【アナリスト水田雅展の銘柄分析】フライトHDは下値固め完了感、収益改善基調も評価材料で出直り

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 システム開発や電子決済ソリューションのフライトホールディングス<3753>(東マ)の株価は、安値圏600円台で推移しているが、12月11日の昨年来安値618円を割り込むことなく、下値固め完了感も強めている。収益改善基調も評価材料であり、きっかけしだいで出直りの動きが本格化しそうだ。

 フライトシステムコンサルティング(旧)が13年10月、持株会社に移行してフライトホールディングスに商号変更した。事業承継した子会社フライトシステムコンサルティング(新)が、システム開発などのコンサルティング&ソリューション(C&S)事業、電子決済ソリューションなどのサービス事業を展開している。

 電子決済ソリューションの分野では、スマートデバイス決済専用マルチ電子決済端末「インクレディスト」およびスマートデバイス決済専用アプリケーション「ペイメント・マスター」の展開を強化している。

 専用アプリ「ペイメント・マスター」は、10年9月に提供開始した国内初のBtoB向け決済ソリューションで、高級ホテル、レストラン、観光タクシー、旅行代理店などで導入されている。またマルチ電子決済端末「インクレディスト」は、前期の大型案件も寄与して国内で数万台の納入実績がある。

 14年9月には子会社フライトシステムコンサルティングとフォウカスが、スマートデバイスを用いたモバイルPOS決済システムで協業した。10月には、BtoB/BtoC向けECサイト構築パッケージソフト「イーシー・ライダー」を展開する情報処理サービスのDRAGON TECHNOLOGYを子会社化(11月イーシー・ライダーに商号変更)した。

 また12月には米国子会社フライトUSAを設立した。電子決済ソリューション事業の次の展開として、海外での「ペイメント・マスター」および「インクレディスト」の拡販に向けて調査・検討を進めるとしている。

 なお14年10月には、子会社フライトシステムコンサルティングのマルチ電子決済端末「インクレディスト」の導入事例を紹介している。ソフトバンクモバイルがiPadと「インクレディスト」を連携して、あらゆる接客業務をこなす新システムiPad版GINIEの大量導入を進め、PCを全廃して店舗業務を改革した事例だ。

 今期(15年3月期)の連結業績見通し(5月19日公表)は売上高が前期比9.9%増の21億円、営業利益が同11.6%増の2億円、経常利益が同8.6%増の1億80百万円、純利益が同7.8%増の1億64百万円としている。

 第2四半期累計(4月~9月)は、前年同期に大型案件が集中した反動で大幅減収となり、営業利益、経常利益、純利益とも赤字だったが、概ね計画水準としている。下期(10月~3月)には「ペイメント・マスター」で他社ハードウェア向けライセンス供給拡大や、大手流通向けIC付きクレジットカード決済対応ソリューションの大型商談が寄与する見込みだ。通期ベースでは好業績が期待されるだろう。

 また来期(16年3月期)以降も、C&S事業では法人向けソリューションの提案を強化し、マイナンバー制度関連などの案件に対応する。サービス事業では電子決済ソリューション(マルチ電子決済端末「インクレディスト」および決済専用アプリ「ペイメント・マスター」)の拡販、大型案件の継続受注および保守対応を推進する。収益改善基調が期待される。

 株価の動きを見ると、12月中旬に動意付いて12月15日には1019円まで急伸する場面があったが、買いが続かず反落し、安値圏の600円台で推移している。ただし12月11日の昨年来安値618円を割り込むことなく、下値固め完了感も強めている。

 1月27日の終値649円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS17円34銭で算出)は37倍近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS59円06銭で算出)は11倍近辺である。

 週足チャートで見ると、13週移動平均線と26週移動平均線が抵抗線の形だが、600円台で下値固め完了感を強めている。マルチ電子決済端末「インクレディスト」の大型案件を材料視する傾向が強いが、収益改善基調も評価材料であり、きっかけしだいで出直りの動きが本格化しそうだ。

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