【アナリスト水田雅展の銘柄分析】スターティアは調整の最終局面、中期成長力を評価して反発

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 電子書籍関連のスターティア<3393>(東1)の株価は、14年10月安値1552円を割り込んで1月15日には1519円まで調整した。ただし1500円台では下げ渋り感を強めている。調整のほぼ最終局面のようだ。中期成長力を評価して反発のタイミングだろう。なお1月30日に第3四半期累計(4月~12月)の業績発表を予定している。

 電子ブック作成ソフト「ActiBook」やWebアプリケーションを開発・販売するウェブソリューション関連事業、ネットワークアウトソーシング環境やクラウドサービスを提供するネットワークソリューション関連事業、ビジネスホンやMFP(複合機)などOA機器を販売するビジネスソリューション関連事業を展開している。

 大手との競合が少ない従業員300人未満の中堅・中小企業をターゲットとして、ITインフラのワンストップソリューションを提供するとともに、ストック型収益の向上を推進している。アジア市場へも本格的に事業展開する方針だ。なお14年3月期末の自己資本比率は75.0%である。無借金経営であり財務の健全性の高さも特徴だ。

 業容拡大に向けてM&A・アライアンス戦略も積極推進している。14年8月にはホスティングサービス運用や独自ハードウェア開発などを展開するエーティーワークスと資本・業務提携(17年3月末までに株式25%取得予定)した。また個人・法人向けにPCトラブル訪問サービスを展開する日本PCサービス<6025>と業務提携した。

 9月には就職活動支援サイト運営のカケハシプロモーションと資本業務提携(議決権制限付きのため連結対象外)した。11月には回線敷設代行業務や一括請求サービスを展開する子会社クロスチェックを設立した。12月にはシステムインテグレーションのネクストイットの技術本部の一部(常駐派遣事業など)および技術者21名を承継した。

 なお14年12月には一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)に加盟した。経済界との交流や対話など積極的な活動を通じて企業価値の向上を図り、一層責任のある立場として社会的責任を担っていくとしている。

 1月5日には電子ブック作成ソフト「ActiBook」の提供を行う子会社スターティアラボが、アジアでの事業強化に向けて台湾支店を開設した。また1月26日には電子書籍配信サービス「ActiBooks」の管理画面を改良して、電子書籍ダウンロード数の閲覧機能を追加した。

 今期(15年3月期)の連結業績見通し(5月9日公表)は、売上高が前期比13.2%増の92億48百万円、営業利益が同1.3%増の8億40百万円、経常利益が同1.2%増の8億66百万円、純利益が同0.2%増の4億33百万円としている。

 配当予想(10月23日に修正)は年間12円83銭(第2四半期末5円、期末7円83銭)としている。前期の年間15円(期末一括)との比較では2円17銭減配の形だが、前期は記念配当6円45銭を含んでいるため、普通配当に関しては4円28銭増配となる。

 第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比9.8%増収、同6.8%営業増益、同32.7%経常増益、同64.4%最終増益だった。ウェブソリューションが同5.7%増収、ネットワークソリューションが同15.8%増収、ビジネスソリューションが同8.5%増収と好調に推移した。人材募集費用や人件費の増加が想定を下回り、持分法投資利益や投資有価証券売却益も寄与して計画を大幅に上回る増益だった。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高43.7%、営業利益30.1%、経常利益37.0%、純利益54.7%で、営業利益進捗率が低水準だった。しかし営業利益の四半期別計画は、第1四半期(4月~6月)が新卒採用など先行投資の影響で99百万円の赤字、第2四半期(7月~9月)が2億37百万円、第3四半期(10月~12月)が2億13百万円、第4四半期(1月~3月)が4億89百万円と下期偏重の計画である。

 通期ベースでもウェブソリューション、ネットワークソリューション、ビジネスソリューションとも好調に推移する見通しだ。利益面では新卒採用、ホスティングサービスでのセキュリティ強化、アジア地域への事業展開など、中期成長に向けた先行投資負担で微増益にとどまる見通しとしているが、第2四半期累計の利益が計画を大幅に上回ったことに加えて、ストック収益も拡大基調である。通期会社見通しには増額余地があるだろう。

 14年8月発表の「新・中期3ヵ年利益計画」では、連結経常利益の目標値として15年3月期8億86百万円、16年3月期11億34百万円、17年3月期14億円を掲げている。

 初年度15年3月期は先行投資負担で小幅な伸びにとどまるが、2年目16年3月期以降は先行投資を平常に戻しつつ、安定的な成長を継続するとしている。規模拡大や継続的成長に向けてM&A・アライアンス戦略も積極推進する方針だ。中期的に収益拡大基調だろう。

 株価の動きを見ると、1800円近辺でのモミ合いから下放れて調整局面となり、14年10月安値1552円を割り込んで1月15日には1519円まで調整した。ただし1500円台では下げ渋り感を強めている。調整の最終局面のようだ。

 1月28日の終値1537円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS85円51銭で算出)は18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間12円83銭で算出)は0.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS689円67銭で算出)は2.2倍近辺である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んで調整局面だが、下げ渋り感も強めている。中期成長力を評価して反発のタイミングだろう。

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