【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ヨコレイは下値固め完了して煮詰まり感、低PBRも評価材料でモミ合い上放れ

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 冷蔵倉庫大手のヨコレイ(横浜冷凍)<2874>(東1)の株価は、780円~820円近辺の小幅レンジでモミ合う展開だが、下値固めが完了して煮詰まり感を強めている。1月27日は812円まで上伸した。今期(15年9月期)増収増益見通しや低PBRが評価材料であり、モミ合いから上放れて14年7月高値884円を目指す展開だろう。

 冷蔵倉庫事業を利益柱として、水産品・畜産品・農産品などの食品販売事業も展開している。重点戦略として、低温物流サービスの戦略的ネットワーク展開を掲げ、物流アウトソーシングサービスを軸とした総合低温物流への取り組みを強化している。

 冷蔵倉庫事業は「クールネットワークのリーディングカンパニー」を目指して積極投資を進めている。国内は14年4月に北海道小樽市・石狩第2物流センター、6月に大阪市・夢洲物流センター、10月に宮崎県都城市・都城第2物流センターが竣工した。海外はASEAN地域への展開を本格化し、14年2月タイ・ワンノイ物流センター2号棟が竣工し、3月にはタイ・バンパコン第2物流センター(仮称)を着工(15年7月竣工予定)した。
 
 今期(15年9月期)の連結業績見通し(11月14日公表)は、売上高が前期比1.4%増の1436億30百万円、営業利益が同7.2%増の44億円、経常利益が同3.8%増の42億60百万円、純利益が同36.2%増の25億円、そして配当予想が前期と同額の年間20円(第2四半期末10円、期末10円)としている。

 冷蔵倉庫事業では、前期に稼働して費用が先行していた北海道小樽市・石狩第2物流センター、大阪市・夢洲物流センター、宮崎県都城市・都城第2物流センター、タイ・ワンノイ物流センター2号棟が通期で収益に本格寄与する。食品販売事業は水産品市況などの影響を受けるが、販路拡充や回転率重視の販売などで収益確保に取り組む方針だ。

 14年10月に策定した第5次中期経営計画「Flap The Wings 2017」では、目標数値として17年9月期の売上高1500億円(冷蔵倉庫事業258億円、食品販売事業1242億円)、営業利益57億円、経常利益57億円、純利益32億円、ROE5.1%、配当性向40%以上、EBITDA100億円、自己資本比率52.0%を掲げている。安定・着実な成長で持続的な企業価値向上を目指す方針だ。

 冷蔵倉庫事業での積極投資に伴う償却負担や費用の増加で、当面の利益の伸びが小幅にとどまる可能性もあるが、中期的に収益拡大基調だろう。

 なお株主優待については、毎年9月30日現在の1000株以上保有株主に対して実施している。優待内容は1000株以上~3000株未満保有株主に対して鮭切身詰め合わせ、3000株以上保有株主に対して北海道産ホタテ・いくらセットを贈呈する。

 株価の動きを見ると、14年11月以降は780円~820円近辺の小幅レンジでモミ合う展開だが、14年10月安値764円まで下押す動きは見られず、モミ合い煮詰まり感を強めている。そして1月27日は812円まで上伸している。下値固めが完了して今期増収増益見通しを評価する動きだろう。

 1月27日の終値812円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS48円31銭で算出)は16~17倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は2.5%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1135円88銭で算出)は0.7倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線を突破した。また週足チャートで見ると、戻りを押さえていた26週移動平均線突破の動きを強めている。0.7倍近辺の低PBRも評価材料であり、モミ合い上放れて14年7月高値884円を目指す展開だろう。

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