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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】クリーク・アンド・リバー社は目先的な売りが一巡して切り返し、14年10月高値目指す
- 2015/1/29 07:29
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
エージェンシー事業のクリーク・アンド・リバー社<4763>(JQS)の株価は、第3四半期累計(3月~11月)業績発表を受けて水準を切り下げたが、1月16日593円から切り返し、28日は755円まで上伸して14年12月の戻り高値793円に接近した。目先的な売りが一巡した形だ。今期(15年2月期)業績再増額の可能性や中期成長力を評価して、14年10月高値893円を目指す展開だろう。
日本のクリエイティブ分野(映像・テレビ番組・ゲーム・Web・広告などの制作)で活躍するクリエイターを対象としたエージェンシー(派遣・紹介)事業、ライツマネジメント(著作権管理)事業、およびプロデュース(制作請負・アウトソーシング)事業を主力として、韓国のクリエイティブ分野、医療・IT・法曹・会計などの分野にも事業展開している。
日本のクリエイティブ分野では、13年8月公開のテレビ朝日開局55周年記念劇場公開映画「少年H」(モスクワ映画祭特別賞受賞)の制作を担当したことが評価され、番組制作請負事業が急拡大している。今期(15年2月期)第2四半期累計(3月~8月)の当社制作番組は、レギュラーと特番を合わせて19本となった。
新規分野として電子書籍取次事業、海外版権エージェント事業、そして「作家」「オンラインクリエイター」「建築」「ファッションクリエイター」エージェンシー事業にも展開し、13年12月にはアパレル業界に特化した人材派遣会社インター・ベルを子会社化した。14年9月にはクラウド関連サービスとして、クリエイティブプラットフォーム「Creators Ship(クリエイターズ・シップ)」のサービス提供を開始した。
今期(15年2月期)の連結業績見通し(9月25日に利益を増額修正)は売上高が前期比11.6%増の230億円、営業利益が同28.1%増の14億円、経常利益が同28.2%増の14億円、純利益が同42.5%増の7億円、配当予想(4月3日公表)が同1円増配の年間6円(期末一括)としている。
全セグメントが好調に推移する見通しだ。クリエイティブ分野(日本)では高付加価値のテレビ番組制作請負や大規模Webサイト制作請負などが増加基調であり、新規事業も規模拡大に伴って順次収益化する。
第3四半期累計(3月~11月)は前年同期比13.4%増収、同23.5%営業増益、同25.2%経常増益、同57.5%最終増益で、第3四半期累計として過去最高を更新した。全セグメントが増収営業増益と好調に推移し、新規事業の先行費用などを吸収した。売上総利益率は32.2%で同0.5ポイント上昇し、売上高販管費比率は25.8%で同0.1ポイント低下した。
そして通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75.4%、営業利益が78.4%、経常利益が79.7%、純利益が88.4%と高水準である。新規エージェンシー事業の需要増に対応した拡大投資、ゲーム・アプリの自社開発・制作拠点拡充などの積極投資に加えて、医療分野が季節要因で第4四半期(12月~2月)が赤字となることや、IT分野で売上計上の期ズレが発生する可能性なども考慮して通期会社見通しを据え置いたが、再増額の可能性が高いだろう。
中期成長戦略では、既存事業で年率10~15%の成長を見込み、クラウド関連サービスを含めた新規事業分野の積み上げや収益化も寄与して、18年2月期に売上高300億円、営業利益30億円をイメージしている。ロボット、バイオ、ファイナンシャル、シェフなどの分野への新規進出も想定しているようだ。中期的に収益拡大基調だろう。
株価の動きを見ると、1月8日の第3四半期累計業績発表を受けて水準を切り下げたが、1月16日の593円から切り返しの動きを強めている。28日は755円まで上伸して14年12月の戻り高値793円に接近した。目先的な売りが一巡して今期好業績見通しを評価する動きだろう。
1月28日の終値755円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS33円02銭で算出)は22~23倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間6円で算出)は0.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS185円70銭で算出)は4.1倍近辺である。
日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線を突破して上伸した。強基調に回帰した形であり、今期業績見通し再増額の可能性や中期成長力を評価して、14年10月高値893円を目指す展開だろう。