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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ワイヤレスゲートは下値固め完了して強基調に転換、中期成長力を評価して切り返し
- 2015/1/28 07:34
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ワイヤレスブロードバンドサービスを展開するワイヤレスゲート<9419>(東マ)の株価は、安値圏3000円~3500円近辺でモミ合う展開だったが、1月27日は3435円まで上伸して下値固め完了感を強めている。強基調に転換した形であり、中期成長力を評価して切り返し展開だろう。なお2月12日に前期(14年12月期)の決算発表を予定している。
通信事業者からインフラを借り受けてワイヤレスブロードバンドサービス(Wi-Fi、WiMAX、LTE)を提供している。販売チャネルはヨドバシカメラでの販売、住友商事<8053>との業務提携による最大手携帯販売会社ティーガイア<3738>での販売を主力としている。月額有料会員数の積み上げに伴って収益が拡大するストック型収益構造だ。
中期成長に向けた重点戦略として、サービス提供エリア拡大、サービスラインナップ拡充、新規事業推進などを掲げている。
新規事業では14年1月、法人向けWi-Fi環境イネーブラー(構築運用支援)事業を開始した。公衆無線LAN環境を活用する動きが自治体(災害時通信インフラ)、観光地(外国人旅行客誘致)、商店街(集客力向上)などに広がり、20年東京夏季五輪開催も追い風となって無線LANの需要拡大が予想されるため、クラウド型Wi-Fi環境サービスシステムなどソリューションサービスの提供を拡大する。
8月にはLTE領域ソリューション拡充の一環として、M2M/IoTソリューション「クラウド型みまもりサービス」の販売開始と、訪問看護サービスのNフィールド<6077>との業務提携を発表した。9月にはLTE通信対応SIMカード「ワイヤレスゲート Wi-Fi+LTE SIMカード」の販売を開始した。また日本たばこ産業(JT)<2914>へのWi-Fiシステム提供を発表した。JTの飲料自動販売機をWi-Fiスポットにするもので、当社のクラウド型マネージドWi-Fiシステムが採用された。
11月にはビジュアルコミュニケーションサービスのブイキューブ<3681>と業務提携した。また世界200カ国以上に1200万箇所以上のWi-Fiスポットを有するFon(スペイン)およびフォン・ジャパンと業務協力した。12月には「ワイヤレスゲート Wi-Fi」併用可能な訪日外国人向けプリペイド型SIMカードの販売を開始した。
前期(14年12月期)の連結業績見通し(2月13日公表)は、売上高が前々期比20.6%増の85億09百万円、営業利益が同14.6%増の9億円、経常利益が同14.6%増の8億98百万円、純利益が同12.5%増の5億43百万円、配当予想が14年1月1日付の株式2分割を考慮すると実質的に前々期と同額の年間25円(期末一括)としている。
第3四半期累計(1月~9月)は前年同期比27.5%増収、同1.3%営業増益、同1.0%経常増益、同3.8%最終増益で、通期見通しに対する進捗率は売上高が77.3%、営業利益が64.8%、経常利益が64.6%、純利益が67.6%だった。
期初時点では予定していなかったLTE通信対応SIMカード販売開始に伴う保守・運用費が発生し、回線調達コストや販売促進費が増加したため小幅増益にとどまり、利益進捗率がやや低水準だった。しかし売上面では、収益基盤である「ワイヤレスゲート Wi-Fi」および「ワイヤレスゲート Wi-Fi+WiMAX」が順調に推移して増収基調である。会員数積み上げのストック型収益構造であり、Wi-Fi環境イネーブラー事業など新規事業を業績見通しに織り込んでいないことを考慮すれば、通期ベースでも好業績が期待される。
今期(15年12月期)も好業績が予想される。会員数の増加に伴ってワイヤレス・ブロードバンド事業が順調に推移し、Wi-Fi環境イネーブラー事業の収益寄与も本格化するだろう。中期的に収益拡大基調が期待される。
株価の動きを見ると、14年11月中旬以降は安値圏3000円~3500円近辺でモミ合う展開だ。ただし12月中~下旬に一時的に3000円を割り込む場面があったものの、1月27日には3435円まで上伸し、3000円近辺で下値固め完了感を強めている。
1月27日の終値3410円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS54円28銭で算出)は63倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は0.7%近辺、前々期実績PBR(前々期実績の連結BPS206円18銭で算出)は17倍近辺である。
日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線を突破した。下値固めが完了して強基調に転換した形だ。中期成長力を評価して切り返し展開だろう。