【アナリスト水田雅展の銘柄分析】建設技術研究所は調整一巡感、今期好業績に対する期待感で切り返しのタイミング

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 建設コンサルタント大手の建設技術研究所<9621>(東1)の株価は、1900円台の高値圏から反落して1月22日には1413円まで調整した。ただし28日は1480円まで戻して調整一巡感を強めている。今期(15年12月期)好業績に対する期待感で切り返しのタイミングだろう。

 総合建設コンサルタントの大手で河川・ダム・海岸・海洋、道路、橋梁、トンネル、都市・地方計画などの分野に強みを持ち、中期経営計画では防災・減災計画関連、都市計画関連、環境関連などを重点分野と位置付けて、再生エネルギーを活用するスマートコミュニティ、民間資金を活用するPFI・PPP事業、そして鉄道や物流などの分野への取り組みも強化している。

 13年9月には農業・農村関連ビジネスへの参入を視野に入れて子会社CTIフロンティアを立ち上げた。14年4月には太陽光発電事業に着手した。

 なお1月7日には、山口県下関市内の小屋川ダム再開発の本体設計業務を受注したと発表している。小屋川ダムは1955年竣工以来60年近い歳月が経過しており、全国的にも事例の少ない「ダム堤体嵩上げ」の設計業務である。

 前期(14年12月期)の連結業績見通し(7月14日に利益を増額修正)は、売上高が前々期比11.2%増の405億円、営業利益が同44.8%増の22億円、経常利益が同40.3%増の23億円、純利益が同32.4%増の13億円、配当予想(2月14日公表)が前々期と同額の年間18円(期末一括)としている。豊富な受注残の消化や原価率改善の効果などで大幅増収増益見通しだ。

 第3四半期累計(1月~9月)は前年同期比14.4%増収、2.2倍営業増益、2.1倍経常増益、2.1倍最終増益で、通期見通しに対する進捗率は売上高が74.5%、営業利益が103.4%、経常利益が102.4%、純利益が103.2%だった。公共工事の比率が高まる年度末(1月~3月)が当社の第1四半期(1月~3月)にあたる収益構造を考慮しても高水準だ。通期利益再増額の期待が高まる。

 防災・減災関連、老朽化インフラ補修・更新関連、都市再開発関連、20年東京夏季五輪関連、リニア新幹線関連など建設ビッグプロジェクトが目白押しであり、アベノミクス重点戦略の「地方創生」も追い風となる。今期(15年12月期)も好業績が期待され、中期的に良好な事業環境を背景として収益拡大基調だろう。

 株価の動きを見ると1900円台の高値圏から反落して水準を切り下げた。1月22日には1413円まで調整した。利益確定売りが続いて調整局面だ。ただし28日は1480円まで戻して調整一巡感を強めている。

 1月28日の終値1476円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS91円93銭で算出)は16倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間18円で算出)は1.2%近辺、前々期実績PBR(前々期実績の連結BPS1504円86銭で算出)は1.0倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線が抵抗線となって水準を切り下げたが、52週移動平均線が接近して調整の最終局面のようだ。今期好業績に対する期待感で切り返しのタイミングだろう。

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