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マルマエは08年来の1000円台乗せ、17年8月期減益予想だが増額の可能性
- 2016/11/16 08:15
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
マルマエ<6264>(東マ)は半導体・FPD製造装置に使用される真空部品などの精密切削加工事業を展開している。17年8月期は市場変動の大きさを考慮して減益予想だが、受注環境は良好であり増額の可能性が高いだろう。株価は5月高値を突破し、08年来となる1000円台に乗せた。好業績を評価して上値を試す展開だろう。
■真空部品や電極などの精密切削加工事業を展開
半導体・FPD(フラットパネルディスプレー)製造装置に使用される真空部品や電極などの精密切削加工事業を展開し、新規分野として光学装置・通信関連分野なども強化している。
15年1月に事業再生計画(11年7月事業再生ADR成立)を終結した。16年10月の最終弁済をもって終了する計画だったが、強固な収益体質の確立と財務体質の改善に目途がついたため前倒しした。債務の株式化を行ったA種優先株式については15年5月に取得(246株、1株につき100万円)して消却した。
■収益改善基調、財務改善も進展して15年8月期に初配当を実施
15年8月期の四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期3億84百万円、第2四半期6億39百万円、第3四半期5億59百万円、第4四半期5億42百万円、営業利益は41百万円、1億30百万円、1億40百万円、1億39百万円だった。15年8月期は半導体分野およびFPD分野の好調な受注が牽引した。収益改善基調である。
15年8月期の売上総利益率は30.9%で14年8月期比2.6ポイント上昇した。販管費比率は9.7%で同1.7ポイント低下した。ROEは100.7%で同22.9ポイント低下、自己資本比率は32.7%で同10.3ポイント上昇、BPSは135円80銭で14年8月期の28円68銭から大幅に改善した。また96年マザーズ上場以来初となる年間36円(期末一括)の配当を実施した。配当性向は11.3%だった。
■16年8月期は営業増益、受注好調
前期(16年8月期)非連結業績は売上高が前々期(15年8月期)比5.6%増の22億42百万円となり、営業利益が同8.5%増の4億88百万円、経常利益が同5.1%増の4億58百万円だった。受注堅調で増収、営業増益、経常増益だった。純利益は税金費用増加で同35.0%減の3億63百万円だった。
分野別受注高は半導体分野が同2.7%増の12億69百万円、FPD分野が同9.3%増の8億28百万円、その他分野が同94.1%減の21百万円、売上高は半導体分野が同2.6%増の12億05百万円、FPD分野が同64.6%増の9億47百万円、その他分野が同76.2%減の89百万円だった。
コスト面では労務費、減価償却費、研究開発費などが増加したが、FPD分野増収によるプロダクトミックス改善、生産性向上効果などで営業増益だった。売上総利益は同14.0%増加し、売上総利益率は33.3%で同2.4ポイント上昇した。販管費は同26.0%増加し、販管費比率は11.5%で同1.8ポイント上昇した。特別利益では補助金収入87百万円を計上した。ROEは42.9%で同57.8ポイント低下、自己資本比率は38.1%で同5.4ポイント上昇した。
配当は年間15円(第2四半期末7円、期末8円)とした。15年9月1日付株式3分割を考慮して前々期(15年8月期)の年間36円を12円に換算すると、実質的に3円増配となる。配当性向は21.7%である。
なお四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期6億19百万円、第2四半期5億32百万円、第3四半期4億84百万円、第4四半期6億07百万円、営業利益は1億55百万円、1億12百万円、90百万円、1億31百万円だった。
■17年8月期減益予想だが保守的、受注環境良好で増額の可能性
今期(17年8月期)の非連結業績予想(10月7日公表)については、売上高が前期(16年8月期)比2.6%増の23億円で、営業利益が同18.1%減の4億円、経常利益が同17.1%減の3億80百万円、純利益が同27.6%減の2億63百万円としている。配当予想は同1円増配の年間16円(第2四半期末8円、期末8円)としている。予想配当性向は32.0%となる。
半導体分野、FPD分野とも市場変動が大きいことを考慮して保守的な見通しとしている。ただし受注環境は良好であり増額の可能性が高いだろう。
■月次受注は拡大見通し
16年10月度の月次受注残高(速報値)は、半導体分野が2億66百万円(前月比3.7%減、前年同月比99.5%増)で、FPD分野が1億19百万円(前月比14.8%増、前年同月比52.3%減)だった。その他分野は7百万円(前月比52.8%減、前年同月比68.6%減)だった。そして合計は3億93百万円(前月比0.7%減、前年同月比3.2%減)となった。高水準を維持している。
半導体分野は受注・売上検収とも高水準で推移している。微細化投資や3D NAND投資の拡大で引き続き好調を維持する見込みだ。FPD分野は売上検収が順調に推移している。そして受注は一時的に停滞していたが、有機EL関連やテレビ向け第10.5世代大型パネル関連の新規受注が拡大し始めている。
■新中期事業計画でロボット分野への参入も推進
15年10月に新中期事業計画「Evolution2018」(16年8月期~18年8月期)を策定した。
半導体分野は微細化投資の本格化に対応して、洗浄分野への参入やエッチング分野の試作強化を推進する。FPD分野は8Kなどで需要拡大が見込まれるため、自社における設備投資ではなく、協力企業の拡大によって需要変動に対応する。その他分野では自動車関連やロボット関連市場に参入し、生産余力の効率的活用と協力企業の拡大を図る。
半導体分野を成長ドライバーとする既存事業のブラッシュアップに加えて、現業とのシナジー効果や半導体・FPD分野の需要変動に対するリスクヘッジとして、売上高20億円規模までの中小企業を対象としてM&Aも積極活用する方針だ。M&Aは半導体洗浄・樹脂パーツや自動車・ロボット部品などを想定している。
15年12月には鹿児島大学大学院理工学研究科との共同研究契約を締結した。リハビリ装置の研究開発と作業筋力補助ロボットの研究開発の2件について、早期の実用化を目指して共同研究する。市場ニーズの高さを考慮し、脳卒中の後遺症として腕や足に残る運動麻痺の改善を狙うリハビリ装置の製品化を先行し、腕の麻痺改善装置の開発に着手している。
経営数値目標としては、18年8月期の連結売上高40億円、営業利益10億円(単体ベースで売上高30億円、営業利益7億円、M&Aで売上高10億円、営業利益3億円)を掲げている。株主還元としては配当性向35%以上(順次向上)を目指している。また計画期間中に東証1部への市場変更を目指す方針だ。
■株価は5月高値突破して08年来の1000円台乗せ
株価の動きを見ると、5月高値904円を突破し、11月2日に1000円まで上伸して08年以来となる1000円台に乗せた。そして11月15日には1084円まで上伸した。
11月15日の終値1067円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS49円99銭で算出)は21~22倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は1.5%近辺、前期実績PBR(前期実績BPS185円80銭で算出)は5.7倍近辺である。時価総額は約60億円である。
日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって上昇トレンドの形だ。需給面は良好であり、好業績を評価して上値を試す展開だろう。