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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】クリナップは調整一巡感、16年3月期の収益改善期待で出直り、低PBRも評価材料
- 2015/1/28 07:29
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
システムキッチン大手のクリナップ<7955>(東1)の株価は、1月5日の898円から反落して再び水準を切り下げたが、急落した14年11月安値803円水準まで下押すことなく、840円~860円近辺で推移して調整一巡感を強めている。0.7倍近辺の低PBRも評価材料であり、来期(16年3月期)の収益改善期待で出直り展開だろう。
厨房部門(システムキッチン)を主力として、浴槽・洗面部門(システムバスルーム・洗面化粧台)も展開している。
中期経営計画では「ザ・キッチンカンパニー」の確立を掲げ、システムキッチン「S.S.」「クリンレディ」「ラクエラ」「コルティ」を軸とした商品ラインナップの充実、ブランド力の強化、中高級システムキッチンの市場シェア上昇、全国のショールーム(101拠点)への集客強化、総合競争力の強化、会員登録制組織「水まわり工房」加盟店との連携強化、リフォーム需要の取り込み、トータルコストの低減、そして海外事業の戦略的推進などを重点施策としている。
集客力強化に向けてショールームの全面リニューアルも推進し、1月8日には和歌山ショールームが体験型ショールームとして移転オープンした。
今期(15年3月期)の連結業績見通し(11月7日に減額修正)は売上高が前期比6.8%減の1200億円、営業利益が同59.4%減の36億円、経常利益が同62.2%減の32億円、純利益が同73.8%減の13億円としている。配当予想(5月8日公表)は記念配当5円を落として年間20円(第2四半期末10円、期末10円)としている。
第2四半期累計(4月~9月)は、消費増税の反動影響が想定以上となって売上高、利益とも計画を下回り、前年同期比0.8%増収、同33.1%営業減益、同35.0%経常減益、同65.8%最終減益だった。純利益については厚生年金基金の特例解散に伴う特別損失計上も影響した。
消費増税の反動影響や輸入原材料の価格上昇など、下期も厳しい市場環境が見込まれるとして通期見通しを減額修正した。ただし修正後の通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高50.3%、営業利益69.9%、経常利益72.4%、純利益55.8%と高水準である。
第2四半期累計が収益トレンドのボトムとなった可能性もあり、消費増税の反動影響一巡などで下期(10月~3月)および来期(16年3月期)の収益改善が期待される。
食住イベントやリフォームフェアの開催によるブランド力向上、ショールーム全面リニューアルによる集客力強化、会員登録制組織「水まわり工房」加盟店との連携などの販売強化施策が奏功して、システムキッチンの市場シェアは上昇基調である。原価低減の効果なども寄与して中期的には収益拡大基調だろう。
株価の動きを見ると、今期業績見通しの減額修正を嫌気して急落した14年11月安値803円から、一旦は1月5日の898円まで戻したが、その後は反落して再び水準を切り下げた。ただし11月安値水準まで下押すことなく、840円~860円近辺で推移して調整一巡感を強めている。来期の収益改善を期待する動きだろう。
1月27日の終値860円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS30円64銭で算出)は28倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は2.3%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1301円25銭で算出)は0.7倍近辺である。
週足チャートで見ると戻りを押さえていた13週移動平均線突破の動きを強めている。0.7倍近辺の低PBRも支援材料であり、来期の収益改善期待で出直り展開だろう。