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ソーバルは7月の年初来高値に接近、17年2月期増益・連続増配予想で自己株式取得も評価
- 2016/10/26 09:07
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ソーバル<2186>(JQ)は組み込みソフト開発などエンジニアリング事業を展開している。17年2月期第2四半期累計は減益だったが、通期は新規顧客開拓やM&A効果などで増益・連続増配予想である。株価は自己株式取得も評価して7月の年初来高値に接近している。指標面の割安感も見直し材料であり、上値を試す展開だろう。
■組み込みソフト開発などエンジニアリング事業を展開
組み込みソフト開発、ウェブ・スマホアプリ開発、ハードウェア設計・開発などのエンジニアリング事業を展開している。技術力と経験豊富な人材を合わせ持つ国内有数の独立系組み込みソフト開発企業で、M&Aも活用して顧客や分野の多様化、新規事業の開拓、人材の確保を推進している。
15年5月車載システム開発や生産ライン制御システム開発などに強みを持つアンドールシステムサポートを子会社化、16年5月オムロン<6645>向けを主力とする子会社MCTEC(12年9月子会社化した旧モバイルコンピューティングテクノロジーズ)を吸収合併した。一方で15年3月RFID事業をアートファイネックスに譲渡した。経営資源をエンジニアリング事業に集中する。
■優良な大口顧客と強固な信頼関係、新規顧客開拓も進展
優良な大口顧客を抱えていることも特徴である。主要顧客別売上高構成比は16年2月期がキヤノン<7751>グループ58.4%(15年2月期63.3%)、ソニー<6758>グループ10.8%(同11.9%)、富士通<6702>グループ9.8%(同8.5%)、NTT<9432>グループ3.1%(同3.7%)、その他17.9%(同12.6%)だった。
また17年2月期第2四半期累計は、キヤノン<7751>グループ53.4%、ソニー<6758>グループ11.9%、富士通<6702>グループ8.9%、NTT<9432>グループ2.9%、その他22.9%だった。キヤノングループは売上高を維持しているが、新規顧客開拓が進展して構成比は低下傾向である。ソニーグループは売上高・構成比とも上昇傾向である。その他はアンドールシステムサポート社の貢献や新規受託開発案件の増加などで顧客層が拡大し、売上高・構成比とも上昇傾向である。
既存取引先との信頼関係を一層強固なものとしつつ、継続的な新規顧客開拓も進展している。17年2月期は日立グループとの取引を開始して自動車関連への展開を加速する。
■収益拡大基調
四半期別業績推移を見ると、15年2月期は売上高が第1四半期17億74百万円、第2四半期16億86百万円、第3四半期17億65百万円、第4四半期16億95百万円、営業利益が2億01百万円、70百万円、1億73百万円、1億07百万円、16年2月期は売上高が17億69百万円、19億68百万円、19億63百万円、20億17百万円、営業利益が1億79百万円、1億53百万円、1億56百万円、1億22百万円だった。15年2月期第2四半期の営業利益は本社移転費用計上という一時的要因が影響したが、収益拡大基調である。
16年2月期は受託開発案件の受注拡大、新規顧客開拓、アンドールシステムサポート新規連結、各プロジェクトにおける品質・納期・コスト管理徹底、本社移転による作業効率化や各種ノウハウ共有化、新卒・若手エンジニアの育成と技術力底上げなどで計画超の2桁増収増益だった。
売上総利益は15年2月期比11.8%増加し、売上総利益率は20.9%で同横ばいだった。販管費は同12.4%増加し、販管費比率は13.0%で同0.1ポイント上昇した。またROEは14.9%で同1.4ポイント上昇、自己資本比率は72.5%で同1.7ポイント上昇した。配当は同8円増配の年間39円(第2四半期末19円、期末20円)で配当性向は41.8%だった。利益配分は内部留保の充実を図りながら、安定的かつ継続的に増加させていくことを基本方針としている。
■17年2月期第2四半期累計は増収減益
今期(17年2月期)第2四半期累計(3~8月)の連結業績は、売上高が前年同期比7.2%増の40億08百万円だが、営業利益が同24.0%減の2億52百万円、経常利益が同28.3%減の2億45百万円、純利益が同13.7%減の1億73百万円だった。
主要顧客からの受託開発業務が拡大し、新規技術分野への進出も寄与して増収だったが、前年第1四半期に利益率の高い案件の検収が集中した反動や、技術者育成に向けた戦略的投資などで利益率が低下して減益だった。
売上総利益は同7.9%減少し、売上総利益率は19.9%で同3.2ポイント低下した。販管費は同2.3%増加したが、販管費比率は13.6%で0.6ポイント低下した。営業外費用では退職給付費用16百万円を計上した。
なお四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期20億46百万円、第2四半期19億62百万円、営業利益は1億36百万円、1億16百万円だった。
■17年2月期通期は増収増益・連続増配予想
今期(17年2月期)通期の連結業績予想については、前回予想(4月12日公表)を据え置いて売上高が前期(16年2月期)比3.7%増の80億円、営業利益が同1.6%増の6億20百万円、経常利益が同0.6%増の6億25百万円、純利益が同3.4%増の4億05百万円としている。配当予想は同3円増配の年間42円(第2四半期末21円、期末21円)で予想配当性向は43.6%となる。
既存顧客との取引ボリューム維持・拡大、自動車・航空宇宙・医療関連など新規分野の顧客開拓の営業活動を強化するとともに、高採算案件の選定も徹底する。また受託案件の作業効率化、エンジニアの技術力アップとローテーションによる稼働最適化、プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーの育成、質の高いパートナー企業の開拓などで、プロジェクト管理も徹底する。
通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が50.1%、営業利益が40.7%、経常利益が39.2%、純利益が42.7%である。利益進捗率がやや低水準の形だが需要は高水準であり、プロジェクト管理の徹底効果などで通期会社予想の達成は可能だろう。
■受注環境良好でM&A戦略も推進
製造業では技術者不足が深刻化しているため、新製品開発関連などで優秀な技術者に対するニーズが一段と高まっている。人材やパートナー企業の確保が課題だが、受注環境は中期的にも良好である。
こうした事業環境に対応して、販路拡大、多角的収益構造の構築、エンジニアのワーク・ライフ・バランスの充実、エンジニアの技術力向上、プロジェクトマネージャー・プロジェクトリーダーの育成、精度の高いプロジェクト管理、積極的なM&A戦略などの施策を推進している。中期的にも収益拡大基調が期待される。
■自己株式取得を実施
9月30日に自己株式取得を発表した。取得株式総数の上限7万5000株(自己株式除く発行済株式総数に対する割合1.81%)で、取得価額増額の上限は1億1250万円、取得期間は16年10月1日~16年12月31日としている。
■株主優待制度は毎年8月末に実施
株主優待制度については、毎年8月31日現在で1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。100株以上~500株未満保有株主に対して500円相当のQUOカード、500株以上保有株主に対して2000円相当のQUOカードを贈呈する。
■株価は7月の年初来高値に接近、割安感も見直して上値試す
株価の動きを見ると、9月の直近安値1162円から反発して7月の年初来高値1350円に接近している。10月24日に1309円まで上伸した。第2四半期累計の減益に対するネガティブ反応は見られず、自己株式取得を評価した形だ。
10月25日の終値1295円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS96円35銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間42円で算出)は3.3%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS655円52銭で算出)は2.0倍近辺である。なお時価総額は約54億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインとなって下値を切り上げている。指標面の割安感も見直し材料であり、上値を試す展開だろう。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)