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キャリアリンクはBPO関連が牽引して17年2月期第2四半期累計は計画超の大幅増益
- 2016/10/28 09:46
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
キャリアリンク<6070>(東1)は「チーム派遣」を強みとする総合人材サービス企業である。17年2月期第2四半期累計はBPO関連の好調が牽引し、計画超の大幅増益だった。通期も2桁増収増益・連続増配予想である。株価はボックス展開の形だが、好業績を見直して上放れの展開が期待される。
■BPO関連事業が主力の総合人材サービス企業
官公庁・地方公共団体・民間企業向けBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)関連事業を主力として、企業等のコンタクトセンター(コールセンター)向けCRM(カスターマー・リレーションシップ・マネジメント)関連事業、製造・物流分野の製造技術系事業、一般事務職分野の一般事務事業など、人材派遣・紹介や業務請負などの総合人材サービス事業を展開している。
16年2月期の事業別売上高構成比はBPO関連事業65.4%、CRM関連事業17.7%、製造技術系事業9.8%、一般事務事業7.2%だった。
■顧客企業の業務効率化を実現する「チーム派遣」に強み
顧客の業務効率化や品質向上などを実現する企画提案型の人材派遣および業務請負を特徴としている。特にBPO関連事業では、顧客企業の業務効率化や業務処理品質向上を実現するために「単なるスタッフ派遣」ではなく、経験豊富な社員をリーダーとして編成した「チーム派遣」を強みとしている。顧客にとっては、自社による導入時の研修や導入後の業務指導などに係る負担が軽減され、発注から短期間で大量業務処理の稼働開始が可能になるというメリットもある。
また1000名を超える大型案件でも、稼働開始まで短期間で対応できるノウハウを有していることも強みだ。スタッフに対してはキャリアパス制度などを活用して能力、満足度、出勤率、稼働率を高める仕組みを構築しており、こうした仕組みもチーム派遣や大型案件に対する短期間での対応を支えている。
中期的な経営基盤強化に向けて、BPO関連事業では官公庁・地方公共団体関連の大型特需案件や成長市場である民間BPO案件の受注拡大、高品質で顧客満足度の高いBPOサービス提供の強化、M&Aも活用したBPO関連事業の領域拡大、CRM関連事業や製造技術系事業では高利益案件をメインターゲットとした受注活動の強化、そして業容拡大に向けた人材採用・育成の強化を推進している。
■BPO関連事業が牽引して収益拡大基調
四半期別の業績推移を見ると、15年2月期は売上高が第1四半期28億78百万円、第2四半期36億08百万円、第3四半期38億40百万円、第4四半期36億20百万円、営業利益が1億15百万円、2億93百万円、2億71百万円、1億51百万円、16年2月期は売上高が38億73百万円、40億40百万円、42億46百万円、44億46百万円、営業利益が1億89百万円、2億03百万円、2億63百万円、3億03百万円だった。収益拡大基調である。
16年2月期(非連結)は好調なBPO関連事業の好調が牽引して過去最高益を更新した。セグメント別売上高はBPO関連事業が15年2月期比29.1%増の108億53百万円、CRM関連事業が同3.6%減の29億31百万円、製造技術系事業が同5.6%増の16億32百万円、一般事務事業が同25.1%増の11億89百万円だった。
BPO関連事業では民間・官公庁とも受注が拡大した。またマイナンバー案件に関しては企画提案型入札のプロポーザル案件で約4割のシェアを獲得しているようだ。
売上総利益は同14.1%増加したが、売上総利益率は20.3%で同0.8ポイント低下した。また販管費は13.7%増加したが、販管費比率は14.5%で同0.7ポイント低下した。BPO関連事業拡大に向けた人員増に伴って人件費、採用費、研修費が増加したが増収効果で吸収した。ROEは24.4%で同0.1ポイント低下、自己資本比率は47.3%で同6.0ポイント上昇した。配当は同2円増配の年間18円(期末一括)で配当性向は19.1%だった。
■17年2月期第2四半期累計は大幅増益
今期(17年2月期)第2四半期累計(3~8月)の非連結業績は、売上高が前年同期比19.9%増の94億89百万円、営業利益が同42.3%増の5億58百万円、経常利益が同44.3%増の5億54百万円、純利益が同49.0%増の3億55百万円だった。BPO関連の好調が牽引し、販管費が想定を下回ったため計画超の大幅増益だった。
セグメント別売上高はBPO関連事業が同29.8%増の64億85百万円、CRM関連事業が同12.2%減の13億93百万円、製造技術系事業が同29.5%増の9億87百万円、一般事務事業が同9.9%増の6億22百万円だった。
BPO関連事業は金融関連を中心に民間BPO案件の受注が好調に推移し、官公庁BPO案件もマイナンバー関連各種業務や臨時給付金関連業務が計画どおりに受注した。CRM関連事業は前年同期のスポット案件の業務が終了した反動減に加えて、コールセンター業務と一般事務を併せて受注した同一案件をBPO案件としてカウントしたしたことも影響して減収だった。製造技術系事業は家電・医療機器メーカーや食品加工事業者からの受注が好調だった。一般事務事業は事務センターなど既存案件の業務量が順調に伸長した。
売上総利益は同21.2%増加し、売上総利益率は20.3%で同0.2ポイント上昇した。販管費は同14.3%増加したが、販管費比率は14.4%で同0.7ポイント低下した。既存登録者の稼働率が上がり、新規登録者の募集費が想定を下回ったことも寄与した。
なお四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期48億37百万円、第2四半期46億51百万円、営業利益は3億25百万円、2億32百万円だった。
■17年2月期通期も2桁増収増益で連続増配予想
今期(17年2月期)通期の非連結業績予想(4月14日公表)は、売上高が前期(16年2月期)比20.3%増の199億84百万円、営業利益が同16.8%増の11億19百万円、経常利益が同17.2%増の11億06百万円、純利益が同22.1%増の7億22百万円としている。
配当予想は年間10円(期末一括)としている。16年6月1日付の株式2分割を考慮して前期の年間18円を9円に換算すると実質的に1円増配となる。予想配当性向は17.3%である。
事業別売上高伸長率は、BPO関連事業が約20%増、CRM関連事業が約6%増、製造技術系事業が約40%増、一般事務事業が約27%増の計画としている。BPO関連はマイナンバー関連大型案件が本格化、CRM関連事業は金融関連が増加、製造技術系はエリア拡大、一般事務は金融関連が増加する見込みだ。
売上総利益率は若干の低下を見込み、中期的な業容拡大に向けて開発営業の強化関連費用やチーム派遣のリーダー採用・育成関連費用が増加するが、増収効果で吸収する。売上高・利益とも過去最高更新の見込みだ。
17年2月期の戦略としては、オンサイトBPO関連市場におけるシェアNO.1を目指し、官公庁関連では取引自治体数の拡大、恒常的公共サービス領域への事業拡大、ナレッジ化推進によるさらなる差別化、競争力と利益率を向上、民間関連ではアライアンス戦略深化、SV(スーパーバイザー=チーム派遣リーダー)の戦略的配置による取引拡大推進、金融業界の多様なアウトソーシングニーズの大型案件への昇華などに取り組む。またCRM関連事業では金融機関との取引拡大、製造技術系事業では既存顧客との継続的拡大基盤の構築、一般事務事業では紹介予定派遣の商品化などに取り組む方針だ。
なお通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高47.5%、営業利益49.9%、経常利益50.1%、純利益49.2%と概ね順調な水準である。通期も好業績が期待される。
■BPO関連事業が成長エンジン、M&Aによる領域拡大も推進
中期経営計画(ローリング方式、17年2月期~19年2月期)では、BPO関連事業を成長エンジンとした成長戦略を加速させる方針を掲げ、営業戦略の基本を大型BPO案件の獲得による売上規模拡大、企画提案力・運用力の強化とチーム派遣の拡大、M&AによるBPO関連事業の領域拡大としている。
目標数値は19年2月期売上高300億円(BPO関連事業210億円、CRM関連事業39億円、製造技術系事業38億円、一般事務事業13億円)、営業利益18億50百万円、経常利益18億40百万円、純利益12億円としている。
BPO関連はBPOソリューションサプライヤーとしての地位からレベルアップし、IT分野などの上流工程を含めたTier1を目指す。CRM関連は高利益案件をメインターゲットとして周辺業務を取り込み、BPO関連の受注拡大に繋げる。製造技術系事業は西日本エリアをターゲットエリアとして、高利益案件の受注拡大を推進する。一般事務事業は紹介予定派遣を軸として、派遣ビジネスモデルを高利益体質へ変革する方針だ。
■BPO関連事業の受注拡大が牽引して中期成長シナリオに変化なし
中期的に事業環境は良好である。官公庁・地方公共団体関連では財政健全化に向けた費用抑制の流れ、サービス向上や業務効率化のニーズ増大も背景として、官から民間への業務委託・移管の増加が予想されている。民間企業関連ではコア事業への経営資源集中や固定費の変動費化の流れも背景として、業務のアウトソーシング化が一段と増加すると予想されている。
業務効率化に向けた企画提案力、1000名以上の大型案件でも稼働開始まで短期間で対応できるノウハウ、官公庁向け大型BPO案件の受注実績などから、マイナンバー関連や民間大型BPO案件を受注することが期待され、さらに改正労働者派遣法も追い風となる。BPO関連事業の受注拡大が牽引して中期成長シナリオに変化はないだろう。
■株主還元は総合利回りの向上を目指す
株主還元については基本方針として、現金配当と株主優待を合算した総合利回りの向上を目指している。
株主優待制度については毎年8月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。なお優待内容(6月1日付株式2分割後)は、100株以上~200株未満保有株主に対してオリジナルQUOカード500円分、200株以上~500株未満保有株主に対してオリジナルQUOカード1000円分、500株以上保有株主に対してオリジナルQUOカード2000円分を贈呈する。
■株価はボックス上放れ期待
株価の動き(16年6月1日付で株式2分割)を見ると、7月の戻り高値978円から反落し、8月以降はやや上値が重く800円近辺でボックス展開の形だ。ただし大きく下押す動きも見られず、煮詰まり感を強めている。
10月26日の終値784円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS57円65銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は1.3%近辺、前期実績PBR(前期実績BPSに株式2分割を考慮した212円27銭で算出)は3.7倍近辺である。時価総額は約98億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが、好業績を見直してボックス上放れの展開が期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)