【アナリスト水田雅展の銘柄分析】翻訳センターは下値を着実に切り上げて調整一巡、中期成長力を評価して出直り

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 翻訳・通訳事業を展開する翻訳センター<2483>(JQS)の株価は、やや上値が重く3400円~3600円近辺でモミ合う展開だが、下値を着実に切り上げている。調整が一巡した形であり、中期成長力を評価して出直り展開だろう。なお2月12日に第3四半期累計(4月~12月)の業績発表を予定している。

 特許・医薬・工業(IT関連)・法務・金融分野を中心として企業向け翻訳サービス事業を展開し、業容拡大に向けて12年9月に通訳・翻訳・国際会議運営のアイ・エス・エス(ISS)を子会社化、13年6月にアイタスからIT関連のローカライゼーション/マニュアル翻訳事業の一部を譲り受けた。また14年10月には、医薬品承認申請・取得に関するメディカルライティング業務を専門に受託する子会社パナシアを設立した。

 翻訳事業ではグループ全体で約6200名の登録者を確保し、対応可能言語は約70言語と国内最大規模である。そして翻訳サービスの需要は企業の知的財産権関連、新薬開発関連、新製品開発関連、海外展開関連、IR・ディスクロージャー関連を中心に拡大基調である。またISSは国際会議運営の実績も豊富であり、20年東京夏季五輪開催に向けて通訳や国際会議の需要増加が予想される。

 14年8月にはコールセンター運営のディー・キュービックと、日本国内におけるマルチランゲージ・コンタクトセンターサービス(在日外国人を顧客とする企業や団体を対象とした通訳・翻訳サービス)に関して、戦略的パートナーとして業務提携した。

 今期(15年3月期)の連結業績見通し(5月14日公表)は売上高が前期比7.1%増の94億円、営業利益が同31.7%増の4億80百万円、経常利益が同33.3%増の4億80百万円、純利益が同50.8%増の2億70百万円、配当予想が同3円増配の年間48円(期末一括)としている。

 第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比4.2%増収、同5.5%営業増益、同10.1%経常増益、同23.8%最終増益だった。コンベンション事業が前年同期の大型スポット案件(第5回アフリカ開発会議)の反動で減収だったが、主力の翻訳事業および通訳事業が好調に推移し、粗利益率の改善や販管費の抑制なども寄与して増収増益だった。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高46.4%、営業利益32.1%、経常利益32.7%、純利益31.9%とやや低水準だが、四半期別の営業利益を見ると、第1四半期(4月~6月)の16百万円に対して、第2四半期(7月~9月)は1億38百万円に改善している。

 第3四半期(10月~12月)以降に翻訳事業で大型案件を予定していることや、第4四半期(1月~3月)の構成比が高い収益構造であることを考慮すれば、通期ベースでの挽回が可能だろう。営業損益は改善基調であり、中期的にも収益拡大が期待される。

 株価の動きを見ると、やや上値が重く3400円~3600円近辺でモミ合う展開だが、14年10月安値3110円、11月安値3155円、12月安値3275円、15年1月安値3355円と下値を着実に切り上げている。

 1月27日の終値3450円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS160円28銭で算出)は21~22倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間48円で算出)は1.4%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1536円34銭で算出)は2.2倍近辺である。

 週足チャートで見ると52週移動平均線が戻りを押さえる形だが、13週移動平均線と26週移動平均線がサポートして着実に下値を切り上げている。調整が一巡した形であり、中期成長力を評価して出直り展開だろう。

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