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電算システムは上げ一服だが戻り歩調に変化なし、16年12月期増収増益・連続増配予想でAI関連も注目
- 2016/11/24 08:41
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
電算システム<3630>(東1)は情報サービス事業と収納代行サービス事業を展開し、クラウドサービスも強化している。収納代行サービスの伸長などで16年12月期第3四半期累計が2桁増益となり、通期も2桁増益予想、そして連続増配予想である。10月には世界初のAI搭載クラウド型ERPパッケージ「HUE」を提供するワークスアプリケーションズとの資本業務提携を発表している。株価は上げ一服の形だが、AI関連としても注目される。戻り歩調に変化はなく上値を試す展開だろう。
■情報サービス事業と収納代行サービス事業を展開
情報サービス事業(SI・ソフト開発、情報処理サービス、商品販売)、および収納代行サービス事業(コンビニ収納代行、郵便振替決済代行、ネットショッピング決済、電子マネー決済など)を展開し、クラウドサービスや電子マネー対応などを強化している。
15年12月期の売上高構成比は情報サービス事業52.2%(SI・ソフト開発31.3%、情報処理サービス15.7%、商品販売5.2%)、収納代行サービス47.8%、営業利益構成比(連結調整前)は情報サービス事業47.1%、収納代行サービス52.9%だった。
■IT企業として初めて収納代行サービスを開始
収納代行サービスは97年にIT企業として初めて、コンビニエンスストアを利用した料金支払(収納代行)サービスを開始した。現在は総合決済サービスプロバイダーとして全国7万以上のコンビニエンスストアおよび郵便局でサービスを提供し、年間取扱件数は1億45百万件に達している。
11年には国際送金サービス事業の米国ウエスタンユニオンの代理店となり、大手コンビニエンスストアのマルチメディア端末を利用したコンビニ・ウエスタンユニオン国際送金サービスを展開している。16年2月には当社、米国ウエスタンユニオン、サークルKサンクスの3社が、マルチメディア端末「Kステーション」が設置されている全国のサークルKとサンクス約6300店において、米国ウエスタンユニオンの世界各国の提携拠点に送金が可能な国際送金サービスを開始した。
16年3月には、フィリピン最大手の収納代行窓口企業シーアイエスバヤドセンター(CBCI)と収納代行サービス事業に関する合意覚書を締結した。日本で提供している収納窓口サービス(サービス名:ビズエージェントBiz@gent)を、フィリピン国内の小売業店舗で収納代行の取り扱いができるように専用ソフトウェアとして開発し、共同でフィリピンの市場開拓を推進する。当社にとって最初の海外展開となる。
■中期成長に向けてM&A・アライアンス戦略も推進
中期成長に向けてM&A・アライアンス戦略も推進している。13年10月NTTドコモ<9437>と業務提携した。14年9月全国約2000ヶ所のガソリンスタンド向けに勘定系システムや情報系システムを提供しているガーデンネットワークを子会社化した。当社と商圏が競合していないためシナジー効果が期待される。
15年8月には録画した動画やライブ中継を視聴者限定で安全に配信できるクラウド型サービス「Bizclasstream(ビズクラストリーム)」の提供を開始した。ストリーミング・ライブ映像配信サービス「classtream(クラストリーム)」で多くの実績を持つアイ・ピー・エル社と当社のサービス開発力を融合したクラウド型利用者限定動画配信サービスである。
16年9月ゴーガを子会社化(出資比率51.08%)すると発表した。06年設立のゴーガは位置情報サービスと情報分析サービスを展開し、設立当初からグーグルの地図開発パートナーとして認定されている。14年には日本のパートナーとしては初となるJAPAC Partner of Yearを受賞した。
16年10月には、イーコンテクストと提携して16年8月から、スーパーマーケットやドラッグストアでのペーパーレス決済サービスの取り扱いを開始したと発表している。スーパーマーケットやドラッグストアでのペーパーレス決済サービスは業界初となる。ペーパーレス決済の取扱窓口を18年8月までに、スーパーマーケットやドラッグストアを中心に2000店舗の窓口での開始を目指す。
■AI関連にも参入
10月17日にはワークスアプリケーションズとの資本業務提携を発表した。ワークスアプリケーションズが15年12月リリースした世界初の人工知能(AI)搭載クラウド型ERPパッケージ「HUE」の導入・運用支援および周辺開発など、3領域での協業関係を深化させる。
なお11月22日にワークスアプリケーションズとの資本業務提携に係る詳細を定めた株式引受契約書の締結を発表している。当社は第三者割当増資によってワークスアプリケーションズの普通株式18万6000株を約1億円で引き受ける。払込は11月29日で持分比率は1%未満となる。
■ソフト開発の案件別採算性が収益変動要因
四半期別業績推移を見ると、14年12月期は売上高が第1四半期70億45百万円、第2四半期61億07百万円、第3四半期62億53百万円、第4四半期70億89百万円、営業利益が5億32百万円、1億05百万円、2億12百万円、3億05百万円、15年12月期は売上高が69億77百万円、71億71百万円、70億16百万円、77億92百万円、営業利益が3億58百万円、1億07百万円、2億円、3億77百万円だった。
ソフト開発では案件別の規模や採算性などが収益変動要因となる。15年12月期はソフト開発の不採算案件発生が影響して減益だった。売上総利益率は16.1%で14年12月期比1.2ポイント低下、販管費比率は12.5%で同0.4ポイント低下した。ROEは8.6%で同0.8ポイント低下、自己資本比率は26.2%で同1.5ポイント低下した。配当性向は33.9%だった。配当政策については資本効率を重視するとともに、配当性向30%超を目標としている。
■16年12月期第3四半期累計は2桁増益
今期(16年12月期)第3四半期累計(1~9月)連結業績は、売上高が前年同期比4.7%増の221億61百万円で、営業利益が同10.7%増の7億37百万円、経常利益が同12.4%増の7億66百万円、純利益が同24.4%増の5億13百万円だった。収納代行サービスは順調だったが、情報サービス事業で新たなギフト処理サービス立ち上げ費用がかさみ、全体として減益だった。
売上総利益は同5.6%増加し、売上総利益率は16.0%で同0.1ポイント上昇した。販管費は同4.3%増加したが、販管費比率は12.7%で同横ばいだった。特別利益には補助金収入1億12百万円を計上し、特別損失には固定資産圧縮損92百万円を計上した。
セグメント別に見ると、情報サービス事業は売上高が同0.6%増の111億円で営業利益(連結調整前)が同28.7%増の2億53百万円だった。地方公共団体向け大型機器販売が一巡したが、情報処理サービスでは各種ギフト処理サービス、地方公共団体向け処理、請求書作成代行など、SI・ソフト開発および商品販売ではクラウド関連サービス、オートオークション業務システム、ERPパッケージなどの案件が順調だった。利益面では情報処理サービスにおいて新たなギフト処理サービス立ち上げ費用が増加したが、SI・ソフト開発で利益率の高い案件を獲得したことも寄与して大幅増益だった。
収納代行サービスは売上高が同9.2%増の110億60百万円で営業利益が同22.6%増の4億74百万円だった。地方自治体を含む新規取引先の獲得が順調に推移した。スーパーマーケットやドラッグストアチェーン店舗向け収納窓口サービス導入店舗数も順調に増加した。
なお四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期72億20百万円、第2四半期75億57百万円、第3四半期73億84100万円、営業利益は1億99百万円、2億10百万円、3億28百万円だった。
■16年12月期通期は増収増益予想、そして連続増配予想
今期(16年12月期)通期の連結業績予想(1月29日公表)は売上高が前期(15年12月期)比8.8%増の315億円、営業利益が同21.9%増の12億70百万円、経常利益が同19.2%増の12億78百万円、純利益が同22.7%増の8億10百万円としている。不採算案件の一巡、ガーデンネットワークの通期連結、収納代行サービスの伸長などで増収増益予想である。配当予想は同1円増配の年間24円(第2四半期末12円、期末12円)で予想配当性向は29.0%となる。
情報処理サービスではBPO(情報処理アウトソーシング)業務の量的拡大、効率的かつ効果的な人員配置や作業効率化などに取り組む。SI・ソフト開発ではプライム事業の促進、コアパートナーとの連携や大手システムインテグレーターとの協業の強化などで、1件当たり取引規模の拡大に取り組む。クラウドサービスの拡販やアプリケーションの開発にも取り組む。商品販売では新バージョンの歯科医向けパッケージソフトウェアを拡販する。収納代行サービス事業では、非対面取引市場向け決済サービスの拡大、国内送金サービスの拡大、国際送金サービスの拡大に取り組む。
通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が70.4%、営業利益が58.0%、経常利益が59.9%、純利益が63.3%である。低水準の形だが第4四半期の構成比が高い収益構造のため通期ベースでも好業績が期待される。
■株主優待制度は毎年12月末に実施
株主優待制度は毎年12月31日時点の1単元(100株)以上所有株主に対して実施している。7月29日に15年12月期末の優待内容を発表し、岐阜・西濃地方を主とした特産品(3000円相当品7点の中から1点を選択)とした。
■株価は上げ一服だが戻り歩調に変化なし
株価の動きを見ると、安値圏1400円~1500円近辺でのモミ合いから上放れて10月4日に1774円まで上伸する場面があった。11月以降は1700円近辺で推移して上げ一服の形だが、下値を切り上げて戻り歩調に変化はないだろう。
11月22日の終値1702円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS83円50銭で算出)は20~21倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間24円で算出)は1.4%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS812円42銭で算出)は2.1倍近辺である。なお時価総額は約171億円である。
日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって上昇トレンドだ。戻り歩調に変化はなく上値を試す展開だろう。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)