【株式評論家の視点】農業総研は連続最高益更新を見込む、押し目買い妙味が膨らむ
- 2016/11/1 15:28
- 株式評論家の視点
農業総合研究所<3541>(東マ)は、本年6月10日に東京証券取引所マザーズに上場。主な事業は、「農家の直売所事業」で、同社及び業務委託先が運営する集荷場で登録した生産者から農産物を集荷し、原則翌日にスーパーマーケット等の小売店の直売所コーナーで販売し、生産者とスーパー等を直接つなぐ流通を構築している。8月31日時点で680店舗(前事業年度末比209店舗増)まで拡大。スーパー等に対しては、関東や関西の店舗でのフェアや販促支援を強化し、より多くの農産物が販売できるよう注力しているほか、登録生産者に対しては、相場情報やスーパー等の特売情報等を提供し、より多くの農産物を出荷できるよう注力している。
食の安心・安全への生活者の意識の高まりもあり、今2017年8月期も引き続き高い成長が続くと見込んでいる。前16年8月期に増加した導入店舗や登録生産者が通年で寄与することと、上場による信頼性や知名度向上を活かし、新規スーパー等へ積極的な営業活動及び業務提携を実施し、流通総額の拡大を図っている。特に中部と九州に注力し、関東と関西に次ぐ柱にする方針で、営業人員の積極的な採用とそれを支える管理部門の強化、増加する社員への教育に注力している。
前16年8月期業績実績は、売上高が11億9500万円(前の期比35.2%増)、営業利益が1億5600万円(同3.5倍)、経常利益が1億6200万円(同3.7倍)、純利益が1億0700万円(同2.1倍)に着地。
今17年8月期業績予想は、売上高が15億6000万円(前期比30.6%増)、、営業利益が1億7000万円(同8.6%増)、経常利益が1億6900万円(同4.0%増)、純利益が1億0900万円(同1.9%増)を見込む。
株価は、7月4日に上場来高値7460円、同14日高値7440円と買い直された後、9月20日安値3955円と調整。その後は、モミ合っている。10月に入りNTTドコモと業務提携したと発表。同社に登録する農産業者向けに生産・流通・販売の効率化を目指し、情報通信機器を活用したサービスを展開する。また、紀陽銀行と地方創生に向けた連携協力に関する協定に合意。これを機に全国地方銀行との協定拡大も視野に入れ、全国の地域経済の発展・成長ならびに地域活性化に貢献し、産地拡大や物流拠点を開拓するなど今後業績に寄与する見通し。連続最高益更新を見込んでいるが、前期業績は上方修正していたため、今期会社計画はやや保守的と見られる。足元では25日移動平均線がサポートしており、押し目買い妙味が膨らみそうだ。(株式評論家・信濃川)