クレスコの第2四半期は増収減益だったが受注残高は32%増加

■IBMの人工知能システム「Watson(ワトソン)」連携などAI関連分野が拡大

 情報システムソリューション事業などのクレスコ<4674>(東1)が11月7日に発表した2017年3月期の第2四半期決算(16年4~9月累計、連結)は、円高の影響などにより企業のIT投資姿勢に温度差が見受けられ、事業別にはマダラ模様の展開となり、売上高は前年同期比6.7%増加して147.4億円となった一方、営業利益は同6.4%減の11.3億円、純利益は同14.7%減の8.7億円だった。

 ただ、第1四半期の3ヵ月間の営業利益は4.7億円、同じく純利益は3.7億円だったため、第2四半期の3ヵ月間は第1四半期に比べて増勢の推移となった。

 受注、および受注残高は好調に拡大し、第2四半期の期末の受注高は前年同期比14.6%増加し、受注残高は同じく32.2%増加した。競争力に直結するイノベーションを志向する企業の戦略的なIT投資は衰えず、ソフトウェア開発事業では、一部不採算案件が発生したが、稼働率が改善傾向を続けた。また、組み込み型ソフトウェア開発事業では、車載関連やデジタル家電関連が安定稼働した。■IBMの人工知能システム「Watson(ワトソン)」との連携事業はサービスイン開始

 IBMのAI(人工知能)システム「Watson(ワトソン)」との連携事業は引き合いや受注が増加しており、顧客企業1社にサービスインしたほか、数社と現在進行形になっている。また、AWS(パブリッククラウド)の利用客が増加し、この事業を展開するグループ会社は黒字化を実現した。

■11月14日には眼科領域の画像診断に活用する人工知能システムの研究成果を発表

 また、9月初にはJA(農業共同組合)グループのIT企業エヌシステム(東京都千代田区)を子会社化し、9月下旬の払い込みで追加出資した。エヌシステム社は、旅行業界をはじめ多種多様なフィールドでITコンサルティングや設計・運用まで幅広いソリューションサービスを提供。今後も拡大が予想される旅行業向けのシステム開発体制などを強化する。

 17年3月通期の連結業績見通しは据え置き、売上高は311億円(前期比8.1%増加)、営業利益は27.5億円(同じく10.7%増加)、親会社株主に帰属する純利益は20億円(同じく17.3%増加)、1株利益は176円35銭。

 同社の技術研究所では、新技術の「実装」に向けた取り組みとして、AI(人工知能)、IoT(すべての機器がインターネットで連携化)、ロボティクスなどに関する研究を推進しており、この11月中旬に開催される電子情報通信学会・医療画像研究会(11月14日午前)では、眼科領域における画像診断の補助に活用するAI(人工知能)システムに関する名古屋市立大学大学院・医学研究科との共同研究の成果を発表する予定だ。

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