セキドはオークファンとの資本業務提携協議開始を好感して底放れ

 セキド<9878>(東2)は海外ブランド品などを扱うファッション専門店チェーンを展開している。17年3月期第2四半期累計は計画を下振れたが、収益力強化に向けてブランド中古品販売や、美容分野「マスク・シート」拡販も強化し、17年3月期黒字化予想である。11月14日にオークファン<3674>との資本業務提携の協議開始を発表した。これを好感して15日の株価はストップ高に急伸した。底放れとなって戻りを試す展開が期待される。

■ファッション専門店事業を展開

 12年10月に家電の店舗販売事業から撤退してファッション専門店事業に経営資源を集中し、海外ブランド品などを扱うファッション専門店「GINZA LoveLove」「Super Select Shop LoveLove」を直営で展開している。

 14年7月にラオックス<8202>と業務提携し、ネット通販についてはストリーム<3071>と業務提携している。訪日外国人旅行客のインバウンド需要対応で15年6月から既存23店舗すべてで免税販売を開始した。

 収益力強化に向けた中期成長戦略として「GINZA LoveLove」ブランディング強化、インバウンド対応強化、既存店リニューアルやオペレーション効率化、小売法人向け商品供給や販売業務委託事業の強化、EC事業の強化などを推進している。さらに新品販売への相乗効果も狙ったブランド中古品販売やレンタル分野、輸入総代理店となった美容分野「マスク・シート」拡販も強化する方針だ。

■美容分野「マスク・シート」やブランド中古品買取・販売も強化方針

 美容分野として、韓国および中国でヒット商品となっている「マスク・シート」の輸入総代理店となり、16年3月に「LEADERS(リーダース)」直営1号店となるLEADERS札幌ノルベサ店(札幌市中央区)をオープンした。今後は卸売を中心に業容を拡大させる方針だ。

 また一部店舗で新たにブランド中古品の買取・販売を開始した。新品を扱う店舗とは別の屋号「eASRER(イースター)」で展開し、アライアンス戦略も活用して業容を拡大させる方針だ。さらにブランド品レンタル事業への進出も検討しているようだ。

 16年4月GINZA LoveLoveイオンモール熱田店(名古屋市)をオープンし、16年4月末店舗数(LEADERS札幌ノルベサ店含む)は合計24店舗(関東12店舗、東海5店舗、東北2店舗、甲信越・北陸2店舗、近畿2店舗、北海道1店舗)だった。

 なお16年9月GINZA LoveLove銀座店、11月GINZA LoveLoveイオンタウン上里店を閉店した。一方で期間限定店舗(16年11月7日~17年1月29日)GINZA LoveLove ANNEX 越谷レイクタウン店をオープンした。

■個人消費の影響を受け、クリスマス商戦など季節要因も強い収益構造

 11月14日、国内最大級のショッピング・オークション相場検索サイトを運営するオークファン<3674>との資本業務提携の協議開始を発表した。資本業務提携契約書締結は11月中の予定としている。

 インターネット販売事業およびリユース事業において、オークファンとの協業により、仕入れ・品揃え・販売促進の他、経営効率を高めるための情報共有等を行い、新品からリユースまでの循環型ビジネスを創造する。

■個人消費の影響を受け、クリスマス商戦など季節要因も強い収益構造

 四半期別の業績推移を見ると、15年2月20日期は売上高が第1四半期24億円、第2四半期21億99百万円、第3四半期20億74百万円、第4四半期34億95百万円、営業利益が69百万円の赤字、1億63百万円の赤字、1億91百万円の赤字、2億63百万円の赤字、16年3月20日期(決算期変更で第4四半期が4ヶ月)は売上高が22億68百万円、25億26百万円、21億10百万円、36億95百万円、営業利益が1億03百万円の赤字、56百万円の赤字、1億03百万円の赤字、28百万円の赤字だった。

 個人消費の影響を受けやすく、クリスマス商戦などの季節要因も強い収益構造である。16年3月20日期(13ヶ月決算)は、個人消費低迷やインバウンド需要一巡の影響、一部店舗の固定資産に係る減損損失計上などで計画を下回ったが、15年2月20日期との比較では赤字が縮小した。また売上総利益率は23.2%で1.3ポイント上昇、販管費比率は25.9%で2.8ポイント低下した。自己資本比率は39.8%で0.1ポイント上昇した。配当は無配を継続した。

■17年3月20日期第2四半期累計は計画下振れ

 11月4日発表した今期(17年3月20日期)第2四半期累計(3月21日~9月20日)の非連結業績は売上高が39億18百万円、営業利益が2億31百万円の赤字、経常利益が2億54百万円の赤字、純利益が3億07百万円の赤字だった。

 計画(5月6日公表)に対して売上高は5億62百万円、営業利益は1億61百万円、経常利益は1億54百万円、純利益は1億87百万円、それぞれ下振れた。個人消費停滞やインバウンド需要の減速で売上高が計画を下回り、売上総利益が減少した。また不採算店舗1店舗閉鎖に伴って特別損失に固定資産除却損などを計上した。

 売上総利益率は22.8%、販管費比率は28.7%だった。なお前期(16年3月20日期、13ヶ月決算)の第2四半期累計は2月21日~8月21日で期間が異なるため単純比較はできないが、売上総利益率23.1%、販管比率26.5%だった。店舗展開は新規1店舗の出店、既存2店舗の改装、不採算店1店舗の閉店を実施した。

 セグメント別に見ると、ファッション部門は売上高が37億69百万円で営業利益が57百万円の赤字、賃貸部門は売上高が72百万円で営業利益が26百万円、その他は売上高が76百万円で営業利益が5百万円の赤字だった。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期18億80百万円、第2四半期20億38百万円、営業利益は95百万円の赤字、1億36百万円の赤字だった。

■17年3月20日期通期(12ヶ月決算)は黒字化予想

 今期(17年3月20日期、12ヶ月決算)通期の非連結業績予想は、前回予想(5月6日公表)を据え置いて売上高が97億40百万円、営業利益が1億円、経常利益が40百万円、純利益が10百万円の黒字化予想としている。早期の業績回復を目指し、資産入れ替えによる収益力の強化、経営効率の改善、コスト構造のさらなる見直しに取り組み、黒字転換を図るとしている。

 ファッション事業においては、大型ショッピングモールへの出店を再開するとともに、商品在庫と人材を個々の店舗の戦略に合わせて配分し、費用対効果の高い販促策を実施する。急成長しているEC部門では、実店舗との販促企画および販促商材を共有するメリットを最大限に生かしてリピーターの獲得に努める。またコスト構造の見直しについては、営業面での販促戦略コスト削減に加えて、間接コストの見直しによる削減を行うとしている。配当予想は無配継続としている。

■決算期変更で株主優待の基準日変更

 決算期変更(事業年度の末日を毎年2月20日から毎年3月20日に変更)に伴って株主優待制度の基準日を変更した。変更後は毎年3月20日および9月20日現在で1000株以上所有株主に対して実施する。ただし前期(16年3月20日期)は経過期間として変則決算(13ヶ月決算)のため、前期に限っては9月20日ではなく8月20日とした。

 優待内容については変更なく、1000株以上所有株主に対して一律「株主ご優待券5%割引券」5枚、3000株以上所有株主に対して「1000株あたり500円のお買い物券+株式数に応じたお買い物券」を贈呈する。2年以上継続保有の株主に対しては「お買い物券」が上乗せされる(詳細は会社ホームページ参照)。

■株価はオークファンとの資本業務提携協議開始を好感して底放れ

 株価の動きを見ると、11月14日発表のオークファンとの資本業務提携協議開始を好感し、15日はストップ高の109円まで急伸した。

 11月15日の終値109円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想EPS71銭で算出)は154倍近辺、前期実績PBR(前期実績BPS164円98銭で算出)は0.7倍近辺である。時価総額は約15億円である。

 週足チャートで見ると戻りを押さえていた26週移動平均線に続き、52週移動平均線も一気に突破した。底放れして戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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