すとしている。

■16年6月期は人員再配置等のコストが増加して大幅減益

 前期(16年6月期)の連結業績は売上高が前々期(15年6月期)比8.4%増の97億47百万円、営業利益が同66.1%減の1億28百万円、経常利益が同83.1%減の64百万円、純利益が同92.6%減の14百万円だった。

 アウトソーシング事業の製造請負・製造派遣の引き合いは増加傾向で、技術者派遣事業・その他事業におけるタイの人材派遣会社のM&A(16年1月)も寄与して増収だったが、アウトソーシング事業における主要取引先の一部減産の影響、人員再配置等のコスト増加、採用関連コストの増加などで大幅減益だった。売上総利益は同1.9%減少し、売上総利益率は15.8%で同1.6ポイント低下した。販管費は同18.6%増加し、販管費比率は14.4%で同1.2ポイント上昇した。営業外費用では株式公開費用14百万円、為替差損48百万円を計上した。

 またROEは0.8%で同13.2ポイント低下、自己資本比率は47.7%で同10.9ポイント上昇した。配当は同2円78銭増配の年間38円(期末一括、普通配当6円+上場記念配当32円)で配当性向は446.1%だった。

 セグメント別に見ると、アウトソーシング事業は売上高が同4.8%増の83億10百万円で営業利益(連結調整前)が同13.1%減の8億19百万円、技術者派遣事業は売上高が同0.1%増の9億15百万円で営業利益が同13.9%減の46百万円、その他事業は売上高が同3.6倍の5億22百万円で営業利益が同91.3%減の3百万円だった。なお稼働人員数は同90.9%増加の5368名(うち海外が2280名)となり、取引社数は同17社増加の113社(うち海外が12社)となった。

 アウトソーシング事業では、医療・医療機器分野および精密機器分野の一部減産に対応して製造請負事業から製造派遣事業に人員をシフトし、既存取引先の増員や新規取引先の開拓などで増収だったが、利益率の高い製造請負事業の構成比低下、受注生産量に対する適正人員確保のための採用コストおよび外注コストの増加で減益だった。技術者派遣事業では輸送機器分野や通信機器分野の需要が旺盛だったが、人員確保が進まず微増収にとどまり、人員確保に向けた採用関連コストの増加、領域拡大に向けた先行投資負担で減益だった。その他事業は現場改善コンサルティング事業が堅調に推移し、タイの人材派遣会社のM&Aも寄与して大幅増収だったが、M&Aに伴う先行投資負担で減益だった。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期22億74百万円、第2四半期23億51百万円、第3四半期23億36百万円、第4四半期27億86百万円、営業利益は0百万円の赤字、66百万円、30百万円、32百万円だった。

■17年6月期大幅増益予想で収益改善基調期待

 今期(17年6月期)の連結業績予想(8月12日公表)は売上高が前期(16年6月期)比22.7%増の119億63百万円で、営業利益が同90.8%増の2億44百万円、経常利益が同3.8倍の2億44百万円、純利益が同9.1倍の1億32百万円としている。タイ子会社の通期連結も寄与して大幅増収増益予想である。

 アウトソーシング事業では採用体制(全国・外国人)を強化し、既存取引先増産への対応、新規取引先開拓を推進する。技術者派遣事業・その他事業では、タイ子会社の東南アジアでの拡販や通期連結などが寄与する。売上総利益率は同0.5ポイント低下の15.3%の計画だ。

 配当予想は前期比18円減配の年間20円(期末一括、普通配当6円+上場記念配当32円)としている。前期の年間38円には上場記念配当32円が含まれているため、普通配当ベースでは増配となる。配当性向は25.9%となる。利益配分については安定した配当の継続という観点から配当性向25%を基本としている。

 セグメント別の計画は、アウトソーシング事業の売上高が同12.3%増の93億32百万円で営業利益(連結調整前)が同21.2%増の9億93百万円、技術者派遣事業の売上高が同15.1%増の10億53百万円で営業利益が同4.3%減の44百万円、その他の売上高が同3.0倍の15億78百万円で営業利益が同17倍の51百万円としている。稼働人員数は同28.4%増加の6890名(うち海外が同44.7%増の3300名)、取引先数は同21社増加の134社(うち海外が同8社増加の20社)の想定としている。

 重点取組事項は、採用体制の強化、社員個々の能力向上、インソーシング化の推進、その他事業部門の強化(現場改善コンサルタントの増員、タイ子会社を核にタイでの人材ビジネスの拡大)としている。重点取組策が奏功して収益改善基調が期待される。

■株価は下値固め完了して基調転換の動き

 株価の動きを見ると、安値圏900円近辺でモミ合う展開だったが、9月30日に977円、10月11日に975円まで上伸して底放れの動きを強めている。

 10月20日の終値941円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS77円29銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は2.1%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1247円64銭で算出)は0.8倍近辺である。なお時価総額は約16億円である。

 週足チャートで見ると戻りを押さえていた13週移動平均線と26週移動平均線を突破した。下値固めが完了して基調転換の動きだ。戻りを試す展開だろう。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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