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ジェイテックは17年3月期第2四半期累計大幅増益、通期予想も増額余地で収益改善基調
- 2016/11/2 13:32
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ジェイテック<2479>(JQ)は「技術職知財リース事業」の人材サービス事業を展開し、飲食店向け多言語対応注文支援システム「グルくる」やストレスチェック制度導入サポート「こころチェッカー」の拡販も推進している。17年3月期第2四半期累計は大幅増益だった。通期予想にも増額余地があり、収益改善基調が期待される。株価は第2四半期累計利益増額修正を評価して急動意の展開となった。目先的にはやや過熱感もあるが、収益改善基調を評価して水準切り上げの展開だろう。
■技術者派遣の「技術職知財リース事業」が主力
製造業の開発・設計部門に技術者を派遣する「技術職知財リース事業」を主力としている。専門教育による知識を基盤として新たな付加価値を顧客に提供する社員を「テクノロジスト」と呼称し、一般的なエンジニアと区別していることが特徴だ。そして「技術商社」を標榜し、テクノロジストが保有する知恵を提供(リース)することで顧客とともに新たな価値を創造する「技術職知財リース事業」としている。
子会社ジェイテックアーキテクト(12年10月子会社化したエル・ジェイ・エンジニアリングが15年10月商号変更)は建築設計分野の技術者派遣、子会社ジェイテックアドバンストテクノロジ(ジオトレーディングが15年10月商号変更)は製造業向け一般派遣およびエンジニア派遣事業、子会社ジェイテックビジネスサポート(ベンチャービジネスサポートが16年4月商号変更)は15年7月ベンチャー総研グループのヒューマンリソース事業およびポスティング事業の一部を譲り受けて事業開始した。
16年3月期のセグメント別売上構成比は技術職知財リース事業95.3%、一般派遣およびエンジニア派遣事業4.7%だった。
■機械、電気・電子、ソフトウェア、建築の4分野が柱
主力の「技術職知財リース事業」は機械設計開発、電気・電子設計開発、ソフトウェア開発、および建築設計の4分野を柱としている。
16年3月期の顧客業種別売上構成比は、建築関連が27.8%、自動車関連が22.3%、産業用機器関連が17.6%、情報処理関連が8.8%、電子・電気機器関連が8.0%、精密機器関連が4.2%、情報通信機器関連が3.1%、半導体・集積回路関連が1.8%、航空機・宇宙関連が1.4%だった。また売上上位10社の構成比は約48%だった。約170社との取引があり、特定の業界・企業への依存度を低くして業種別・顧客別売上構成比のバランスを維持していることも特徴だ。
■飲食店向け多言語対応注文支援システムを拡販
15年3月飲食店向け多言語対応注文支援システム「グルくる」を発表、16年1月「グルくる」の特許を取得した。NFC(近距離無線通信技術)など先端IT技術を活用し、スマホからNFCタグまたはQRコードを読み取るだけで注文できる。約十カ国後の多言語対応のため外国人旅行客もスムーズに注文できる。
16年5月「グルくる」の事業展開に関して大阪市商店会総連盟(大阪市商連)と協賛企業協定を締結した。大阪市商連会員に会員価格で「グルくる」サービスを提供し、大阪市商連は会員である310の商店会と1万1000の会員を紹介する。
■ストレスチェック制度導入をサポート
16年9月には、ストレスチェック制度導入をサポートする自社開発システム「こころチェッカー」の販売を開始した。改正労働安全衛生法に基づいて、15年12月から50名以上の労働者が在籍する事業場でストレスチェックの実施が義務付けられたことに対応し、厚生労働省に定められた「職業性ストレス簡易調査票」の全57項目に準拠した検査ができる。
■新卒テクノロジストが戦力化する期後半の利益構成比が高い収益構造
四半期別の業績推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期8億27百万円、第2四半期8億18百万円、第3四半期8億46百万円、第4四半期8億57百万円、営業利益が45百万円の赤字、18百万円の黒字、37百万円の黒字、69百万円の黒字、16年3月期は売上高が8億05百万円、8億23百万円、8億39百万円、8億89百万円、営業利益が2百万円の赤字、15百万円の黒字、4百万円の黒字、56百万円の黒字だった。
期後半の利益構成比が高い収益構造である。期前半は新卒テクノロジストの研修期間中の人件費や教育・研修費用が先行するため利益がやや低水準だが、期後半に向けて新卒テクノロジストの戦力化が寄与する。
16年3月期は、稼働率および平均単価が高水準だったが、テクノロジスト確保に伴う採用経費の増加、新規事業に伴う関連費用の増加などで減益だった。売上総利益は15年3月期比9.7%増加し、売上総利益率は24.4%で同2.1ポイント上昇した。販管費は同11.9%増加し、販管費比率は22.2%で同2.3ポイント上昇した。ROEは7.0%で同2.9ポイント低下、自己資本比率は49.5%で同3.6ポイント上昇した。配当は前々期と同額の年間1円(期末一括)で配当性向は18.1%だった。
■17年3月期第2四半期累計は計画超の大幅増益
10月31日発表した今期(17年3月期)第2四半期累計(4~9月)の連結業績(10月27日に売上高を減額、利益を増額)は、売上高が前年同期比3.5%増の16億85百万円、営業利益が同4.7倍の62百万円、経常利益が同4.9倍の62百万円、純利益が同19.3倍の34百万円だった。
テクノロジストの確保難で売上高は計画を下回ったものの増収を確保し、技術者の契約単価上昇および稼働率上昇、販管費見直しによる業務効率化などの効果で計画超の大幅増益だった。売上総利益は同5.4%増加し、売上総利益率は24.5%で同0.4ポイント上昇した。販管費は同7.4%減少し、販管費比率は20.8%で同2.4ポイント低下した。
セグメント別には、技術職知財リース事業の売上高が同1.5%増の15億91百万円で営業利益(連結調整前)が同21.5%増の2億18百万円、一般派遣およびエンジニアリング派遣事業の売上高が同51.6%増の94百万円で営業利益が7百万円の赤字(同6百万円の赤字)だった。技術職知財リース事業では電子・電気機器関連および航空機・宇宙関連の顧客企業からの取引が増加した。一般派遣およびエンジニアリング派遣事業では、ジェイテックビジネスサポートによる取引が増加したが、関連費用も増加した。
なお四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期8億39百万円、第2四半期8億46百万円、営業利益は15百万円、47百万円だった。
■17年3月期通期は据え置いて2桁増収増益予想
今期(17年3月期)通期の連結業績予想は前回予想(5月9日公表)を据え置いて、売上高が前期(16年3月期)比10.0%増の36億92百万円、営業利益が同26.0%増の92百万円、経常利益が同19.2%増の91百万円、純利益が同38.1%増の65百万円としている。配当予想は前期と同額の年間1円(期末一括)で予想配当性向は13.1%となる。
技術職知財リース事業の拡大、飲食店向け多言語対応注文支援システム「グルくる」の代理店開拓、システム開発請負業務の拡大に注力し、ジェイテックビジネスサポートの介護事業への参入など事業領域拡大も寄与して2桁増収増益予想である。通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高45.6%、営業利益67.4%、経常利益68.1%と、純利益52.3%と高水準である。期後半の構成比が高い収益構造であることも考慮すれば、通期予想にも増額余地がありそうだ。収益改善基調が期待される。
■中期経営計画で19年3月期純利益79百万円目指す
中期経営計画では基本戦略として、さらなる成長発展に向けた収益基盤の強化、財務基盤の一層の強化と安定した株主還元、経営理念に基づく新たな挑戦を掲げ、経営目標値は19年3月期売上高42億25百万円、営業利益1億14百万円、経常利益1億12百万円、純利益79百万円としている。
主要取引先の大手製造業では新製品開発など高水準の研究開発投資を継続しているため、自動車関連、産業機器関連、電機・精密機器関連などを中心に、技術開発や製品設計に対応可能なスキルを持つ技術者に対して派遣需要が一段と高まっている。そして改正労働者派遣法もプラス要因となる。人材確保が課題だが、中期的に受注環境は良好だろう。
■株価は増額修正を評価して急動意
株価の動きを見ると、200円近辺でモミ合う展開だったが、10月27日発表の第2四半期累計利益増額修正を評価して急動意の展開となった。10月31日には329円まで上伸する場面があった。
11月1日の終値290円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS7円61銭で算出)は38倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間1円で算出)は0.4%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS81円40銭で算出)は3.6倍近辺である。時価総額は約25億円である。
日足チャートで見ると25日移動平均線に対するプラス乖離率が拡大し、目先的には過熱感もあるが、週足チャートで見ると26週移動平均線に続いて52週移動平均線を一気に突破した。また13週移動平均線が26週移動平均線を上抜いて先高感を強めている。収益改善基調を評価して水準切り上げの展開だろう。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)