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インテージホールディングスは自律調整一巡して上値試す、17年3月期増益・4期連続増配予想でAI関連も注目
- 2016/11/28 09:16
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
インテージホールディングス<4326>(東1)は市場調査の国内最大手である。消費財・サービス分野のマーケティング支援事業が好調に推移して、17年3月期第2四半期累計は増収増益だった。通期も増収増益予想、そして4期連続増配予想である。株価は10月の年初来高値から一旦反落したが、ビッグデータ・AI関連としても注目され、自律調整が一巡して上値を試す展開だろう。
■市場調査大手の持株会社、システムソリューションなども展開
子会社インテージが展開するSCI(全国個人消費者パネル調査)やi-SSP(インテージシングルソースパネル)など、国内首位の市場調査事業を主力として、システムソリューション分野や医薬情報分野にも事業展開している。
16年10月にはAMA(アメリカ・マーケティング協会)が発行する「THE 2016 AMA GOLD GLOBAL TOP 25 Report」でグローバルマーケティングリサーチ企業25社が発表され、インテージグループは、昨年に引き続き、世界9位という結果になった。
収益力強化に向けたグループ再編を推進し、14年6月子会社アスクレップの臨床開発事業を承継したエーケーピーを伊藤忠商事<8001>に譲渡した。アスクレップは医薬情報事業を継続する。15年4月コンサルティング事業を強化するため子会社インテージコンサルティングを設立、15年10月子会社インテージがビッグデータのクリーニング・分析・価値化を図るIXT(イクスト)を設立、16年4月アンテリオの定性調査等のフィールド業務をプラメドに移管して医師パネルの管理・運用およびフィールド業務全般をプラメドに集約した。
16年3月期のセグメント別売上構成比は、消費財・サービス分野のマーケティング支援事業(事業会社インテージ、インテージリサーチ、アクセス・ジェーピー、海外子会社)66%、ヘルスケア分野のマーケティング支援事業(事業会社アンテリオ、アスクレップ、医療情報総合研究所、プラメド)21%、ITソリューション分野のビジネスインテリジェンス事業(事業会社インテージテクノスフィア)13%である。
■M&A・アライアンス戦略で業容拡大
国内外における積極的なM&A戦略で業容を拡大している。11年9月ベトナムの市場調査会社FTA、12年9月医療情報総合研究所、12年11月医療関連インターネット調査会社プラメド、13年8月香港の市場調査会社CSG香港を子会社化した。14年5月子会社INTAGE INDIAがインドの市場調査会社RSMRS社をグループ化した。
アライアンス戦略では、12年4月NTTドコモ<9437>と合弁会社ドコモ・インサイトマーケティング設立、13年10月韓国の業界4位の市場調査会社Hankook Researchと包括的事業協力を締結、13年11月インドネシアの市場調査会社DEKA社と合弁会社を設立、14年10月医薬品有害事象情報システムの京都コンステラ・テクノロジーズと資本業務提携、世界的な情報・調査企業であるニールセンの消費者購買行動分析部門ニールセン・カンパニー合同会社とパートナーシップを締結してインテージ・ニールセン・デジタルメトリクス(INDIGIM)を設立した。
15年7月クロスコンパス・インテリジェンスと資本業務提携した。人工知能情報処理技術を当社顧客企業のビジネス課題に適用し、当該技術のシステム実装および運用を行う企業向け事業を展開する。16年3月AGSと業務提携し、子会社インテージテクノスフィアとAGSの共同出資による合弁会社を設立した。16年4月みずほ銀行、インテージ、NHNテコラス、データセクションの4社協働で、14年4月発足したデータエクスチェンジコンソーソアム(DXC)での活動を発展させた取り組みとして、ビッグデータ利活用の実証試験を開始した。
16年7月マーケティングアプリケーションズ(MApps)とインターネットリサーチで活用されるリサーチプラットフォームの事業展開に関して資本・業務提携し、アドウェイズと中国越境EC市場データ事業領域において業務提携した。16年8月インテージがウィーバーズと共創支援事業と生活者発信データ事業における資本・業務提携し、高速データ処理アルゴリズムで68件の特許を保有する高速屋と資本業務提携した。
16年10月にはSBIインベストメントと共同で、当社グループの既存事業分野およびAIやIoTなど事業シナジーが見込まれる新規事業分野を投資対象とする新たなプライベートファンド「INTAGE Open Innovation Fund」を設立した。ファンド規模は50億円で、インキュベーション推進を加速する。
■期後半の構成比が高い収益構造
四半期別の業績推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期91億78百万円、第2四半期101億60百万円、第3四半期107億98百万円、第4四半期137億89百万円、営業利益が2億71百万円、10億46百万円、12億52百万円、10億02百万円、16年3月期は売上高が93億27百万円、110億16百万円、114億11百万円、137億27百万円、営業利益が4億02百万円、9億17百万円、13億45百万円、12億19百万円だった。期後半の構成比が高い収益構造である。
16年3月期は関係会社売却益一巡で最終減益だが、消費財・サービス分野のマーケティング支援事業、ヘルスケア分野のマーケティング支援事業が好調に推移して営業増益だった。売上総利益は15年2月期比0.2%増加したが、売上総利益率は26.9%で同0.9ポイント低下した。販管費は同3.4%減少し、販管費比率は18.3%で同1.4ポイント低下した。
特別利益では関係会社売却益29億11百万円が一巡した。ROEは11.4%で同2.0ポイント低下、自己資本比率は57.5%で同1.8ポイント低下した。配当は同2円50銭増配の年間32円50銭(期末一括)で配当性向は28.1%だった。利益配分については、配当と内部留保のバランスを考慮した利益配分を行うことを基本方針とし、連結配当性向30%を目安にしている。
セグメント別に見ると、消費財・サービス分野のマーケティング支援事業は売上高が同3.9%増の300億80百万円、営業利益が同6.8%増の20億45百万円だった。売上高の内訳はパネルが同0.8%増の125億98百万円、CR-既存が同13.7%増の40億71百万円、CR-Webが同11.1%増の43億01百万円、Coが同37.1%増の25億01百万円、海外が同14.6%増の37億44百万円、その他が同26.8%減の28億63百万円だった。
ヘルスケア分野のマーケティング支援事業は売上高が同3.5%増の97億34百万円、営業利益が同18.2%増の13億65百万円だった。売上高の内訳はパネルが同0.3%増の23億26百万円、CR-既存が同24.4%増の8億05百万円、CR-Webが同6.4%増の20億43百万円、CROが同5.0%増の38億60百万円、その他が同16.8%減の6億97百万円だった。
ビジネスインテリジェンス事業は売上高が同2.0%増の56億65百万円、営業利益が同5.5%減の4億71百万円だった。売上高の内訳は、国内CG&Sが同2.9%増の32億06百万円、ヘルスケアが同0.7%増の24億58百万円だった。
■17年3月期第2四半期累計は増収増益と順調
11月8日発表した今期(17年3月期)第2四半期累計(4~9月)の連結業績は、売上高が前年同期比5.4%増の214億48百万円、営業利益が同4.1%増の13億73百万円、経常利益が同2.7%増の13億70百万円、そして純利益が同29.8%増の9億14百万円だった。売上高と営業利益は計画をやや下回ったが、消費財・サービス分野のマーケティング支援事業の好調が牽引して増収増益だった。
売上総利益は同11.7%増加し、売上総利益率は26.9%で同1.5ポイント上昇した。販管費は同14.4%増加し、販管費比率は20.5%で同1.6ポイント上昇した。営業外費用では持分法投資損益が改善(前期損失24百万円、今期利益1百万円)したが、為替差損が増加(前期2百万円、今期27百万円)した。特別損失では前期計上の関係会社株式評価損1億22百万円が一巡した。
セグメント別に見ると、消費財・サービス分野のマーケティング支援事業は、売上高が同4.1%増の138億28百万円で営業利益が同18.0%増の5億42百万円だった。コミュニケーション分野の開発費用が発生しているが、カスタムリサーチ既存調査やインターネット調査の好調が牽引した。
ヘルスケア分野のマーケティング支援事業は、売上高が同11.6%増の50億98百万円で営業利益が同1.2%増の7億15百万円だった。アンテリオのカスタムリサーチ既存調査やプロモーション活動評価サービス、アスクレップの医薬品製造販売後調査が好調だった。
ビジネスインテリジェンス事業は売上高が同1.1%増の25億21百万円で営業利益が同24.2%減の1億15百万円だった。ヘルスケア関連案件が堅調だったが、AIを活用した新規事業投資で減益だった。
なお四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期98億57百万円、第2四半期115億91百万円、営業利益は4億92百万円、8億81百万円だった。
■17年3月期通期も増収増益予想、そして4期連続増配予想
今期(17年3月期)通期の連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期(16年3月期)比5.5%増の480億円、営業利益が同8.2%増の42億円、経常利益が同7.7%増の42億50百万円、純利益が同13.9%増の26億50百万円としている。配当予想は同2円50銭増配の年間35円(期末一括)としている。4期連続の増配で予想配当性向は26.6%となる。
セグメント別の計画については、消費財・サービス分野マーケティング支援事業の売上高が同4.7%増の315億円、営業利益が同12.4%増の23億円、ヘルスケア分野マーケティング支援事業の売上高が同7.9%増の105億円、営業利益が同4.0%増の14億20百万円、そしてビジネスインテリジェンス事業の売上高が同5.9%増の60億円、営業利益が同1.7%増の4億80百万円としている。
インテージのSCI(全国個人消費者パネル調査)やi-SSP(インテージシングルソースパネル)、医療情報総合研究所の処方情報分析サービス、カスタムリサーチではアンテリオのヘルスケア関連インターネット調査などが好調に推移する。
通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が44.7%、営業利益が32.7%、経常利益が32.2%、純利益が34.5%で低水準の形だが、期後半の構成比が高い収益構造のためネガティブ要因とはならない。通期でも好業績が予想される。
■中期計画で戦略的投資を加速
第11次中期経営計画では、グループ基本方針を「リノベーション&イノベーションのさらなる加速」として、戦略ポイントには、新セグメントの導入、グループインフォーメーションの再編、グループ成長実現のための戦略的投資、海外事業トータルでの黒字化とガバナンス強化、メディアコミュニケーション事業の着実な成長を掲げている。
新たな成長エンジン創出のための戦略的投資では、DeepLearning技銃を活用した新サービス領域の創出、ビッグデータのクリーニング・分析・価値化を図る子会社IXT(イクスト)の設立(15年10月)などを推進している。
■株価は自律調整一巡して上値試す
株価の動きを見ると、10月の年初来高値2000円から利益確定売りで一旦反落したが、地合い悪化が影響した11月9日の直近安値1648円から機理化している。11月25日には1870円まで上伸した。自律調整が一巡したようだ。
11月25日の終値1861円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS132円75銭で算出)は14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間35円で算出)は1.9%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1060円17銭で算出)は1.8倍近辺である。なお時価総額は約374億円である。
週足チャートで見るとサポートラインの13週移動平均線近辺から切り返して上昇トレンドを確認した形だ。ビッグデータ・AI関連としても注目され、自律調整が一巡して上値を試す展開だろう。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)